(01)
例2.1
01 自然数は偶数であるかまたは奇数である。
02 奇数の自乗は奇数である。
03 奇数は偶数ではない。
これらをもとにして
「自乗すると偶数になる自然数は偶数である。」
を証明する。この証明の文章構造がどのようになっているか眺められたい。
[証明]
04 aを任意の自然数を表す変数とし、
05 aの自乗が偶数であると仮定する。
《aが偶数であることを示せばよい。そのためには、aが偶数でないと仮定して矛盾を示せばよい。》
― 途中省略。―
15 したがって、aの自乗が偶数であるならば、aは偶数である。
《aは任意の自然数を表す変数である。》
(上江中洲忠弘、述語論理入門、2007年、17頁)
然るに、
(01)により、
(02)
① 奇数の自乗は奇数である。
② ある自然数の1乗が奇数である(偶数でない)ならば、その自然数の2乗も奇数である(偶数でない)。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(01)(02)により、
(03)
② ある自然数の1乗が奇数である(偶数でない)ならば、その自然数の2乗も奇数である(偶数でない)。
③ ある自然数の2乗が奇数でない(偶数である)ならば、その自然数の1乗も奇数でない(偶数である)。
に於いて、
②=③ は『対偶』である。
然るに、
(04)
③ ある自然数の2乗が偶数である(奇数でない)ならば、その自然数の1乗も偶数である(奇数でない)。
④ 自乗すると偶数になる自然数は偶数である。
に於いて、
③=④ である。
従って、
(01)~(04)により、
(05)
① 奇数の自乗は奇数である。
② ある自然数の1乗が奇数である(偶数でない)ならば、その自然数の2乗も奇数である(偶数でない)。
③ ある自然数の2乗が偶数である(奇数でない)ならば、その自然数の1乗も偶数である(奇数でない)。
④ 自乗すると偶数になる自然数は偶数である。
に於いて、
①=②=③=④ である。
従って、
(05)により、
(06)
① 奇数の自乗は奇数である。
といふ「日本語」を、
② ある自然数の1乗が奇数である(偶数でない)ならば、その自然数の2乗も奇数である(偶数でない)。
といふ「意味」であるとして、
③ ある自然数の2乗が偶数である(奇数でない)ならば、その自然数の1乗も偶数である(奇数でない)。
といふ『対偶』を考へれば、そのまま、
④ 自乗すると偶数になる自然数は偶数である。
といふ「命題」になる。
従って、
(01)(06)により、
(07)
④ 自乗すると偶数になる自然数は偶数である。
といふことを「証明」する際に、わざわざ、
[証明]
04 aを任意の自然数を表す変数とし、
05 aの自乗が偶数であると仮定する。
《aが偶数であることを示せばよい。そのためには、aが偶数でないと仮定して矛盾を示せばよい。》
― 途中省略。―
15 したがって、aの自乗が偶数であるならば、aは偶数である。
《aは任意の自然数を表す変数である。》
といふ「証明(背理法)」を行ふ「必要」はない。
然るに、
(08)
因みに、
(フェルマーの最終定理。アンドリュー・ワイルズはこうして証明した。楕円曲線と谷山・志村予想。超入門。)
といふのは、「(謎の数学者の)話」を聞く限り、
(1)「フェルマーの最終定理」が「マチガイ」ならば、「谷山・志村予想」も「マチガイ」である。然るに、
(2)「谷山・志村予想」も「マチガイ」ではない。従って、
(3)「フェルマーの最終定理」も「マチガイ」ではない。
といふ、『対偶による証明』のやうである。
令和5年5月24日、毛利太。
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