2023年11月29日水曜日

「排他的選言」の「3つの定義」。

(01)
「太郎かあるいは次郎が辞書を持っている」といわれるとき、
「太郎が辞書を持っている」と、
「次郎が辞書を持っている」の二つの命題は同時に真になることが可能である。
このような選言は「両立的選言」と呼ばれる。
「太郎は3階か5階にいる」と言われるとき、
「太郎は3階にいる」と
「太郎は5階にいる」の二つの命題が同時に真になることはありえない。
このような選言は「排他的選言」である。
「論理学」の「・・・あるいは・・・」は「両立的選言」に決めてある。
それは「論理学」の体系がよりシンプルなものになるからである。とりわけ、
「∨」を「両立的選言」に決めておけば、「排他的選言」の方は
「∨と&と~」によって簡単に表現できる―(P∨Q)&~(P&Q)―
(昭和堂、論理学の基礎、1994年、11頁)。
従って、
(02)
①(P∨Q)&~(P&Q)
といふ「論理式」、すなはち、「日本語」で言ふところの、
①(Pであるか、または、Qである)が、ただし、(PであってQである)といふことはない。
といふ「命題」は、「排他的選言」である。
然るに、
(03)
「(日本語の)直観的」からすれば、
①(Pであるか、または、Qである)が、(PであってQである)といふことはない。
②(Pでないならば、Qであって)、(Pであるならば、Qでない)。
③(PとQが、「同時に」になること、並びに、PとQが「同時に」になる)といふことはない。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(03)により、
(04)
「論理式」で書くならば、
①  (P∨ Q)&~(P& Q)
② (~P→ Q)& (P→~Q)
③ ~(P⇔ Q)
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(05)
(ⅰ)
1       (1)  (P∨ Q)&~(P& Q) A
1       (2)   P∨ Q          1&E
 3      (3)  ~P&~Q          A
  4     (4)   P             A
 3      (5)  ~P             3&E
 34     (6)   P&~P          45&I
  4     (7)~(~P&~Q)         36RAA
   8    (8)      Q          A
 3      (9)     ~Q          3&E
 3 8    (ア)   Q&~Q          89&I
   8    (イ)~(~P&~Q)         3アRAA
1       (ウ)~(~P&~Q)         2478イ∨E
    エ   (エ)  ~P             A
     オ  (オ)     ~Q          A
    エオ  (カ)  ~P&~Q          エオ&I
1   エオ  (キ)~(~P&~Q)&(~P&~Q) ウカ&I
1   エ   (ク)    ~~Q          オキRAA
1   エ   (ケ)      Q          クDN
1       (コ)  ~P→ Q          エケCP
1       (サ)         ~(P& Q) A
      シ (シ)           P     A
       ス(ス)              Q  A
      シス(セ)           P& Q  シス&I
1     シス(ソ)  ~(P& Q)&(P& Q) サセ&I
1     シ (タ)             ~Q  スソRAA
1       (チ)           P→~Q  シタCP
1       (ツ)  (~P→ Q)&(P→~Q) コチ&I
(ⅱ)
1       (1)  (~P→ Q)&(P→~Q) A
1       (2)  (~P→ Q)        1&E
 3      (3) ~( P∨ Q)        A
  4     (4)    P            A
  4     (5)    P∨ Q         4∨I
 34     (6) ~( P∨ Q)&(P∨ Q) 35&I
 3      (7)   ~P            36RAA
   8    (8)       Q         A
   8    (9)    P∨ Q         8∨I
 3 8    (ア) ~( P∨ Q)&(P∨ Q) 39&I
 3      (イ)      ~Q         8アRAA
13      (ウ)       Q         27MPP
13      (エ)    ~Q&Q         イウ&I
1       (オ)~~( P∨ Q)        3エ
1       (カ)    P∨ Q         オDN
1       (キ)           P→~Q  1&E
    ク   (ク)           P& Q  A
    ク   (ケ)           P     ク&E
1   ク   (コ)             ~Q  キケMPP
    ク   (サ)              Q  ク&E
1   ク   (シ)           ~Q&Q  コサ&I
1       (ス)         ~(P& Q) クシRAA
1       (セ)  (P∨ Q)&~(P& Q) カス&I
従って、
(05)により、
(06)
①( P∨Q)&~(P& Q)
②(~P→Q)& (P→~Q)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(07)
(ⅱ)
1      (1) (~P→Q)&(P→~Q)  A
       (2)  ~P   ∨ P      排中律
1      (3)  ~P→Q          1&E
 4     (4)  ~P            A
14     (5)     Q          34MPP
14     (6)  ~P&Q          45&I
14     (7) (~P&Q)∨(P&~Q)  6∨I
1      (8)         P→~Q   1&E
  9    (9)         P      A
1 9    (ア)           ~Q   89MPP
1 9    (イ)         P&~Q   9ア&I
1 9    (ウ) (~P&Q)∨(P&~Q)  イ∨I
1      (エ) (~P&Q)∨(P&~Q)  2479ウ∨E
   オ   (オ)        (P&~Q)  A
    カ  (カ)         P→ Q   A
   オ   (キ)         P      オ&E
   オカ  (ク)            Q   カキMPP
   オ   (ケ)           ~Q   オ&E
   オカ  (コ)         Q&~Q   クケ&I
   オ   (サ)       ~(P→ Q)  カコRAA
   オ   (シ) ~(P→Q)∨~(Q→P)  サ∨I
     ス (ス) (~P&Q)         A
      セ(セ)   Q→P          A
     ス (ソ)   Q            ス&E
     スセ(タ)     P          セソMPP
     ス (チ)  ~P            ス&E
     スセ(ツ)  ~P&P          タチ&I
     ス (テ) ~(Q→P)         セツRAA
     ス (ト) ~(P→Q)∨~(Q→P)  テ∨I
1      (ナ) ~(P→Q)∨~(Q→P)  エオシスト∨E
1      (ニ)~{(P→Q)& (Q→P)} ナ、ド・モルガンの法則
1      (ヌ) ~(P⇔Q)         ニDf.⇔
(ⅲ)
1      (1)   ~(P⇔Q)           A
1      (2)  ~{(P→Q)&  (Q→P)}  1Df.⇔
1      (3)   ~(P→Q)∨ ~(Q→P)   2ド・モルガンの法則
 4     (4) ~{(~P→Q)& (P→~Q)}  A
 4     (5)  ~(~P→Q)∨~(P→~Q)   4ド・モルガンの法則
  6    (6)   ~(P→Q)           A
  6    (7)  ~(~P∨Q)           6含意の定義
  6    (8)    P&~Q            7ド・モルガンの法則
   9   (9)  ~(~P→Q)           A
   9   (ア)   ~(P∨Q)           9含意の定義
   9   (イ)   ~P&~Q            ア、ド・モルガンの法則
   9   (ウ)   ~P               イ&E
  6    (エ)    P               8&E
  69   (オ)   ~P&P             ウエ&I
   9   (カ) ~~(P→Q)            6オRAA
    キ  (キ)          ~(P→~Q)   A
    キ  (ク)         ~(~P∨~Q)   キ含意の定義
    キ  (ケ)            P& Q    ク、ド・モルガンの法則
    キ  (コ)               Q    ケ&E
  6    (サ)      ~Q            イ&E
  6 キ  (シ)      ~Q&Q          コサ&I
    キ  (ス) ~~(P→Q)            6シRAA
 4     (セ) ~~(P→Q)            59カキス∨E
 4     (ソ)    P→Q             セDN
     タ (タ)           ~(Q→P)   A
     タ (チ)          ~(~Q∨P)   タ含意の定義
     タ (ツ)            Q&~P    チ、ド・モルガンの法則
   9   (テ)      ~Q            イ&E
     タ (ト)            Q       ツ&E
   9 タ (ナ)      ~Q&Q          テト&I
   9   (ニ)          ~~(Q→P)   タナRAA
    キ  (ヌ)            P       ケ&E
     タ (ノ)              ~P    ツ&E
    キタ (ハ)            P&~P    ヌノ&I
    キ  (ヒ)          ~~(Q→P)   タハRAA
 4     (フ)          ~~(Q→P)   59ニキヒ∨E
 4     (ヘ)             Q→P    フDN
 4     (ホ)    (P→ Q)&(Q→ P)   ソヘ&I
14     (マ)  ~{(P→ Q)&(Q→ P)}&
             {(P→ Q)&(Q→ P)}  2ホ&I
1      (ミ) ~~{(~P→Q)&(P→~Q)}  4マRAA
1      (ム)    (~P→Q)&(P→~Q)   ミDN
従って、
(07)により、
(08)
② (~P→Q)&(P→~Q)
③ ~(P⇔Q)
に於いて、
②=③ である。
従って、
(06)(08)により、
(09)
① ( P∨Q)&~(P& Q)
② (~P→Q)& (P→~Q)
③ ~(P⇔Q)
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(03)(04)(09)により、
(10)
果たして、
①(Pであるか、または、Qである)が、(PであってQである)といふことはない。
②(Pでないならば、Qであって)、(Pであるならば、Qでない)。
③(PとQが、「同時に」になること、並びに、PとQが「同時に」になる)といふことはない。
といふ「日本語」に於いて、
①=②=③ である。
令和5年11月29日、毛利太。

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