(01)
(1)レ点 下の一字から上の一字に返る場合に用いる。
(2)一二点(一・二・三・・・・・・) 二字以上を隔てて返る場合。
(3)上中下点(上・下、上・中・下) レ点・一二点だけで示しきれない場合。かならず一二点をまたいで返る場合に用いる(数式における( )が一二点で、{ }が上中下点に相当するものと考えると分かりやすい)。
(4)甲乙丙点(甲・乙・丙・丁) レ点・一二点・上中下点で示しきれない場合。
〔原田種成、私の漢文講義、1995年、40~43頁〕
従って、
(01)により、
(02)
① 下 二 一 中 上。
② 下 中 二 一 上。
に対して、
③ 二 下 上 一 中。
といふ「返り点」、すなはち、
③ 一二点 の間に、上下点 が在る「返り点」は、有り得ない。
然るに、
(03)
① 〔( )( )〕。
② [ 〔( )〕]。
に対して、
③ ([〔 )〕]。
といふ「括弧」、すなはち、
③ ( ) の間に、[〔 が在る「括弧」は、有り得ない。
cf.
① 下〔二(一)中(上)〕⇒
① 〔(一)二(上)中〕下= ① 一 二 上 中 下。
② 下[中〔二(一)上〕]⇒
② [〔(一)二上〕中]下= ② 一 二 上 中 下。
③ 二(下[上〔一)〕中]⇒
③ ([〔一)二〕上中]下= ③ 一 二 上 中 下。
然るに、
(04)
白話文訓読するとどうなるか、玉里本の中から、白和文特有の構造を持つ訓読例を見てみよう。
第二回 二十三葉ウラ
端的看2不5出3這婆-子的本事1来4。(端的に這の婆子の本書を看出し来たらず)
〔勉誠出版、続「訓読」論、2010年、330頁:川島優子〕
従って、
(03)(04)により、
(05)
「白話」の場合は、
③ 二 五 三 一 四=
③ 二 下 上 一 中=
③ ([〔 )〕]。
のやうに、「返り点」や、「括弧」では、表せない「語順」が有る。
従って、
(05)により、
(06)
「漢文訓読」といふ「観点」からすると、「白話」と「漢文」は、完全に、「異なる、言語」であって、
それ故、例へば、
一般做乳母的人對事故從小撫養帶大的總是有一種偏愛、總是覺得與眾不同的:何況這位乳母所撫養帶大的是源氏之君這様稀世的人物呢!(林訳『源氏物語』一 六三頁)
(京都大学大学院・文学研究科編、世界の中の『源氏物語』、149)。
といふ「現代中国(白話)」は、「漢文の知識」では、「全く、読めない」。
(07)
「源氏物語」の冒頭である。といふことから、
從=より、
何況=まして、
であらうことは、「想像」出来ても、それ以外は、「文字通り、全く、読めない」。
平成26年10月05日、毛利太。
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