2017年11月11日土曜日

請以十五城易之

―「一昨日(平成29年11月09日)の記事の、続きです。」―
(29)
① 数請出自致。
② 数出請自致。
③ 請数出自致。
④ 請出数自致。
⑤ 出数請自致。
⑥ 出請数自致。
に於いて、、
① 数請出自致。
② 数出請自致。
③ 請数出自致。
については、「既に、説明した」通りです。
然るに、
(30)
④ 請(出数自致)。
⑤ 出数請(自致)。
⑥ 出請(数自致)。
の「訓読」は、三つとも、
④ (出でて数々自ら致さんことを)請ふ。
⑤ 出でて数々(自ら致さんことを)請ふ。
⑥ 出でて(数々自ら致さんことを)請ふ。
である。
すなはち、
(30)により、
(31)
④ 請出数自致。
⑤ 出数請自致。
⑥ 出請数自致。
の「訓読」は、三つとも、
④ 出でて数々自ら致さんことを請ふ。
⑤ 出でて数々自ら致さんことを請ふ。
⑥ 出でて数々自ら致さんことを請ふ。
である。
然るに、
(30)により、
(32)
④ (出でて数々自ら致さんことを)請ふ。
⑤      (自ら致さんことを)請ふ。
⑥    (数々自ら致さんことを)請ふ。
であるため、それぞれの、「頼む(請ふ)」際の「内容」は、「三つ」とも、「同じ」ではない。
従って、
(30)(32)により、
(33)
④ 請(出数自致)。
⑤ 出数請(自致)。
⑥ 出請(数自致)。
といふ「漢文」も、「三つとも、同じ」ではない。
従って、
(29)(33)により、
(34)
① 数請出自致。
② 数出請自致。
③ 請数出自致。
④ 請出数自致。
⑤ 出数請自致。
⑥ 出請数自致。
といふ「漢文」は、「六つとも、同じ」ではない
然るに、
(35)

然るに、
(36)
⑦ 請以十五城易
⑦ 請〔以(十五城)易(之)〕⇒
⑦ 〔(十五城)以(之)易〕請=
⑦ 〔(十五城を)以て(之に)易へんこと〕請ふ。
に於ける、

といふのは、すなはち、
⑧ 以十五城請易寡人之璧
⑧ 以(十五城)請〔易(寡人之璧)〕⇒
⑧ (十五城)以〔(寡人之璧)易〕請=
⑧ (十五城を)以て〔(寡の之璧に)易へんことを〕請ふ。

に於ける、
寡人之璧(和氏の璧)
に、他ならない。
cf.
和氏の璧(かしのへき、-たま)とは、中国の春秋時代・戦国時代の故事にあらわれた名玉(ウィキペディア)。
従って、
(35)(36)により、
(37)
⑦ 請以十五城易之(十八史略)。
⑧ 以十五城請易寡人之璧(史記列伝)。
の場合は、両方とも、実質的に
⑦ 十五城を以て寡人の璧に易へんことを請ふ(十八史略)。
⑧ 十五城を以て寡人の璧に易へんことを請ふ(史記列伝)。
である。
然るに、
(38)
⑧ 以十五城請易寡人之璧(史記列伝)。
の場合は、
⑧ 以十五城請易寡人之璧=
⑧ 以{十‐五‐城[請〔易(寡人之璧)〕]}⇒
⑧ {[〔(寡人之璧)易〕請]十‐五‐城}以=
⑧ {[〔(寡人の璧に)易へんと〕請ふに]十‐五‐城を}以てす。
といふ風にも、「読む」ことが、出来る。
従って、
(37)(38)により、
(39)
⑦ 十五城を以て寡人の璧に易へんことを請ふ(十八史略)。
⑧ 十五城を以て寡人の璧に易へんことを請ふ(史記列伝)。
ではなく、
⑧ に関しては、「新漢文大系(明治書院)」もさうしてゐるやうに、
⑧ 十五城を以て寡の之璧に易へんことを請ふ(史記列伝)。
のやうに、「」を打つべきである。
(40)
⑦ 請以十五城之寡人之璧。
⑧ 以十五城易之寡人之璧。
に於いて、
⑦「以十五城」といふ「副詞句」は、「」といふ「動詞」を「修飾」してゐて、
⑧「以十五城」といふ「副詞句」は、「」といふ「動詞」を「修飾」してゐる。
然るに、
(41)
⑦ 十五城を以て寡の之璧に易へんことを請ふ(十八史略)。
⑧ 十五城を以て寡の之璧に易へんことを請ふ(史記列伝)。
であるならば、いづれにせよ、
⑦「十五城」と「寡人の璧」の「交換」を望んでゐて、
⑧「十五城」と「寡人の璧」の「交換」を望んでゐる。
従って、
(41)により、
(42)
「命題」としては、
⑦ 請以十五城易之寡人之璧。
⑧ 以十五城請易之寡人之璧。
に於いて、
⑦=⑧ である。
然るに、
(43)
『十八史略』(じゅうはっし りゃく)は、南宋の曾先之によってまとめられた中国の子供向けの歴史読本。三皇五帝の伝説時代から南宋までの十八の正史を要約し、編年体で綴っている。― 中略 ―、中国文学者の高島俊男は、中国では古くから子供向けの書籍であることが正しく認識されていたが、日本人はこれを典拠たりうる歴史書と勘違いしてきたと批判している[4](ウィキペディア)。
然るに、
(44)
「十八史略の漢文」が読めないのであれば、「史記の漢文」は読めないし、「史記の漢文」が読めなければ、「十八史略の漢文」も読めない。
従って、
(45)
『十八史略』が、中国の子供向けの歴史読本である。といふことが、仮に、本当であるにせよ、残念ながら、「十八史略の漢文」が、「史記の漢文」よりも「簡単な漢文」である。といふわけではない。
平成29年11月11日、毛利太。

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