2017年11月4日土曜日

「鳥吾知其能飛」の「其の」について。

(01)
① その人の日本語の能力はネイティブのそれと同等である=
① その人の〔(日本語)の〕能力は〈{[〔(ネイティブ)の〕それ]と}同等〉である。
に於いて、
① ( )の   ⇒   の( )
① 〔 〕能力は ⇒ 能力は〔 〕
① ( )の   ⇒   の( )
① 〔 〕それ  ⇒  それ〔 〕
① [ ]と   ⇒   と[ ]
① { }同等  ⇒  同等{ }
① 〈 〉である ⇒ である〈 〉
といふ「移動」を行ふと、
① その人の日本語の能力はネイティブのそれと同等である=
① その人の〔(日本語)の〕能力は〈{[〔(ネイティブ)の〕それ]と}同等〉である ⇒
① その人の 能力は〔の(日本語)〕である〈同等{と[それ〔の(ネイティブ)〕]}〉=
① His ability〔of(Japanese)〕is〈equal{to[that〔of(a native speaker)〕]}〉=
① His ability of Japanese is equal to that of a native speaker.
といふ「英訳」が、成立する。
従って、
(01)により、
(02)
① その人の日本語の能力はネイティブのそれと同等である=
① His(her)ability of Japanese is equal to that of a native speaker.
といふ「英文和訳」は、「日本語の直訳」として「正しい」。
従って、
(02)により、
(03)
① その人の=「彼(彼女)の」である。
然るに、
(04)
・夫】[代名](中称の指示代名詞それその人。《参考》「その」は現代語では連体詞とするが、古文では「代名詞格助詞」とする(三省堂、全訳読解古語辞典、2007年、690頁)。
従って、
(03)(04)により、
(05)
の=「それの」であって、
の=「その人の」=「彼女)の」である。
然るに、
(06)
の竹の中にもと光る竹なむ一筋ありけり(竹取物語)。
であれば、「文脈」からすれば、明らかに、
の竹(複数)の中に根本が光る竹が一本あった。
といふ、ことになる。
従って、
(05)(06)により、
(07)
② その=「それ()の」であって、
② その=「その人(たち)の」=「彼(彼女)の」である。
然るに、
(08)
 キ そレ
[指示形容詞]《人・物・事などを指し、単数・複数のどちらも指す》 
(天野成之、漢文基本語辞典、1999年、75頁)
従って、
(07)(08)により、
(09)
の=「それ(ら)の」であって、
の=「その人(たち)の」=「彼ら(彼女ら)の」である。
然るに、
(10)
【1】[が][の]
① 主語を示す。〈・・・・・・が〉 日暮れるとき。 日暮るるとき。 汝が去りし日。
(中村菊一、重点整理 基礎からわかる古典文法、1978年、154頁改)
従って、
(09)(10)により、
(11)
④ 鳥、吾知其能飛=
④ 鳥、吾知(其能飛)⇒
④ 鳥、吾(其能飛)知=
④ 鳥、吾(其の能く飛ぶを)知る=
④ 鳥(について)、私は、彼らが飛べるといふことを知ってゐる。
といふ「漢文訓読」が、成立し、
+の=彼ら+が
である。
cf.
自分よく空を飛ぶものであるといふことを知っている。
(林秀一、十八史略・史記 漢書、1966年、70頁)
従って、
(12)
⑤ Birds, I know they can fly=
⑤ Birds, I know〔they can(fly)〕⇒
⑤ Birds, I 〔they (fly)can〕know=
⑤ 鳥, 私は 〔彼らば(飛べ)るといふことを〕知ってゐる=
⑤ 鳥、私は彼らが飛ぶことができることを知っている(グーグル翻訳)。
といふ「英文訓読」が、成立する。
然るに、
(13)
名詞節;名詞の働きをする節、文中での要素(主語・目的語・補語)となる。
 I know that there was a big church here. 〔目的語〕
(和田稔、シグマ新総合英語、1998年、19頁)
従って、
(12)(13)により、
(14)
⑤ Birds, I know that they can fly.
に於いて、
⑤ they は、「名詞節の主語」である。
然るに、
(15)
」は「格助詞」であって、「体言(名詞)」または「体言に準ずる語」にしか付かない。
従って、
(11)(15)により、
(16)
④「其の能く飛ぶ」+「
に於いて、
④「其の能く飛ぶ」は、「名詞節」である。
従って、
(16)により、
(17)
④ 其能飛(の能く飛ぶ)=They can fly
に於いて、
(They)は、「名詞節の主語」である。
然るに、
(18)
⑥ 秦王恐其破璧=
⑥ 秦王恐〔其破(璧)〕⇒
⑥ 秦王〔其(璧)破〕恐=
⑥ 秦王〔其の(璧を)破らんこと〕恐る=
⑥ 秦王は、相如が、璧を璧を砕いてしまふことを恐れた=
⑥ The king of 秦 was afraid that the man would crush the 璧(史記、廉頗藺相如列傳)。
従って、
(13)~(18)により、
(19)
④ 其能飛(其の能く飛ぶ)=They can fly.
⑥ 其破璧(其の璧を破る)=the man would crush the 璧.
に於いて、
=they(彼ら)   は、「名詞節の主語」である。
=the man(その人) は、「名詞節の主語」である。
平成29年11月04日、毛利太。

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