(01)
① 食(馬)者不〔知(其能千里)〕而食也。
② 食(馬)者不〔知(其能千里)而食〕也。
③ 食(馬)者不〔知(其能千里而食)〕也。
といふ「3通リの管到(スコープ)」が考へられる。
然るに、
(02)
① 食馬者不知其能千里而食也=
① 食レ馬者不レ知二其能千里一而食也=
① 食(馬)者不〔知(其能千里)〕而食也⇒
① (馬)食者〔(其能千里)知〕不而食也=
① (馬を)食ふ者は〔(其の能の千里なるを)知ら〕ずして食ふなり=
① 馬の飼い主は、自分の馬が千里も走る能力があることを知らないで飼うのである。
然るに、
(03)
② 食馬者不知其能千里而食也=
② 食レ馬者不下知二其能千里一而食上也=
② 食(馬)者不〔知(其能千里)而食〕也⇒
② (馬)食者〔(其能千里)知而食〕不也=
② (馬を)食ふ者は〔(其の能の千里なるを)知りて食は〕ざるなり=
② 馬の飼い主は、自分の馬が千里も走る能力があることを知って飼うことをしない。
cf.
(旺文社、漢文の基礎、1973年、154頁)
然るに、
(04)
(ⅰ)
1(1)馬は飼ふが(その馬の能力を知ら)ずに、馬を飼ふ。 A
1(2) その馬の能力を知らない。 1&E
(ⅱ)
1 (1)馬は飼ふが(その馬の能力を知って、馬を飼ふ)といふことは無い。 A
1 (2)馬を飼ふ。 1&E
1 (3) (その馬の能力を知って、馬を飼ふ)といふことは無い。 1&E
4 (4) 馬を飼ふ。 A
5(5) その馬の能力を知る。 A
45(6) (その馬の能力を知って、馬を飼ふ) 45&I
145(7) (その馬の能力を知って、馬を飼ふ)といふことは無く、
(その馬の能力を知って、馬を飼ふ)。 36&I
14 (8) その馬の能力を知らない。 57RAA
1 (9)馬を飼ふならば、その馬の能力を知らない。 49CP
1 (ア) その馬の能力を知らない。 29MPP
cf.
① P& ~Q&P ├ ~Q
② P&~(Q&P)├ ~Q
従って、
(02)(03)(04)により、
(05)
① 食レ馬者不レ知二其能千里一而食也。
② 食レ馬者不下知二其能千里一而食上也。
であるならば、すなはち、
① 食(馬)者不〔知(其能千里)〕而食也。
② 食(馬)者不〔知(其能千里)而食〕也。
であるならば、すなはち、
① 馬の飼い主は、自分の馬が千里も走る能力があることを知らないで、飼うのである。
② 馬の飼い主は、自分の馬が千里も走る能力があることを知って、飼うことをしない。
であるならば、いづれにせよ、
① 自分の馬が千里も走る能力があることを知らない。
② 自分の馬が千里も走る能力があることを知らない。
然るに、
(06)
③ 食馬者不知其能千里而食也=
③ 食レ馬者不レ知二其能千里而食也一=
③ 食(馬)者不〔知(其能千里而食)〕也⇒
③ (馬)食者〔(其能千里而食)知〕不也=
③ (馬を)食ふ者は〔(其の能く千里にして食ふを)知ら〕ざるなり=
③ 馬を飼う者は、その馬が千里を走ることができて、(一食に、5.9リットルも)食べるのだということを知らない。
cf.
(日栄社、1日1題30日完成 漢文〔高校上級用〕、解答、1980年、11頁)
従って、
(06)により、
(07)
③ 食レ馬者不レ知二其能千里而食也一。
であるならば、すなはち、
③ 食(馬)者不〔知(其能千里而食)〕也。
であるならば、
③ 自分の馬が千里も走る能力があって、(一食に、5.9リットルも)食べるのだということを知らない。
従って、
(05)(07)により、
(08)
① 食(馬)者不〔知(其能千里)〕而食也。
② 食(馬)者不〔知(其能千里)而食〕也。
③ 食(馬)者不〔知(其能千里而食)〕也。
といふ「管到(スコープ)」であれば、
① 自分の馬が千里も走る能力があることを知らない。
② 自分の馬が千里も走る能力があることを知らない。
③ 自分の馬が千里も走る能力があって、一石を食べるということを知らない。
といふ「意味」になる。
従って、
(08)により、
(09)
① 食(馬)者不〔知(其能千里)〕而食也。
② 食(馬)者不〔知(其能千里)而食〕也。
③ 食(馬)者不〔知(其能千里而食)〕也。
といふ「管到(スコープ)」であれば、「命題」として、
①=② であるが、
②=③ ではない。
令和5年5月12日、毛利太。
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