2023年8月6日日曜日

「代表的選言項(typical disjunct)は代理人(agent)である?」

(01)
{xの変域}={aさん、bさん、cさん}
であるとして、
Fa∨Fb∨Fc=∃x(Fx)
然るに、
(02)
(ⅰ)
1(1)Fa            A
1(2)Fa∨Fb         1∨I
1(3)Fa∨Fb∨Fc      2∨I
 (4)Fa→(Fa∨Fb∨Fc) 13CP
(ⅱ)
1(1)Fb       A
1(2)Fa∨Fb    1∨I
1(3)Fa∨Fb∨Fc 2∨I
 (4)Fb→(Fa∨Fb∨Fc) 13CP
(ⅲ)
1(1)Fc       A
1(2)Fb∨Fc    1∨I
1(3)Fa∨Fb∨Fc 2∨I
 (4)Fc→(Fa∨Fb∨Fc) 13CP
従って、
(02)により、
(03)
① Fa→(Fa∨Fb∨Fc)
② Fb→(Fa∨Fb∨Fc)
③ Fc→(Fa∨Fb∨Fc)
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
① Fa→ ∃x(Fx)
② Fb→ ∃x(Fx)
③ Fc→ ∃x(Fx)
従って、
(04)により、 (05)
(ⅰ)Fa であるならば、∃x(Fx)であるが、
(ⅱ)∃x(Fx)であるとしても、Fa であるとは、限らない。
従って、
(05)により、
(06)
連式 Fa├ ∃x(Fx)は妥当であるとして受け入れるが、連式 ∃x(Fx)├ Fa は妥当とは考えず、
aは任意に選ばれているが、与えられたFもつ対象の1つではないかも知れないから、この連式は受け入れないのである。
(E.J.レモン 著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、149頁)
然るに、
(07)
{xの変域}={aさん、bさん、cさん}
であるとして、
Fa&Fb&Fc=∀x(Fx)
然るに、
(08)
(ⅰ)
1(1) Ga&Gb&Gc     A
1(2) Ga           1&E
 (3)(Ga&Gb&Gc)→Ga 12CP
(ⅱ)
1(1) Ga&Gb&Gc     A
1(2) Ga           1&E
 (3)(Ga&Gb&Gc)→Gb 12CP
(ⅲ)
1(1) Ga&Gb&Gc     A
1(2) Ga           1&E
 (3)(Ga&Gb&Gc)→Gb 12CP
従って、
(08)により、 (09)
(ⅰ)∀x(Gx)であるならば、Ga であるが、
(ⅱ)Ga であるとしても、∀x(Gx)であるとは、限らない。
従って、
(05)(09)により、
(10)
(ⅰ)Fa であるならば∃x(Fx)であるが、逆に、∃x(Fx)であるとしても、Fa であるとは限らない。
(ⅱ)∀x(Gx)であるならばGa であるが、逆に、Ga であるとしても、∀x(Gx)であるとは限らない。
然るに、
(11)
1      (1) Fa∨ Fb∨Fc              A
 2     (2) Ga& Gb&Gc              A
1      (3) Fa∨(Fb∨Fc)             1結合法則
  4    (4) Fa                     A
 2     (5) Ga                     2&E
 24    (6) Fa&Ga                  45&I
 24    (7)(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)         6∨I
 24    (8)(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc) 7∨I
   9   (9)    (Fb∨Fc)             A
    ア  (ア)     Fb                 A
 2     (イ)     Gb                 2&E
 2  ア  (ウ)     Fb&Gb              アイ&I
 2  ア  (エ)(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)         ウ∨I
 2  ア  (オ)(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc) エ∨I
     カ (カ)        Fc              A
 2     (キ)        Gc              2&E
 2   カ (ク)        Fc&Gc           カキ&I
 2   カ (ケ)        (Fb&Gb)∨(Fc&Gc) ク∨I
 2   カ (コ)(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc) ケ∨I
 2 9   (サ)(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc) 9アオカコ∨E
12     (シ)(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc) 1489サ∨E
従って、
(11)により、
(12)
(Fa∨Fb∨Fc),(Ga&Gb&Gc)├(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc)
といふ「推論」は「妥当」である。
従って、
(01)(07)(12)により、
(13)
{xの変域}={aさん、bさん、cさん}
であるとして、
∃x(Fx),∀x(Gx)├ ∃x(Fx&Gx)
といふ「推論」は「妥当」である。
従って、
(13)により、
(14)
例へば、
F=フランス人である。
G=学生である。
として、
(ⅰ)ある人はフランス人である。然るに、
(ⅱ)すべての人は学生である。 従って、
(ⅲ)ある人はフランス人の学生である。
といふ「推論」は「妥当」である。
然るに、
(15)
(ⅰ)
1  (1)∃x(Fx)    A
 2 (2)∀x(Gx)    A
  3(3)   Fa     A
 2 (4)   Ga     2UE
 23(5)   Fa&Ga  34&I
 23(6)∃x(Fx&Gx) 5EI
12 (7)∃x(Fx&Gx) 136EE
(ⅱ)
1  (1)∃x(Fx)    A
 2 (2)∀x(Gx)    A
  3(3)   Fb     A
 2 (4)   Gb     2UE
 23(5)   Fb&Gb  34&I
 23(6)∃x(Fx&Gx) 5EI
12 (7)∃x(Fx&Gx) 136EE
(ⅲ)
1  (1)∃x(Fx)    A
 2 (2)∀x(Gx)    A
  3(3)   Fc     A
 2 (4)   Gc     2UE
 23(5)   Fc&Gc  34&I
 23(6)∃x(Fx&Gx) 5EI
12 (7)∃x(Fx&Gx) 136EE
従って、 (11)~(15)により、
(16)
{xの変域}={aさん、bさん、cさん}
であるとして、
(ⅰ)
1  (1)∃x(Fx)    A
 2 (2)∀x(Gx)    A
  3(3)   Fa     A
 2 (4)   Ga     2UE
 23(5)   Fa&Ga  34&I
 23(6)∃x(Fx&Gx) 5EI
12 (7)∃x(Fx&Gx) 136EE
(ⅱ)
1  (1)∃x(Fx)    A
 2 (2)∀x(Gx)    A
  3(3)   Fb     A
 2 (4)   Gb     2UE
 23(5)   Fb&Gb  34&I
 23(6)∃x(Fx&Gx) 5EI
12 (7)∃x(Fx&Gx) 136EE
(ⅲ)
1  (1)∃x(Fx)    A
 2 (2)∀x(Gx)    A
  3(3)   Fc     A
 2 (4)   Gc     2UE
 23(5)   Fc&Gc  34&I
 23(6)∃x(Fx&Gx) 5EI
12 (7)∃x(Fx&Gx) 136EE
といふ「3つの計算の意味」は、「3つ」とも、
(ⅳ)
1      (1) Fa∨ Fb∨Fc              A
 2     (2) Ga& Gb&Gc              A
1      (3) Fa∨(Fb∨Fc)             1結合法則
  4    (4) Fa                     A
 2     (5) Ga                     2&E
 24    (6) Fa&Ga                  45&I
 24    (7)(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)         6∨I
 24    (8)(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc) 7∨I
   9   (9)    (Fb∨Fc)             A
    ア  (ア)     Fb                 A
 2     (イ)     Gb                 2&E
 2  ア  (ウ)     Fb&Gb              アイ&I
 2  ア  (エ)(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)         ウ∨I
 2  ア  (オ)(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc) エ∨I
     カ (カ)        Fc              A
 2     (キ)        Gc              2&E
 2   カ (ク)        Fc&Gc           カキ&I
 2   カ (ケ)        (Fb&Gb)∨(Fc&Gc) ク∨I
 2   カ (コ)(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc) ケ∨I
 2 9   (サ)(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc) 9アオカコ∨E
12     (シ)(Fa&Ga)∨(Fb&Gb)∨(Fc&Gc) 1489サ∨E
といふ「意味」になる。
従って、
(16)により、
(17)
1  (1)∃x(Fx)    A
 2 (2)∀x(Gx)    A
  3(3)   Fa     A
 2 (4)   Ga     2UE
 23(5)   Fa&Ga  34&I
 23(6)∃x(Fx&Gx) 5EI
12 (7)∃x(Fx&Gx) 136EE
に於ける、
  3(3)Fa A
といふ「行」は、
  3(3)Fb A
であっても、
  3(3)Fc A
であっても、「どれでも良い」。
従って、
(17)により、
(18)
  3(3)Fa A
に於ける、
{Fa}は、
{Fa、Fb、Fc}を、「代表」してゐる。
従って、
(17)(18)により、
(19)
1  (1)∃x(Fx)    A
 2 (2)∀x(Gx)    A
  3(3)   Fa     A
 2 (4)   Ga     2UE
 23(5)   Fa&Ga  34&I
 23(6)∃x(Fx&Gx) 5EI
12 (7)∃x(Fx&Gx) 136EE
に於ける、
  3(3)Fa A
を、「代表的選言項(typical disjunct)」と言ふ。
従って、
(19)により、
(20)
1  (1)∃x(Fx)    A
 2 (2)∀x(Gx)    A
  3(3)   Fa     A
に於ける、
{Fa}の「aさん」は、敢へて言ふと「代理人(agent)のやうな立場」であって、
いづれにせよ、「aさん自身」ではないのであるが、「述語論理」は、「この点が、分かり難い」。
令和5年8月6日、毛利太。

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