(01)
① 秦王恐其破璧=
① 秦王恐〔其破(璧)〕⇒
① 秦王〔其(璧)破〕恐=
① 秦王〔其の(璧を)破らんことを〕恐る=
① 秦王は、相如が、璧を璧を砕いてしまふことを恐れた(史記、廉頗藺相如列傳)。
然るに、
(02)
そ【其・夫】[代名](中称の指示代名詞)それ。その人。《参考》「その」は現代語では連体詞とするが、古文では「代名詞+格助詞」とする(三省堂、全訳読解古語辞典、2007年、690頁)。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 秦王恐其破璧(秦王、其の璧を破らんことを恐る)。
① 秦王恐其破璧(The king of 秦 was afraid that the man would crush the 璧)。
に於いて、
① 其=其の=その人が(相如が)
は、「(名詞節の)主語」である。
然るに、
(04)
② 相如持其璧睨柱欲以撃柱=
② 相如持(其璧)睨(柱)欲〔以撃(柱)〕⇒
② 相如(其璧)持(柱)睨〔以(柱)撃〕欲=
② 相如(其の璧を)持ち(柱を)睨み〔以て(柱に)撃たんと〕欲す=
② 相如は、其の璧を手に持ち、柱を見据へるとそれを柱に撃ち付けようとした(史記、廉頗藺相如列傳)。
然るに、
(02)により、
(05)
② 相如持其璧=
② 相如はその人の璧を持つ。
とするならば、
② 其の=その人の=相如の
でなければ、ならない。
然るに、
(06)
② その人の=His(Her)
である。
従って、
(05)(06)により、
(07)
② 相如持其璧=
② 相如 took his 璧。
である。
従って、
(02)(07)により、
(08)
「其」といふ「漢字」には、「彼(ら)の、彼女(ら)の、それ(ら)の」といふ「訳」が有っても、良いことになる。
然るに、
(09)
【1】[が][の]
① 主語を示す。〈・・・・・・が〉 日の暮るるとき。 汝が去りし日。
(中村菊一、重点整理 基礎からわかる古典文法、1978年、154頁)
従って、
(09)により、
(10)
「彼の言ふこと」=「彼が言ふこと」のやうな「名詞節の主語」の場合は、
「彼の・・・・」=「彼が・・・・」である。
然るに、
(11)
③ 君子不以其所以養人者害人=
③ 君子不{以[其所‐以〔養(人)〕者]害(人)}⇒
③ 君子{[其〔(人)養〕所‐以者]以(人)害}不=
③ 君子は{[其の〔(人を)養ふ〕所‐以の者を]以て(人を)害せ}ず。
従って、
(08)(10)(11)により、
(12)
③ 君子不以其所以養人者害人=
③ 君子は、彼が、人々を養ふ手段にしてゐる者(土地)のために、人々を害することはやうなことをしない。
といふ、「意味」になる。
(13)
③ 君子は、彼が、
では、「分りにくい」のであれば、
③ 君子は、彼自身が、
といふ風に、「言ひ換へ」ても、良い。
従って、
(11)(12)(13)により、
(14)
③ 君子不以其所以養人者害人=
③ 君子不{以[其所‐以〔養(人)〕者]害(人)}⇒
③ 君子{[其〔(人)養〕所‐以者]以(人)害}不=
③ 君子は{[其の〔(人を)養ふ〕所‐以の者を]以て(人を)害せ}ず=
③ 君子は、彼自身が、人々を養ふ手段にしてゐる所の、土地のために、人々を害することはやうなことをしない。
といふ、「意味」になる。
平成29年11月03日、毛利太。
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