2014年10月6日月曜日

『補足構造(括弧)は有ります!』

(01)
① 悪(寒)⇔(寒きを)悪む。
② 好(暖)⇔(暖きを)好む。
然るに、
(02)
補足構造における語順は、国語とは全く反対である(鈴木直治著、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 悪(寒)は、(補足構造)であって、
② 好(暖)も、(補足構造)である。
然るに、
(04)
③ 不〔悪(寒)好(暖)〕⇔
③ 〔(寒きを)悪み(暖きを)好ま〕不。
従って、
(01)(04)により、
(05)
③ 不〔悪(寒)好(暖)〕は、
③〔(補足構造)と(捕捉構造)の、補足構造〕である。
cf.
③ ~〔悪(寒)∧好(暖)〕=
③ ~  悪(寒)∨~好(暖)=
③ 寒きを悪むならば、暖きを好まない。
然るに、
(06)
④ 非[不〔悪(寒)好(暖)〕]⇔
④ [〔(寒きを)悪み(暖きを)好ま〕不んば]非ず。
従って、
(01)(06)により、
(07)
④ 非[不〔悪(寒)好(暖)〕]は、
④[〔(補足構造)と(捕捉構造)の補足構造〕の補足構造]である。
従って、
(06)(07)により、
(08)
④ 非不悪寒好暖 ⇔
④ 寒きを悪み暖きを好ま不んば非ず。
といふ「漢文訓読」は、
④「補足構造と補足構造の、補足構造の、補足構造」に、即してゐる。
然るに、
(09)
否定呼応を用いる言語では、二重に否定語を用いても単純にひとつの否定表現を作るだけであり、論理学的に見た場合は単なる否定である。しかし、否定呼応を用いない言語では、二重に否定語を用いることは論理学的に見るところの「否定」の否定であり、肯定である(ウィキペディア:二重否定)。
従って、
(10)
④ 非不悪寒好暖。
といふ「漢文」の「構造(シンタックス)」が、
④ 非[不〔悪(寒)好(暖)〕]=
④ ~[~〔悪(寒)好(暖)〕]。
といふ形の「二重否定」であるか否かといふことは、「漢文」といふ「言語自体」の「問題」であって、「漢文と訓読」の「問題」ではない。
従って、
(11)
訓読法なぞ時代遅れの古臭い方法だ(洋介、日本近代史を学ぶための、文語文入門、2013年、はじめに ⅳ)といふ風に、「漢文訓読」を否定される、先生であっても、
④ 非不悪寒好暖=
④ 非[不〔悪(寒)好(暖)〕]=
④ ~[~〔悪(寒)好(暖)〕]。
であることに関しては、認めてもらへるものと、思はれる。
従って、
(12)
少なくとも、
④ 非不悪寒好暖 ⇔
④ 寒きを悪み暖きを好ま不んば非ず。
といふ「漢文訓読」に関して、
「漢文訓読とは、漢文(原文)の補足構造に即した、定型的な訳読である。」
といふことを、「否定」される方は、ゐないものと、思はれる。
平成26年10月06日、毛利太。

0 件のコメント:

コメントを投稿