2022年6月16日木曜日

(MTTによる)パースの法則の「証明」。

(01)
パースの法則(パースのほうそく)は哲学者であり論理学者であるチャールズ・サンダース・パースにちなむ論理学における法則である。彼の最初の命題論理の公理化において、この法則を公理に採用した。この公理は、含意と呼ばれるただひとつの結合子を持つ体系における「排中律」であると考えることもできる。命題計算では、パースの法則は ((P→Q)→P)→P のことを言う(ウィキペディア)。
従って、
(01)により、
(02)
((P→Q)→P)→P
といふこと、すなはち、
((PであるならばQである)ならばPである)ならばPである。
といふことを、「パースの法則」といふ。
然るに、
(03)
1  (1)  (P→Q)→P   A
1  (2) ~(P→Q)∨P   1含意の定義
 3 (3)~(~P∨Q)     2含意の定義
 3 (4)  P&~Q      3ド・モルガンの法則
 3 (5)  P         4&E
  6(6)        P   A
1  (7)  P         13566∨E
   (8)((P→Q)→P)→P 17CP
従って、
(02)(03)により、
(04)
『含意の定義・ド・モルガンの法則』を用ひれば、
((PであるならばQである)ならばPである)ならばPである。
といふことを、「パースの法則」が、「恒真式(トートロジー)」であることを、「簡単に証明」出来る。
然るに、
(05)
次(06)に示す通リ、
『含意の定義・ド・モルガンの法則』を用ひなくとも、
①  (P→Q)→P      であって、その上、
②   Pでない。       とすると、
③    Pであって、Pでない。 といふ風に、「矛盾」が生じるため、
④    Pである。             とふことになり、それ故、
⑤((P→Q)→P)→P   である。
(06)
1    (1)  (P→ Q)→P  A
 2   (2)        ~P  A
12   (3) ~(P→ Q)    12MTT
  4  (4) ~(P&~Q)    A
   5 (5)   P        A
    6(6)     ~Q     A
   56(7)   P&~Q     56&I
  456(8) ~(P&~Q)&
          (P&~Q)    47&I
  45 (9)    ~~Q     67RAA
  45 (ア)      Q     9DN
  4  (イ)   P→ Q     5CP
124  (ウ) ~(P→ Q)&
          (P→ Q)    3イ&I
12   (エ)~~(P&~Q)    4ウRAA
12   (カ)  (P&~Q)    エDN
12   (キ)   P        カDN
12   (ク)   P&~P     2キ&I
1    (ケ)    ~~P     2クRAA
1    (コ)      P     ケDN
     (サ)((P→Q)→P)→P 1コCP
然るに、
(07)
((P→Q)→P)→P
((PであるならばQである)ならばPである)ならばPである。
といふ「パースの法則」を、初めて見たとき、
「ずいぶんと、変はった恒真式」であると、思ったことは、事実である。
然るに、
(08)
(ⅰ)
1  (1)  (P→Q)→P A
1  (2) ~(P→Q)∨P 1含意の定義
 3 (3)~(~P∨Q)   2含意の定義
 3 (4)  P&~Q    3ド・モルガンの法則
 3 (5) (P&~Q)∨P 4∨I
  6(6)        P A
  6(7) (P&~Q)∨P 6∨I
(ⅱ)
1  (1) (P&~Q)∨P A
 2 (2) (P&~Q)   A
 2 (3)~(~P∨Q)   2ド・モルガンの法則
 2 (4)~(~P∨Q)∨P 3∨I
  5(5)        P A
  5(6)~(~P∨Q)∨P 5∨I
1  (7)~(~P∨Q)∨P 12456∨E
1  (8)~(~P∨Q)→P 7含意の定義
1  (9)  (P→Q)→P 8含意の定義
従って、
(08)により、
(09)
①(P→ Q)→P
②(P&~Q)∨P
に於いて、すなはち、
①(PであるならばQである)ならばP)
②(PであってQでない)か、またはPである。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(10)
②(PであってQでない)か、またはPである。
といふのであれば、いづれにせよ
③ Pである。
といふことは、「当然」である。
従って、
(09)(10)により、
(11)
① (PであるならばQである)ならばP)
② (PであってQでない)か、またはPである。
③   Pである。
に於いて、
①=② であって、その上、
②⇒③ であるため、
①⇒③ であって、それ故、
①((PであるならばQである)ならばPである)ならばPである。
といふ「命題」は、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(12)
①(P→Q)→P
といふ「論理式」に対して、
② P→(Q→P)
といふ「論理式」は、すなはち、ラッセルとホワイトヘッドの「公理1」は、
それ自体は、「恒真式(トートロジー)」であるが、
②(P→(Q→P))→P
は、「恒真式(トートロジー)」ではない。
(13)
1(1) P→( Q→P) A
1(2)~P∨( Q→P) 1含意の定義
1(3)~P∨(~Q∨P) 2含意の定義
1(4)~P∨(P∨~Q) 3交換法則
1(5)(~P∨P)∨~Q 4結合法則
1(〃)( 排中律 )∨~Q 4結合法則
(14)
②(Pでないか、Pである)か、または、Qでない。
といふのであれば、
②(Pでないか、Pである)
といふことが、「真(本当)」であるとしても、
②  Pである。
とは、限らない。
従って、
(11)(12)(13)により、
(14)
①((P→Q)→P)→P
②(P→(Q→P))→P
に於いて、すなはち、
①((PであるならばQである)ならばPである)ならばPである。
②(Pであるならば(QであるならばPである))ならばPである。
に於いて、
① は、「恒真式(トートロジー)」であるが、
② は、「恒真式(トートロジー)」ではない。
然るに、
(15)
今まで、生きて来て、
①((雨であるならば、家にゐる)ならば雨である)ならば雨である。
②(雨であるならば(家にゐるならば、雨である))ならば雨である。
といふ風に、誰かに対して、発言した人物は、思ふに、殆ど、ゐないはずであるし、バカボンのパパも、
①((雨であるならば、家にゐる)ならば雨である)ならば雨である。
のやうな「恒真命題(トートロジー)」を、言ってはゐない。
然るに、
(16)
①((雨であるならば、家にゐる)ならば雨である)ならば雨である。
②(雨であるならば(家にゐるならば、雨である))ならば雨である。
から、「括弧」除くと、
① 雨であるならば、家にゐるならば、雨であるならば雨である。
② 雨であるならば、家にゐるならば、雨であるならば雨である。
は、「区別」が付かない。
従って、
(14)(15)(16)により、
(17)
「当然」ではあるものの、
①((P→Q)→P)→P
②(P→(Q→P))→P
に於ける「括弧」は、「無視」出来ない。
令和04年06月16日、毛利太。

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