2021年7月3日土曜日

(P&Q)⇔R と、(P&Q)→R。

(01)
①  (P&Q)⇔R
②{(P&Q)→R}&{R→(P&Q)}
に於いて、
①=② である(相互条件法の定義)。
然るに、
(02)
(ⅰ)
1   (1)       R→(P& Q) A
 2  (2)         ~P∨~Q  A
 2  (3)        ~(P& Q) 2ド・モルガンの法則
12  (4)     ~R         13MTT
1   (5)    (~P∨~Q)→~R  24CP
  6 (6)     ~P         A
  6 (7)     ~P∨~Q      6∨I
1 6 (8)            ~R  57MPP
1   (9)     ~P→~R      68CP
   ア(ア)        ~Q      A
   ア(イ)     ~P∨~Q      ア∨I
1  ア(ウ)            ~R  5イMPP
1   (エ)         ~Q→~R  アウCP
1   (オ)(~P→~R)&(~Q→~R) 9エ&I
(ⅱ)
1   (1)(~P→~R)&(~Q→~R) A
 1  (2) ~P→~R          1&E
1   (3)         ~Q→~R  1&E
  4 (4)     R          A
  4 (5)   ~~R          4DN
14  (6)~~P             15MTT
14  (7)  P             6DN
14  (8)        ~~Q     35MTT
14  (9)          Q     8DN
14  (ア)   P&Q          79&I
1   (イ)R→(P&Q)         4アCP
従って、
(02)により、
(03)
② R→(P&Q)
③(~P→~R)&(~Q→~R)
に於いて、
②=③ である。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
① (P&Q)⇔R
②{(P&Q)→R}&{R→(P&Q)}
③{(P&Q)→R}&{(~P→~R)&(~Q→~R)}
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(04)により、
(05)
①(P&Q)⇔R
であるならば、
③(~P→~R)&(~Q→~R)
であるため、
③ Pでないならば、Rではないし、
③ Qでないならば、Rでない。
従って、
(05)により、
(06)
①(P&Q)⇔R
であるならば、
③ Pであることは、Rであるための、「必要条件」であって、
③ Qであることも、Rであるための、「必要条件」である。
然るに、
(07)
(ⅰ)
1   (1) (P&Q)→R    A
1   (2)~(P&Q)∨R    1含意の定義
 3  (3)~(P&Q)      A
 3  (4)~P∨~Q       3ド・モルガンの法則
 3  (5)~P∨~Q∨R     4∨I
  6 (6)       R    A
  6 (7) ~P∨~Q∨R    6∨I
1   (8) ~P∨~Q∨R    13567∨E
1   (9)~P∨(~Q∨R)   3結合法則
 ア  (ア)~P          A
 ア  (イ)~P∨R        ア∨I
 ア  (ウ) P→R        イ含意の定義
 ア  (エ)(P→R)∨(Q→R) ウ∨I
   オ(オ)     (~Q∨R) A
   オ(カ)       Q→R  オ含意の定義
   オ(キ)(P→R)∨(Q→R) カ∨I
1   (ク)(P→R)∨(Q→R) 2アエオキ∨I
(ⅱ)
1   (1)(P→R)∨(Q→R) A
 2  (2) P&Q        A
  3 (3) P→R        A
 2  (4) P          2&E
 23 (5)   R        34MPP
   6(6)       Q→R  A
 2  (7)   Q        2&E
 2 6(8)         R  67MPP
12  (9)   R        13568∨E
1   (ア)(P&Q)→R     29CP
従って、
(07)により、
(08)
①(P&Q)→R
②(P→R)∨(Q→R)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(08)により、
(09)
①(P&Q)→R
②(P→R)∨(Q→R)
に於いて、
①=② である。
といふことは、
(ⅰ)Pが、Rの原因であるか、または、
(ⅱ)Qが、Rの原因であるか、または、
(ⅲ)PとQの「連言」が、Rの原因である。
といふ、ことである。
然るに、
(10)
(ⅰ)Pが、Rの原因である。
とするならば、
(ⅱ)Qでなくとも、Rである。
といふことになり、
(ⅱ)Qでなくとも、Rである。
といふことは、
③ Qであることは、Rであるための、「必要条件」でない。
といふことに、他ならないし、同様に、
③ Pであることも、Rであるための、「必要条件」でない。
従って、
(06)~(10)により、
(11)
①(P&Q)⇔R
②(P&Q)→R
に於いて、
① ではなく、
② であるならば、
② PかつQ、2つの前提からRが導かれるんだったら実はそれ、1つで十分ですよ、みたいな、そういう推論なんですね。
といふことであっても、「不都合」は無い
然るに、
(12)
①(P&Q)→R
といふ「論理式」に関して、
大西拓郎先生(京都大学)は、
[厳密含意の論理(1) [修正版](ユーチューブ:9分10秒頃)]に於いて、
PかつQ、2つの前提からRが導かれるんだったら実はそれ、1つで十分ですよ、みたいな、そういう推論なんですね。まぁこれ、をかしい。実質含意にはこういう変な推論がどうしてもつきまとうんですが、厳密含意になると、それがちゃんと妥当ではなくなってくれるという、ことです。
といふ風に、述べてゐる。
従って、
(11)(12)により、
(13)
大西拓郎先生は、
①(P&Q)⇔R
といふ「論理式」と、
①(P&Q)→R
といふ「論理式」とを、「混同」してゐる。
令和03年07月03日、毛利太。

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