―「昨日(令和03年06月01日)の記事」を補足します。―
(01)
1 (1) ∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)} A
2 (2) ∃x{タマx& ∃y(名前yx)} A
3 (3) 吾輩a&猫a&~∃y(名前ya) A
4(4) タマa& ∃y(名前ya) A
3 (5) ~∃y(名前ya) 3&E
4(6) ∃y(名前ya) 4&E
34(7) ~∃y(名前ya)&∃y(名前ya) 56&I
23 (8) ~∃y(名前ya)&∃y(名前ya) 247EE
12 (9) ~∃y(名前ya)&∃y(名前ya) 138EE
1 (ア) ~∃x{タマx& ∃y(名前yx)} 29RAA
1 (イ) ∀x~{タマx& ∃y(名前yx)} ア量化子の関係
1 (ウ) ~{タマa& ∃y(名前ya) イUE
1 (エ) ~タマa∨ ~∃y(名前ya) ウ、ド・モルガンの法則
1 (オ) ~∃y(名前ya)∨~タマa エ交換法則
1 (カ) ∃y(名前ya)→~タマa オ含意の定義
1 4(キ) ~タマa 6カMPP
12 (ク) ~タマa 24キEE
3 (ケ) 吾輩a&猫a 3&E
123 (コ) 吾輩a&猫a&~タマa クケ&I
123 (サ) ∃x(吾輩x&猫x&~タマx) コEI
12 (シ) ∃x(吾輩x&猫x&~タマx) 13サEE
12 (〃)あるxは(吾輩であって猫であるが、タマではない)。 13サEE
従って、
(01)により、
(02)
(ⅰ)∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)}。然るに、
(ⅱ)∃x{タマx& ∃y(名前yx)}。従って、
(ⅲ)∃x(吾輩x&猫x&~タマx)。
といふ「推論(三段論法)」、すなはち、
(ⅰ)あるxは{吾輩であって、猫であるが、あるyが、xの名前であることはない}。然るに、
(ⅱ)あるxは{タマであって、 あるyは、xの名前である}。 従って、
(ⅲ)あるxは{吾輩であって、猫であるが、タマではない}。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(02)により、
(03)
(ⅰ)吾輩は猫である。名前は無い。然るに、
(ⅱ)タマには名前がある。 従って、
(ⅲ)吾輩は猫であるが、タマではない。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
① 吾輩は猫である。名前は無い。⇔
① ∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)}⇔
① あるxは{吾輩であって、猫であるが、あるyが、xの名前であることはない}。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(05)
よく知られているように、「私が理事長です」は語順を変え、
理事長は、私です。
と直して初めて主辞賓辞が適用されのである。
(三上章、日本語の論理、1963年、40頁)
従って、
(05)により、
(06)
① 私が理事長である。
② 理事長は私である。
に於いて、
①=② である。
従って、
(06)により、
(07)
① 私が理事長である。
② 私は理事長であり、理事長は私である。
に於いて、
①=② である。
従って、
(07)により、
(08)
① 吾輩が猫である。
② 吾輩は猫であり、猫は吾輩である。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(09)
1 (1) ∀x{吾輩x⇔猫x &~∃y(名前yx)} A
2 (2) ∃x{タマx&~吾輩x&∃y(名前yx)} A
1 (3) 吾輩a⇔猫a &~∃y(名前ya) 1UE
1 (4) 吾輩a⇔猫a 3&E
1 (5) 吾輩a→猫a&猫a→吾輩a 4Df.⇔
1 (6) 猫a→吾輩a 5&E
7(7) タマa&~吾輩a&∃y(名前ya) A
7(8) タマa 7&E
7(9) ~吾輩a 7&E
7(ア) ∃y(名前ya) 7&E
1 7(イ) ~猫a 69MTT
1 7(ウ) タマa&~猫a 8イ&I
1 7(エ) タマa&~猫a&∃y(名前ya) ウエ&I
1 7(オ) ∃x{タマx&~猫x&∃y(名前yx)} エEI
12 (カ) ∃x{タマx&~猫x&∃y(名前yx)} 27オEE
12 (〃)あるx{はタマであって、猫ではなく、名前がある} 27オEE
従って、
(09)により、
(10)
(ⅰ)∀x{吾輩x⇔猫x &~∃y(名前yx)}。然るに、
(ⅱ)∃x{タマx&~吾輩x&∃y(名前yx)}。従って、
(ⅲ)∃x{タマx&~猫x& ∃y(名前yx)}。
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxについて{xが吾輩ならばxは猫であり、xが猫ならば吾輩であり、あるyがxの名前である、といふことはない}。然るに、
(ⅱ)あるxは{タマであり、吾輩ではなく、あるyは、xの名前である}。従って、
(ⅲ)あるxは{タマであり、 猫ではなく、あるyは、xの名前である}。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(08)(09)(10)により、
(11)
(ⅰ)吾輩が猫である。 名前は無い。然るに、
(ⅱ)タマは吾輩ではなく、名前が有る。従って、
(ⅲ)タマは、猫ではなく、名前が有る。
といふ「推論(三段論法)」は、「正しい」。
従って、
(08)~(11)により、
(12)
② 吾輩が猫である。名前は無い。⇔
② ∀x{吾輩x⇔猫x&~∃y(名前yx)}⇔
② すべてのxについて{xが吾輩ならばxは猫であり、xが猫ならば吾輩であり、あるyがxの名前である、といふことはない}。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(04)(12)により、
(13)
①「吾輩は猫である。名前は無い。」≡∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)}。
②「吾輩が猫である。名前は無い。」≡∀x{吾輩x⇔猫x&~∃y(名前yx)}。
といふ、2つの「等式」が、成立する。
然るに、
(14)
(ⅰ)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲(スコープ)は、問題になっている変数が現れる少なくとも2つの箇所を含むであろう(その1つの箇所は量記号そのもののなかにある);
(ⅱ)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲(スコープ)は、同じ変数を用いたいかなる他の量記号も含まないであろう。
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、183頁改)
従って、
(13)(14)により、
(15)
① ∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)}。
② ∀x{吾輩x⇔猫x&~∃y(名前yx)}。
に於いて、
①「変数x」の「作用範囲(Scope)」は、∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)}の「全体」であって、
②「変数x」の「作用範囲(Scope)」は、∀x{吾輩x⇔猫x&~∃y(名前yx)}の「全体」である。
然るに、
(16)
① ∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)}。
② ∀x{吾輩x⇔猫x&~∃y(名前yx)}。
に於いて、
①「変数x」は、「吾輩」に対する、言ふなれば、「代名詞」である。
②「変数x」は、「吾輩」に対する、言ふなれば、「代名詞」である。
従って、
(15)(16)により、
(17)
① ∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)}。
② ∀x{吾輩x⇔猫x&~∃y(名前yx)}。
に於ける、
① ~∃y(名前yx)
② ~∃y(名前yx)
といふ「論理式」は、
①「吾輩(x)の名前」である所の、yは、存在しない。
②「吾輩(x)の名前」である所の、yは、存在しない。
といふ、「意味」である。
従って、
(13)(17)により、
(18)
①「吾輩は猫である。(吾輩に)名前は無い。」≡∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)}。
②「吾輩が猫である。(吾輩に)名前は無い。」≡∀x{吾輩x⇔猫x&~∃y(名前yx)}。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(19)
三上は、助詞「は」の働きは節を超え(コンマ越え)、文さえ超える(ピリオド越え)ことが出来ると、主張する。それは、文を超える「は」の、「が」以下の格助詞とは明らかにパワーが違うことの表れなのだ。三上がその証明に使うのは、誰もが知っている文学作品「吾輩は猫である」の冒頭である(金谷武洋、日本語の文法の謎を解く、2003年、72頁)。
従って、
(19)により、
(20)
①「吾輩は猫である。名前は無い。」
②「吾輩が猫である。名前は無い。」
といふ「日本語」が、実際には、
①「吾輩は猫である。(吾輩に)名前は無い。」
②「吾輩が猫である。(吾輩に)名前は無い。」
といふ「意味」である。
といふことを、「ピリオド越え」と言ふ。
従って、
(18)(19)(20)により、
(21)
①「吾輩は猫である。名前は無い。」≡∃x{吾輩x&猫x&~∃y(名前yx)}。
②「吾輩が猫である。名前は無い。」≡∀x{吾輩x⇔猫x&~∃y(名前yx)}。
といふ「等式」が「成り立つ」が故に、
①「吾輩は猫である。(吾輩に)名前は無い。」
②「吾輩が猫である。(吾輩に)名前は無い。」
といふ「ピリオド越え」が、生じる、ことになる。
然るに、
(22)
(ⅰ)
1 (1)猫であるならば吾輩である。 仮定
2 (2) 吾輩でない。 仮定
3(3)猫である。 仮定
1 3(4) 吾輩である。 13肯定肯定式
123(5)吾輩でなくて、吾輩である。 24連言導入
12 (6)猫でない。 35背理法
1 (7)吾輩でないならば猫でない。 26条件法
(ⅱ)
1 (1)吾輩でないならば猫でない。 仮定
2 (2) 猫である。 仮定
3(3)吾輩でない。 仮定
1 3(4) 猫でない。 13肯定肯定式
123(5) 猫であって、猫でない。 24連言導入
12 (6)吾輩でないでない。 35背理法
12 (7)吾輩である。 6二重否定
1 (8)猫であるならば吾輩である。 27条件法
従って、
(22)により、
(23)
① 猫であるならば吾輩である。
② 吾輩でないならば猫でない。
に於いて、
①=② は、「対偶(Contraposition)」である。
従って、
従って、
(23)により、
(24)
① 猫は吾輩である。
② 吾輩以外は猫でない。
に於いて、
①=② は、「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(08)(12)(24)により、
(25)
② 吾輩が猫である。名前は無い。⇔
② ∀x{吾輩x⇔猫x&~∃y(名前yx)}⇔
② 吾輩は猫であり、吾輩以外は猫はゐない。名前ない。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(26)
② I am a cat. I have no name of mine.
であるならば、
② 吾輩が猫である。名前は無い。⇔
② 吾輩は猫であり、吾輩以外は猫はゐない。名前ない。
といふ「意味」には、ならない(はずである)。
従って、
(26)により、
(27)
② 吾輩は猫であり、吾輩以外は猫はゐない。名前ない。
といふのであれば、
② I am a cat.
ではなく、
② I am the cat.
であるべきである(はずである)。
然るに、
(28)
② I am a cat.
ではなく、いきなり、
② I am the cat.
といふのは、「不自然」である。
従って、
(22)~(28)により、
(29)
「逆」に言へば、
② I am the cat.
と言っても、「不自然」でない「文脈」が有るのであれば、
① 吾輩は猫である(∃x{吾輩x&猫x})。
ではなく、
② 吾輩が猫である(∀x{吾輩x⇔猫x})。
であっても、「不自然」ではない、といふことになる。
令和03年06月02日、毛利太。
0 件のコメント:
コメントを投稿