2022年6月7日火曜日

「2つの選言三段論法」と「ド・モルガンの法則」。

(01)
「太郎かあるいは次郎が辞書をもっている」と言われるとき、「太郎が辞書をもっている」と「次郎が辞書をもっている」の二つの命題は同時に真になることが可能である。
このような選言は「両立的選言と」呼ばれる。
「太郎は3階か5階にいる」と言われるとき、「太郎は3階にいる」と「太郎は5階にいる」の二つの命題が同時に真になることはありえない。
このような選言は「排他的選言」である。
(昭和堂入門選書、論理学の基礎、1994年、11頁)
然るに、
(02)
PとQの両立的選言=P∨Q
PとQの排他的選言=P▽Q
といふ風に書くことにするが、 「∨」といふ「記号」に対して、
「▽」といふ「記号」は、「教科書」等には無いので、ここだけの「記号」である。
然るに、
(01)(02)により、
(03)
① 真▽真
② 真▽偽
③ 偽▽真
④ 偽▽偽
は、それぞれ、
① 偽
② 真
③ 真
④ 偽
である。
然るに、
(04)
①(真&~真)∨(真&~真)
②(真&~偽)∨(偽&~真)
③(偽&~真)∨(真&~偽)
④(偽&~偽)∨(偽&~偽)
は、それぞれ、
①(真&偽)∨(真&偽)
②(真&真)∨(偽&偽)
③(偽&偽)∨(真&真)
④(偽&真)∨(偽&真)
であって、これらは、
①(偽)∨(偽)
②(真)∨(偽)
③(偽)∨(真)
④(偽)∨(偽)
であって、これらは、
① 偽
② 真
③ 真
④ 偽
である。
従って、
(03)(04)により、
(05)
①  P▽  Q
②(P&~Q)∨(Q&~P)
に於いて、
①=② である。
従って、
(06)
① P▽ Q
②(P&~Q)∨(Q&~P)
に於いて、すなはち、
①  PとQの、どちらか一方だけが、本当である。
②(Pであって、Qでない)か、または(Qであって、Pでない)。
に於いて、
①=② である。
従って、
(07)
1(1) P▽ Q         A
1(2)(P&~Q)∨(Q&~P) 1Df.▽
1(3) P▽ Q         2Df.▽
とする。
然るに、
(08)
1   (1)   P▽ Q         A
1   (2)  (P&~Q)∨(Q&~P) 1Df.▽
 3  (3) (~P&~Q)        A
  4 (4)  (P&~Q)        A
 3  (5)  ~P            3&E
  4 (6)   P            4&E
 34 (7)  ~P&P          56&I
  4 (8)~(~P&~Q)        37RAA
   9(9)         (Q&~P) A
 3  (ア)         ~Q     3&E
   9(イ)          Q     9&E
 3 9(ウ)         ~Q&Q   アイ&I
   9(エ)~(~P&~Q)        3ウRAA
1   (オ)~(~P&~Q)        1489エ∨E
従って、
(08)により、
(09)
①    P▽ Q
② ~(~P&~Q)
に於いて、
①⇒② である。
然るに、
(10)
(ⅱ)
1   (1)~(~P&~Q)  A
 2  (2) ~(P∨ Q)  A
  3 (3)   P      A
  3 (4)   P∨ Q   3∨I
 23 (5) ~(P∨ Q)&
         (P∨ Q)  24&I
 2  (6)  ~P      35RAA
   7(7)      Q   A
   7(8)   P∨ Q   7∨I
 2 7(9) ~(P∨ Q)&
         (P∨ Q)  28&I
 2  (ア)     ~Q   79RAA
 2  (イ)  ~P&~Q   6ア&I
12  (ウ)~(~P&~Q)&
        (~P&~Q)  1イ&I
1   (エ)~~(P∨ Q)  2ウRAA
1   (オ)  (P∨ Q)  エDN
(ⅲ)
1   (1)   P∨ Q       A
 2  (2)  ~P&~Q       A
  3 (3)   P          A
 2  (4)  ~P          2&E
 23 (5)   P&~P       34&I
  3 (6)~(~P&~Q)      25RAA
   7(7)      Q       A
 2  (8)     ~Q       2&E
 2 7(9)   Q&~Q       78&I
   7(ア)~(~P&~Q)      29RAA
1   (イ)~(~P&~Q)      1367ア∨E
従って、
(10)により、
(11)
② ~(~P&~Q)
③    P∨ Q
に於いて、
②=③ である(ド・モルガンの法則)。
従って、
(10)(11)により、
(12)
①    P▽ Q
② ~(~P&~Q)
③    P∨ Q
に於いて、
①⇒② であるが、
②⇔③ である。
従って、
(12)により、
(13)
「番号」を付け直すと、
①    P▽ Q
②    P∨ Q
③ ~(~P&~Q)
に於いて、
①⇒③ であるが、
②⇔③ であるため、いづれにせよ、
① ならば、③ であって、
② ならば、③ である。
然るに、
(14)
(ⅲ)
1  (1)~(~P&~Q)  A
 2 (2)  ~P      A
  3(3)     ~Q   A
 23(4)  ~P&~Q   23&I
123(5)~(~P&~Q)&
       (~P&~Q)  14&I
12 (6)    ~~Q   35RAA
12 (7)      Q   6DN
1  (8)  ~P→ Q   27CP
(ⅳ)
1  (1)  ~P→ Q  A
 2 (2)  ~P&~Q  A
 2 (3)  ~P     2&E
12 (4)      Q  13MPP
 2 (5)     ~Q  2&E
12 (6)   Q&~Q  45&I
1  (7)~(~P&~Q) 26RAA
従って、
(14)により、
(15)
③ ~(~P&~Q)
④   ~P→ Q
に於いて、
③=④ である。
従って、
(13)(15)により、
(16)
①    P▽ Q
②    P∨ Q
③ ~(~P&~Q)
④   ~P→ Q
に於いて、
①⇒③ であるが、
②=③ であるため、いづれにせよ、
① ならば、③ であって、
② ならば、③ であって、尚且つ、
③=④ である。
従って、
(16)により、
(17)
①    P▽ Q
②    P∨ Q
③ ~(~P&~Q)
④ ~P→ Q
に於いて、
① ならば、③ であり、③ ならば、④ である。
② ならば、③ であり、③ ならば、④ である。
従って、
(17)により、
(18)
①  P▽Q
②  P∨Q
③ ~P→Q
に於いて、
① ならば、③ である。
② ならば、③ である。
従って、
(01)(02)(18)により、
(19)
① P▽Q,~P├ Q
② P∨Q,~P├ Q
といふ「推論」、すなはち、
① PとQの、どちらか一方だけが、本当である。然るに、Pはウソである。故に、Qは本当である。
② PとQの、少なくとも一方は、 本当である。然るに、Pはウソである。故に、Qは本当である。
といふ「推論(選言三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(01)(02)(19)により、
(20)
①「排他的選言三段論法」は、「妥当」であり、
②「両立的選言三段論法」も、「妥当」である。
然るに、
(10)により、
(21)
1   (1)~(~P&~Q)  A
 2  (2) ~(P∨ Q)  A
  3 (3)   P      A
  3 (4)   P∨ Q   3∨I
は、「妥当」である。
然るに、
(22)
1   (1)~(~P&~Q)  A
 2  (2) ~(P▽ Q)  A
  3 (3)   P      A
  3 (4)   P▽ Q   3∨I
は、「妥当」ではない。
(23)
  3 (3)   P      A
であれば、「仮定の規則(A)」によって、
この時点で、
  3 (4)   真▽ Q   3∨I
であり、そのため、
  3 (4)   真▽ 偽   3∨I
ではなく、
  3 (4)   真▽    3∨I
であれば、
  3 (4)   P▽ Q   3∨I
は、「」であるからである。
従って、
(10)(21)(22)(23)により、
(24)
(ⅱ)
1   (1)~(~P&~Q)  A
 2  (2) ~(P▽ Q)  A
  3 (3)   P      A
  3 (4)   P▽ Q   3▽I
 23 (5) ~(P▽ Q)&
         (P▽ Q)  24&I
 2  (6)  ~P      35RAA
   7(7)      Q   A
   7(8)   P▽ Q   7▽I
 2 7(9) ~(P▽ Q)&
         (P▽ Q)  28&I
 2  (ア)     ~Q   79RAA
 2  (イ)  ~P&~Q   6ア&I
12  (ウ)~(~P&~Q)&
        (~P&~Q)  1イ&I
1   (エ)~~(P▽ Q)  2ウRAA
1   (オ)  (P▽ Q)  エDN
といふ「推論」は、
  3 (4)   P▽ Q   3▽I
   7(8)   P▽ Q   7▽I
の「部分」が「妥当」ではないため、「全体」として、「妥当」ではない。
従って、
(02)(03)(10)(11)(24)により、
(25)
「ド・モルガンの法則」は、
「両立的選言」では、「成立」するが、
排他的選言」では、「半分」しか「成立」しない。
すなはち、
(26)
①    P▽ Q
② ~(~P&~Q)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① であるとは、限らない。
令和04年06月07日、毛利太。

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