2022年6月1日水曜日

「排他的論理和(強選言)」の「定義」。

(01)
排他的論理和【eXclusive OR】
XORとは、論理演算の一つで、二つの命題のいずれか一方のみが真のときに真となり、両方真や両方偽のときは偽となるものを言う。
(IT用語辞典、e-Wordsを参照)
(02)
論理学の「・・・あるいは・・・」は両立的選言に決めてある。それは論理学の体系がよりシンプルなものになるからである。
とりわけ、∨を両立的選言の方に決めておけば、排他的選言の方は∨と&と~によって簡単に表現できる ―(P∨Q)&~(P&Q)―。
(昭和堂入門選書、論理学の基礎、1994年、11頁)
然るに、
(01)(02)により、
(03)
両立的選言(∨) ではなく、
排他的選言(XOR)であれば、
① 二つの命題(PとQ)のどちらか一方が「真」であるならば、そのときに限って「真」である。
然るに、
(04)
① 二つの命題(PとQ)のどちらか一方が「真」であるならば、そのときに限って「真」である。
といふことは、
② 二つの命題(PとQ)が、両方とも「真」であることはなく、両方とも「偽」であることもない。
といふことである。
然るに、
(05)
② 二つの命題(PとQ)が、両方とも「真」であることはなく、両方とも「偽」であることもない。
といふことは、
③ Pの真理値とQの真理値は、一致しない。
といふことである。
然るに、
(06)
③ Pの真理値とQの真理値は、一致しない。
といふことは、「記号」で書くと、
④ ~(P⇔Q)
といふことである。
然るに、
(07)
(ⅰ)
1   (1) ~(P⇔Q)         A
1   (2)~{(P→Q)& (Q→P)} 1Df.⇔
1   (3) ~(P→Q)∨~(Q→P)  2ド・モルガンの法則
 2  (4) ~(P→Q)         A
 2  (5)~(~P∨Q)         4含意の定義
 2  (6)  P&~Q          5ド・モルガンの法則
 2  (7) (P&~Q)∨(Q&~P)  6∨I
  8 (8)        ~(Q→P)  A
  8 (9)       ~(~Q∨P)  8含意の定義
  8 (ア)         Q&~P   9ド・モルガンの法則
  8 (イ) (P&~Q)∨(Q&~P)  ア∨I
(ⅱ)
1    (1)(P&~Q)∨(Q&~P)  A
 2   (2)(P&~Q)         A
  3  (3) P→ Q          A
 2   (4) P             2&E
 23  (5)    Q          34MPP
 2   (6)   ~Q          2&E
 23  (7) Q&~Q          56&I
 2   (8)~(P→Q)         37RAA
 2   (9)~(P→Q)∨~(Q→P)  8∨I
   ア (ア)        Q&~P   A
    イ(イ)        Q→ P   A
   ア (ウ)        Q      ア&E
   アイ(エ)           P   イウMPP
   ア (オ)          ~P   ア&E
   アイ(カ)        P&~P   エオ&I
   ア (キ)       ~(Q→P)  イカRAA
   ア (ク)~(P→Q)∨~(Q→P)  キ∨I
1    (ケ)~(P→Q)∨~(Q→P)  129アク∨E
1    (コ)~{(P→Q)&(Q→P)} ケ、ド・モルガンの法則
1    (サ)~(P⇔Q)         コDf.⇔
然るに、
(08)
(ⅲ)
1       (1) (P&~Q)∨(Q&~P) A
 2      (2) (P& Q)        A
  3     (3) (P&~Q)        A
 2      (4)     Q         2&E
  3     (5)    ~Q         3&E
 23     (6)  Q&~Q         45&I
  3     (7)~(P& Q)        2RAA
   8    (8)        (Q&~P) A
  3     (9)            P  2&E
   8    (ア)           ~P  8&E
  38    (イ)         P&~P  9ア&I
   8    (ウ)~(P& Q)        38RAA
1       (エ)~(P& Q)        1378ウ∨E
    オ   (オ)  P            A
     カ  (カ)     Q         A
    オカ  (キ)  P& Q         オカ&I
1   オカ  (ク)~(P&Q)&(P&Q)   エキ&I
1   オ   (ケ)    ~Q         カクRAA
1       (コ)  P→~Q         オケCP
      サ (サ)  Q            A
       シ(シ)  P            A
      サシ(ス)  P& Q         シサ&I
1     サシ(セ)~(P&Q)&(P&Q)   エス&I
1     サ (ソ)    ~P         シセRAA
1       (タ)  Q→~P         サソCP
1       (チ) (P→~Q)&(Q→~P) コタ&I
従って、
(07)(08)により、
(09)
① ~(P⇔ Q)
②  (P&~Q)∨(Q&~P)
③  (P→~Q)&(Q→~P)
於いて、
①=② であって、
②⇒③ である。
従って、
(09)により、
(10)
① ~(P⇔Q)
②(PであってQでない)か、または(QであってPでない)。
③(Pならば、Qでなく)、その上、(Qならば、Pでない)。
於いて、
①=② であって、
②⇒③ である。
然るに、
(11)
(ⅰ)
②(P&~Q)∨(Q&~P)
に於いて、
(P=&Q=)であるならば、
②(真& 偽)∨(真& 偽)で、「」である。
(ⅱ)
(P=真&Q=偽)であるならば、
②(真& 真)∨(偽& 偽)で、「真」である。
(ⅲ)
(P=偽&Q=真)であるならば、
②(偽& 偽)∨(真& 真)で、「真」である。
(ⅳ)
(P=&Q=)であるならば、
②(偽& 真)∨(偽& 真)で、「」である。
従って、
(09)(10)(11)により、
(12)
②(P&~Q)∨(Q&~P)
すなはち、
②(PであってQでない)か、または(QであってPでない)。
であるならば、
② 二つの命題(PとQ)のいずれか一方のみが真のときに真となり、両方真や両方偽のときは偽となる。
(01)(12)により、
(13)
②(P&~Q)∨(Q&~P)
すなはち、
②(PであってQでない)か、または(QであってPでない)。
は、「排他的論理」は、そのものである。
然るに、
(01)により、
(14)
①(P∨Q)&~(P&Q)
であれば、すなはち、
①(PあるいはQ)であるが(PであってQである)といふことはない。
であれば、この場合も、「排他的論理和」である。
従って、
(13)(14)により、
(15)
①(P∨ Q)&~(P&Q)
②(P&~Q)∨(Q&~P)
すなはち、
①(PあるいはQ)であるが(PであってQである)といふことはない。
②(PであってQでない)か、または(QであってPでない)。
といふ「2つの言ひ方」は、両方とも、「排他的論理和」である。
然るに、
(01)(14)(15)により、
(16)
② 二つの命題(PとQ)のいずれか一方のみが真のときに真となり、両方真や両方偽のときは偽となる。
といふのであれば、すなはち、「排他的選言」をいふのであれば、
①(PあるいはQ)であるが(PであってQである)といふことはない。
といふ「言ひ方」より、
②(PであってQでない)か、または(QであってPでない)。
といふ「言ひ方」の方が、すなはち、
①(P∨ Q)&~(P&Q)
といふ「論理式」よりも、
②(P&~Q)∨(Q&~P)
といふ「論理式」の方が、分かりやすい。
令和04年06月01日、毛利太。

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