2021年6月28日月曜日

「衆議院議員の被選挙権」の「命題論理」。

(01)
(ⅰ)
1   (1) (P&Q)→R    A
1   (2)~(P&Q)∨R    1含意の定義
 3  (3)~(P&Q)      A
 3  (4)~P∨~Q       3ド・モルガンの法則
 3  (5)~P∨~Q∨R     4∨I
  6 (6)       R    A
  6 (7) ~P∨~Q∨R    6∨I
1   (8) ~P∨~Q∨R    13567∨E
1   (9)~P∨(~Q∨R)   3結合法則
 ア  (ア)~P          A
 ア  (イ)~P∨R        ア∨I
 ア  (ウ) P→R        イ含意の定義
 ア  (エ)(P→R)∨(Q→R) ウ∨I
   オ(オ)     (~Q∨R) A
   オ(カ)       Q→R  オ含意の定義
   オ(キ)(P→R)∨(Q→R) カ∨I
1   (ク)(P→R)∨(Q→R) 2アエオキ∨I
(ⅱ)
1   (1)(P→R)∨(Q→R) A
 2  (2) P&Q        A
  3 (3) P→R        A
 2  (4) P          2&E
 23 (5)   R        34MPP
   6(6)       Q→R  A
 2  (7)   Q        2&E
 2 6(8)         R  67MPP
12  (9)   R        13568∨E
1   (ア)(P&Q)→R     29CP
(02)
(ⅲ)
1   (1) P&Q⇔R          A
1   (2)(P&Q→R)&(R→P&Q) A
1   (3)         R→P&Q  1&E
 4  (4)         ~P∨~Q  A
 4  (5)         ~(P&Q) 4ド・モルガンの法則
14  (6)        ~R      35MPP
1   (7)    (~P∨~Q)→~R  46CP
  8 (8)     ~P         A
  8 (9)     ~P∨~Q      8∨I
1 8 (ア)            ~R  79MPP
1   (イ)         ~P→~R  8アCP
   ウ(ウ)        ~Q      A
   ウ(エ)     ~P∨~Q      ウ∨I
1  ウ(オ)            ~R  7エMPP
1   (カ)         ~Q→~R  ウオCP
1   (キ)(~P→~R)&(~Q→~R) イカ&I
従って、
(01)(02)により、
(03)
① P&Q→R ┤├ ( P→ R)∨( Q→ R)
② P&Q⇔R  ├ (~P→~R)&(~Q→~R)
といふ「連式(Sequents)」は、2つとも「妥当(Valid)」である。
然るに、
(04)
①( P→ R)∨( Q→ R)
②(~P→~R)&(~Q→~R)
に於いて、
 P=偽
 R=真
であるならば、
① は、「真」であるが、
② は、「偽」である。
従って、
(03)(04)により、
(05)
① P&Q→R)
② P&Q⇔R
といふ「論理式」に於いて、
①=② ではない
然るに、
(06)
P=日本人である。
Q=25歳以上である。
R=衆議院議員の被選挙権がある。
として、
① P&Q→R
② P&Q⇔R
といふ「命題論理式」は、それぞれ、
① 日本人であって、25歳以上であるならば、衆議院議員の被選挙権がある。
② 日本人であって、25歳以上であるならば、そのときに限って、衆議院議員の被選挙権がある。
といふ「日本語」に、相当する。
従って、
(05)(06)により、
(07)
① 日本人であって、25歳以上であるならば、衆議院議員の被選挙権がある。
② 日本人であって、25歳以上であるならば、そのときに限って、衆議院議員の被選挙権がある。
といふ「日本語」に於いて、
①=② ではない。
然るに、
(08)
②(~P→~R)&(~Q→~R)
に於いて、
P=日本人である。
Q=25歳以上である。
R=衆議院議員の被選挙権がある。
とすると、
②(~P→~R)&(~Q→~R)
③(日本人でないならば、衆議院議員の被選挙権はない。)そして(25歳以上でないならば、衆議院議員の被選挙権はない。)
に於いて、
②=③ である。
従って、
(03)~(08)により、
(09)
① P&Q→R)
② P&Q⇔R
③(~P→~R)&(~Q→~R)
に於いて、すなはち、
① 日本人であって、25歳以上であるならば、衆議院議員の被選挙権がある。
② 日本人であって、25歳以上であるならば、そのときに限って、衆議院議員の被選挙権がある。
③(日本人でないならば、衆議院議員の被選挙権はない。)そして(25歳以上でないならば、衆議院議員の被選挙権はない。)
に於いて、
① ならば、③ ではないが、
② ならば、③ である。
従って、
(09)により、
(10)
(ⅰ)「日本人であって、25歳以上であるならば、衆議院議員の被選挙権がある。」然るに、
(ⅱ)「日本人ではない。」従って、
(ⅲ)「衆議院議員の被選挙権はない。」
といふ「推論」は、「無効(Invalid)」であるが、
(ⅰ)「日本人であって、25歳以上であるならば、そのときに限って、衆議院議員の被選挙権がある。」然るに、
(ⅱ)「日本人ではない。」従って、
(ⅲ)「衆議院議員の被選挙権はない。」
といふ「推論」は、「妥当(Valid)」である。
従って、
(10)により、
(11)
(ⅰ)「日本人であって、25歳以上であるならば、衆議院議員の被選挙権がある。」然るに、
(ⅱ)「日本人ではない。」従って、
(ⅲ)「衆議院議員の被選挙権はない。」
といふ「推論」を、「妥当」であると、思ふのであれば、その人は、
① 日本人であって、25歳以上であるならば、衆議院議員の被選挙権がある。
② 日本人であって、25歳以上であるならば、そのときに限って、衆議院議員の被選挙権がある。
といふ「日本語」に於いて、
①と② を、『混同』してゐる。
といふ、ことになる。
従って、
(03)(06)(11)により、
(12)
(ⅰ)「日本人であって、25歳以上であるならば、衆議院議員の被選挙権がある。」然るに、
(ⅱ)「日本人ではない。」従って、
(ⅲ)「衆議院議員の被選挙権はない。」
といふ「推論」を、「妥当」であると、思ふのであれば、その人は、
① P&Q→R ┤├ ( P→ R)∨( Q→ R)
② P&Q⇔R  ├ (~P→~R)&(~Q→~R)
といふ「連式(Sequents)」に於いて、
①と② を、『混同』してゐる。
といふ、ことになる。
従って、
(12)により、
(13)
その人は、
① P&Q→R ┤├ ( P→ R)∨( Q→ R)
といふ「連式」を、
② P&Q→R  ├ (~P→~R)&(~Q→~R)
といふ「連式」であると、「勘違ひ」をしてゐる。
といふ、ことになる。
従って、
(13)により、
(14)
その人にとっては、
② P&Q→R  ├ (~P→~R)&(~Q→~R)
といふ「マチガイ」の方が、「正しい」が故に、
① P&Q→R ┤├ ( P→ R)∨( Q→ R)
といふ「連式」は、「マチガイ(をかしい)」といふ、ことになる。
然るに、
(15)
①(P&Q)→R
といふ「論理式」に関して、
大西拓郎先生(京都大学)は、
[厳密含意の論理(1) [修正版](ユーチューブ:9分10秒頃)]に於いて、
PかつQ、2つの前提からRが導かれるんだったら実はそれ、1つで十分ですよ、みたいな、そういう推論なんですね。まぁこれ、をかしい。実質含意にはこういう変な推論がどうしてもつきまとうんですが、厳密含意になると、それがちゃんと妥当ではなくなってくれるという、ことです。
といふ風に、述べてゐる。
従って、
(13)(14)(15)により、
(16)
大西拓郎先生(京都大学)は、
① P&Q→R ┤├ ( P→ R)∨( Q→ R)
といふ「連式」を、
② P&Q→R  ├ (~P→~R)&(~Q→~R)
といふ「連式」であると、「勘違ひ」をしてゐる。
といふ、ことになる。
令和03年06月28日、毛利太。

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