(21)イリアスの著者はオデュッセイアを書いた。故にある人はイリアスとオデュッセイアの両方を書いた。
(21)The author of the Iliad wrote the odyssey; therefore someone wrote both Iliad and the odyssey.
― 中略 ―、
(22)∃y[Iy&Oy&∀z(Iz→y=z)]
ある人はイリアスを書いた。そしてオデュッセイアを書いた、そしてさらにその人はイリアスを書いた唯一の人である。
someone wrote the Iliad, and wrote the odyssey, and further that person is unique in having written the Iliad;
― 中略 ―、
The treatment of definite description in(22)is of considerable importance in logical analysis; due to Russell, it has come to be known as Russell's theory of definite description.
(22)における確定記述の取り扱いは、論理分析において無視できぬ重要さをもつ。それはラッセルに由来するものなので、ラッセルの確定記述の理論として知られるに到っている。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、213・214頁改)
従って、
(01)により、
(02)
① ∃y[Iy&Oy&∀z(Iz→y=z)]
といふ「論理式」は、
① イリアスの著者以外に、オデュッセイアの著者はゐない。
といふ「意味」である。
然るに、
(03)
よく知られているように、「私が理事長です」は語順を変え、
理事長は、私です。
と直して初めて主辞賓辞が適用されるのである。
従って、
(04)
① 私が理事長です。
② 理事長は私です。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(05)
(ⅱ)
1 (1)理事長であるならば、私である。 仮定
2 (2) 私でない。 仮定
3(3)理事長である。 仮定
1 3(4) 私である。 13肯定肯定式
123(5)私でないが、私である。 24連言導入
12 (6)理事長でない。 35背理法
1 (7)私でないならば、理事長ではない。 26条件法
(ⅲ)
1 (1)私でないならば、理事長ではない。 仮定
2 (2) 理事長である。 仮定
3(3)私でない。 仮定
1 3(4) 理事長でない。 13肯定肯定式
123(5)理事長であるが、理事長でない。 24連言導入
12 (6)私でない、ではない。 35背理法
12 (7)私である。 6二重否定
1 (8)理事長であるならば、私である。 27条件法
従って、
(05)により、
(06)
② 理事長であるならば、私である。
③ 私でないならば、理事長ではない。
に於いて、
②=③ は、「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(06)により、
(07)
② 理事長は私である。
③ 私以外は理事長ではない。
に於いて、
②=③ は、「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(04)(07)により、
(08)
① 私が理事長です。
② 理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(08)により、
(09)
① イリアスの著者がオデュッセイアの著者です。
② オデュッセイアの著者はイリアスの著者です。
③ イリアスの著者以外はオデュッセイアの著者ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(02)(09)により、
(10)
「番号」を付け直すと、
① ∃y[Iy&Oy&∀z(Iz→y=z)]
② イリアスの著者がオデュッセイアの著者です。
③ オデュッセイアの著者はイリアスの著者です。
④イリアスの著者以外はオデュッセイアの著者ではない。
に於いて、
①=②=③=④ である。
従って、
(08)(10)により、
(11)
① ∃y[私y&理事長y&∀z(理事長z→y=z)]
② 私が理事長です。
③ 理事長は私です。
④ 私以外は理事長ではない。
に於いて、
①=②=③=④ である。
従って、
(01)(10)(11)により、
(12)
① ∃y[Iy&Oy&∀z(Iz→y=z)]≡イリアスの著者がオデュッセイアの著者です。
① ∃y[私y&理事長y&∀z(理事長z→y=z)]≡私が理事長です。
といふ「述語論理式(と日本語)」は、
論理分析において無視できぬ重要さをもつ。それはラッセルに由来するものなので、ラッセルの確定記述の理論として知られるに到っている。
are of considerable importance in logical analysis; due to Russell, it has come to be known as Russell's theory of definite description.
然るに、
(13)
然るに、
(11)
(ⅰ)私はタゴール記念会の理事長であって、私以外に、タゴール記念会の理事長はゐない。然るに、
(ⅱ)小倉氏は、私ではない。従って、
(ⅲ)タゴール記念会は、小倉氏は、理事長ではない。
といふ「推論」は、明らかに、「妥当」である。
然るに、
(14)
1 (1)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]} A
1 (2) T会の会員a→∃y[私y&理事長ya&∀z(理事長za→y=z)] 1UE
3 (3) T会の会員a A
13 (4) ∃y[私y&理事長ya&∀z(理事長za→y=z)] 23MPP
5 (5) 私b&理事長ba&∀z(理事長za→b=z) A
5 (6) 私b&理事長ba 5&E
5 (7) ∀z(理事長za→b=z) 5&E
5 (8) 理事長ca→b=c 7UE
9 (9) ∃z(小倉z&~私z) A
ア (ア) 小倉c&~私c A
ア (イ) 小倉c ア&E
ア (ウ) ~私c ア&E
エ(エ) b=c A
アエ(オ) ~私b ウエ=E
5 (カ) 私b 6&E
5 アエ(キ) ~私b&私b オカ&I
5 ア (ク) b≠c エキRAA
5 ア (ケ) ~理事長ca 8クMTT
5 ア (コ) 小倉c&~理事長ca イケ&I
5 ア (サ) ∃z(小倉z&~理事長za) コEI
59 (シ) ∃z(小倉z&~理事長za) 9アサEE
13 9 (ス) ∃z(小倉z&~理事長za) 45シEE
1 9 (セ) T会の会員a→∃z(小倉z&~理事長za) 3スCP
1 9 (ソ)∀x{T会の会員x→∃z(小倉z&~理事長zx)} セUI
1 9 (〃)タゴール記念会は、小倉氏は、理事長ではない。 セUI
従って、
(14)により、
(15)
(ⅰ)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}。然るに、
(ⅱ)∃z(小倉z&~私z)。従って、
(ⅲ)∀x{T会の会員x→∃z(小倉z&~理事長zx)。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(15)により、
(16)
(ⅰ)すべてのxについて{xがタゴール記念会の会員であるならば、あるyは[私であって、理事長であって、すべてのzについて(zがxの理事長であるならば、yとzは「同一人物」である)]}。
(ⅱ)あるzは(小倉氏であって、zは私ではない)。
(ⅲ)すべてのxについて{xがタゴール記念会の会員であるならば、あるzは(小倉氏であって、zはxの理事長ではない)}。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(12)~(16)により、
(17)
① タゴール記念会は、私が理事長です。⇔
① タゴール記念会は、私は理事長であり、私以外は理事長ではない。⇔
① ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}⇔
① すべてのxについて{xがタゴール記念会の会員であるならば、あるyは[私であって、理事長であって、すべてのzについて(zがxの理事長であるならば、yとzは「同一人物」である)]}。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(12)(17)により、
(18)
① タゴール記念会は、私が理事長です。⇔
① ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}。
に於ける、
① 私が理事長です。⇔
① ∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]。
といふ「日本語(命題関数)」は、「ラッセルの確定記述(Russell's theory of definite description)」に、相当する。
(19)
簡単に言うと、「論理式(well-formed formula)」かそのはじめにある量記号を除去した結果えられる式は「命題関数(Propositional function)」である。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、182頁改)
従って、
(19)により、
(20)
① ∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]
② ∃y[私y&理事長y &∀z(理事長z →y=z)]
③ ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}
に於いて、
① は、「(xに関する)命題関数」であって、
② は、「論理式」であって、
③ も、「論理式」である。
令和03年06月17日、毛利太。
従って、
(01)により、
(02)
① ∃y[Iy&Oy&∀z(Iz→y=z)]
といふ「論理式」は、
① イリアスの著者以外に、オデュッセイアの著者はゐない。
といふ「意味」である。
然るに、
(03)
よく知られているように、「私が理事長です」は語順を変え、
理事長は、私です。
と直して初めて主辞賓辞が適用されるのである。
従って、
(04)
① 私が理事長です。
② 理事長は私です。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(05)
(ⅱ)
1 (1)理事長であるならば、私である。 仮定
2 (2) 私でない。 仮定
3(3)理事長である。 仮定
1 3(4) 私である。 13肯定肯定式
123(5)私でないが、私である。 24連言導入
12 (6)理事長でない。 35背理法
1 (7)私でないならば、理事長ではない。 26条件法
(ⅲ)
1 (1)私でないならば、理事長ではない。 仮定
2 (2) 理事長である。 仮定
3(3)私でない。 仮定
1 3(4) 理事長でない。 13肯定肯定式
123(5)理事長であるが、理事長でない。 24連言導入
12 (6)私でない、ではない。 35背理法
12 (7)私である。 6二重否定
1 (8)理事長であるならば、私である。 27条件法
従って、
(05)により、
(06)
② 理事長であるならば、私である。
③ 私でないならば、理事長ではない。
に於いて、
②=③ は、「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(06)により、
(07)
② 理事長は私である。
③ 私以外は理事長ではない。
に於いて、
②=③ は、「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(04)(07)により、
(08)
① 私が理事長です。
② 理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(08)により、
(09)
① イリアスの著者がオデュッセイアの著者です。
② オデュッセイアの著者はイリアスの著者です。
③ イリアスの著者以外はオデュッセイアの著者ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(02)(09)により、
(10)
「番号」を付け直すと、
① ∃y[Iy&Oy&∀z(Iz→y=z)]
② イリアスの著者がオデュッセイアの著者です。
③ オデュッセイアの著者はイリアスの著者です。
④イリアスの著者以外はオデュッセイアの著者ではない。
に於いて、
①=②=③=④ である。
従って、
(08)(10)により、
(11)
① ∃y[私y&理事長y&∀z(理事長z→y=z)]
② 私が理事長です。
③ 理事長は私です。
④ 私以外は理事長ではない。
に於いて、
①=②=③=④ である。
従って、
(01)(10)(11)により、
(12)
① ∃y[Iy&Oy&∀z(Iz→y=z)]≡イリアスの著者がオデュッセイアの著者です。
① ∃y[私y&理事長y&∀z(理事長z→y=z)]≡私が理事長です。
といふ「述語論理式(と日本語)」は、
論理分析において無視できぬ重要さをもつ。それはラッセルに由来するものなので、ラッセルの確定記述の理論として知られるに到っている。
are of considerable importance in logical analysis; due to Russell, it has come to be known as Russell's theory of definite description.
然るに、
(13)
然るに、
(11)
(ⅰ)私はタゴール記念会の理事長であって、私以外に、タゴール記念会の理事長はゐない。然るに、
(ⅱ)小倉氏は、私ではない。従って、
(ⅲ)タゴール記念会は、小倉氏は、理事長ではない。
といふ「推論」は、明らかに、「妥当」である。
然るに、
(14)
1 (1)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]} A
1 (2) T会の会員a→∃y[私y&理事長ya&∀z(理事長za→y=z)] 1UE
3 (3) T会の会員a A
13 (4) ∃y[私y&理事長ya&∀z(理事長za→y=z)] 23MPP
5 (5) 私b&理事長ba&∀z(理事長za→b=z) A
5 (6) 私b&理事長ba 5&E
5 (7) ∀z(理事長za→b=z) 5&E
5 (8) 理事長ca→b=c 7UE
9 (9) ∃z(小倉z&~私z) A
ア (ア) 小倉c&~私c A
ア (イ) 小倉c ア&E
ア (ウ) ~私c ア&E
エ(エ) b=c A
アエ(オ) ~私b ウエ=E
5 (カ) 私b 6&E
5 アエ(キ) ~私b&私b オカ&I
5 ア (ク) b≠c エキRAA
5 ア (ケ) ~理事長ca 8クMTT
5 ア (コ) 小倉c&~理事長ca イケ&I
5 ア (サ) ∃z(小倉z&~理事長za) コEI
59 (シ) ∃z(小倉z&~理事長za) 9アサEE
13 9 (ス) ∃z(小倉z&~理事長za) 45シEE
1 9 (セ) T会の会員a→∃z(小倉z&~理事長za) 3スCP
1 9 (ソ)∀x{T会の会員x→∃z(小倉z&~理事長zx)} セUI
1 9 (〃)タゴール記念会は、小倉氏は、理事長ではない。 セUI
従って、
(14)により、
(15)
(ⅰ)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}。然るに、
(ⅱ)∃z(小倉z&~私z)。従って、
(ⅲ)∀x{T会の会員x→∃z(小倉z&~理事長zx)。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(15)により、
(16)
(ⅰ)すべてのxについて{xがタゴール記念会の会員であるならば、あるyは[私であって、理事長であって、すべてのzについて(zがxの理事長であるならば、yとzは「同一人物」である)]}。
(ⅱ)あるzは(小倉氏であって、zは私ではない)。
(ⅲ)すべてのxについて{xがタゴール記念会の会員であるならば、あるzは(小倉氏であって、zはxの理事長ではない)}。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(12)~(16)により、
(17)
① タゴール記念会は、私が理事長です。⇔
① タゴール記念会は、私は理事長であり、私以外は理事長ではない。⇔
① ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}⇔
① すべてのxについて{xがタゴール記念会の会員であるならば、あるyは[私であって、理事長であって、すべてのzについて(zがxの理事長であるならば、yとzは「同一人物」である)]}。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(12)(17)により、
(18)
① タゴール記念会は、私が理事長です。⇔
① ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}。
に於ける、
① 私が理事長です。⇔
① ∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]。
といふ「日本語(命題関数)」は、「ラッセルの確定記述(Russell's theory of definite description)」に、相当する。
(19)
簡単に言うと、「論理式(well-formed formula)」かそのはじめにある量記号を除去した結果えられる式は「命題関数(Propositional function)」である。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、182頁改)
従って、
(19)により、
(20)
① ∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]
② ∃y[私y&理事長y &∀z(理事長z →y=z)]
③ ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}
に於いて、
① は、「(xに関する)命題関数」であって、
② は、「論理式」であって、
③ も、「論理式」である。
令和03年06月17日、毛利太。
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