(01)
例2.6.1 命題函数P(x,y)について、
∀x∃yP(x,y):すべてのxについて、あるyがあってP(x,y)である。
∃y∀xP(x,y):あるyがあって、すべてのxについてP(x,y)である。
(中内伸光、ろんりの練習帳、2002年、103頁)
従って、
(01)により、
(02)
(xとy)を入れ換へると、
① ∀x∃yP(y,x):すべてのxについて、あるyがあってP(y,x)である。
② ∃x∀yP(x,y):あるxがあって、すべてにyについてP(x,y)である。
然るに、
(03)
(xとy)の「変域」は、「数」ではなく、「人間」であるとする。
加へて、
(04)
P(y,x)
といふ「命題函数」を、
P(y,x)=yはxの親である。
P(y,x)=xはyの子である。
といふ風に、「定義」する。
従って、
(02)(03)(04)により、
(05)
① ∀x∃yP(y,x):全てのxについて、或るyがあってP(y,x)である。
といふ「述語論理」は、この場合は、
① ∀x∃yP(y,x)=全ての人は、或る人の子である。
といふ、「意味」になる。
然るに、
(06)
安倍晋三が、安倍晋太郎の子であるやうに、
ヒラリーが、ヒラリーの父親の子であるやうに、
トランプが、トランプの母親の子であるやうに、
全ての人は、或る人の、子である。
従って、
(05)(06)により、
(07)
① ∀x∃yP(y,x)=全ての人は、或る人の子である。
といふ「論理式」は、「真(本当)」である。
然るに、
(08)
② ∃y∀xP(y,x)
の場合は、
② ∃y∀xP(y,x)=或る人は、全ての人の親である。
といふ、「意味」になる。
然るに、
(09)
② 人(アダム)の子(ベン)
といふことでも、ない限り、
② ∃y∀xP(y,x)=或る人は、全ての人の親である。
といふことには、ならない。
cf.
Υιός του Θεού(神の子)
Υιός του Ανθρώπου(人の子、アダムの子)
イエスース クリストス ヒュイオス トゥ テェウー(神の子、イエス基督)。
従って、
(07)(08)(09)により、
(10)
① ∀x∃yP(y,x)=全ての人は、或る人の子である。
② ∃y∀xP(y,x)=或る人は、全ての人の親である。
に於いて、
① は、万人にとって「真」であって、
② は、万人にとって「真」であるとは、言へない。
然るに、
(11)
任意の表述の否定は、その表述を’~( )’という空所にいれて書くことにしよう(W.O.クワイン著、杖下隆英訳、現代論理学入門、Elementary Logic、1972年、15頁)。
従って、
(10)(11)により、
(12)
② ∃x∀yP(x,y)
といふ「論理式」の「否定」である、
③ ~(∃x∀yP(x,y))
といふ「論理式」は、「真」である。
然るに、
(13)
③ ~(∃x∀yP(x,y))
に於いて、
~( )⇒( )~
P( )⇒( )P
といふ「移動」を行ふと、
④ (∃x∀y(x,y)P)~
といふ「式」になる。
然るに、
(14)
④ (∃x∀y(x,y)P)~
といふ「式」を、「左から右へ」読むと、
④ (∃x :或る人は、
④ (∃x∀y :或る人は、全ての人の、
④ (∃x∀y(x,y)P) :或る人は、全ての人の親である。
④ (∃x∀y(x,y)P)~ :或る人が、全ての人の親である。といふことはない。
といふ風に、読むことになる。
然るに、
(15)
③ ~(∃x∀yP(x,y))
といふ「式」は、例へば、
③ It is not true that there is such a person who is the parent of the all people.
のやうな、「英語」に相当する(?)はずであって、因みに、
③ It is not true that there is such a person who is the parent of the all people.
を、「グーグル翻訳」で、「日本語」に翻訳すると、
③ すべての人の親であるそのような人がいるのは事実ではありません。
との、ことである。
然るに、
(16)
③ すべての人の親であるそのような人がいるのは事実ではありません。
④ 或る人が、全ての人の親である。といふことはない。
に於いて、
③=④ である。
従って、
(14)(15)(16)により、
(17)
③ ~(∃x∀yP(x,y))
④ (∃x∀y(x,y)P)~
に於いて、
③=④ である。
然るに、
(18)
数式はたまたま15世紀から18世紀にかけて、ヨーロッパにおいて、ヨーロッパの言語に象って作り出されたという歴史的偶然を反映したものであるにすぎない(大谷泰照、日本人にとって英語とは何か、2007年、30頁)。
従って、
(17)(18)により、
(19)
③ ~(∃x∀yP(x,y))
といふ「論理式」も、20世紀のヨーロッパとアメリカにおいて、ヨーロッパとアメリカの言語に象って作り出されたという歴史的偶然を反映したものであるにすぎない。
従って、
(17)(19)により、
(20)
③ ~(∃x∀yP(x,y))
といふ「語順」を、
④ (∃x∀y(x,y)P)~
といふ「語順」で読んだとしても、「何らの問題」も、生じない。
従って、
(21)
③ 不(有(人為(全人親)))。
といふ「語順」を、
④((人(全人親)為)有)不=
④((人にして(全ての人の親)為るものは)有ら)不。
といふ「語順」で読んだとしても、「何らの問題」も、生じない。
平成28年12月08日、毛利太。
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