2023年5月21日日曜日

「代表的選言項」について。

(01)
{xの変域}={a、b、c}
であるとして、
FaかFbかFc=∃x(Fx)
従って、
(01)により、
(02)
① Fa ならば、それだけで、∃x(Fx)であり、
② Fb ならば、それだけで、∃x(Fx)であり、
③ Fc ならば、それだけで、∃x(Fx)である。
従って、
(02)により、
(03)
連式 Fa├ ∃x(Fx)は妥当であるとして受け入れるが、連式 ∃x(Fx)├ Fa は妥当とは考えず、
aは任意に選ばれているが、与えられたFもつ対象の1つではないかも知れないから、この連式は受け入れないのである。
(E.J.レモン 著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、149頁)
然るに、
(04)
{xの変域}={a、b、c}
であるとして、
FaでFbでFc=∀x(Fx)
従って、
(04)により、
(05)
① ∀x(Gx)ならば、それだけで、Ga であり、
② ∀x(Gx)ならば、それだけで、Gb であり、
③ ∀x(Gx)ならば、それだけで、Gc である。
従って、
(02)(05)により、
(06)
(ⅰ)
① Fa ならば、∃x(Fx)であり、
① ∃x(Fx)であるからといって、F であるとは、限らないが、
① ∀x(Gx)ならば、G である。
(ⅱ)
② Fb ならば、∃x(Fx)であり、
② ∃x(Fx)であるからといって、F であるとは、限らないが、
② ∀x(Gx)ならば、G である。
(ⅲ)
③ Fc ならば、∃x(Fx)であり、
③ ∃x(Fx)であるからといって、F であるとは、限らないが、
③ ∀x(Gx)ならば、G である。
従って、
(06)により、
(07)
∃x(Fx)&∀x(Gx)
であるならば、
① F&G
② F&G
③ F&G
といふ「3つ」の内の、「少なくとも1つ」が「(本当)」である。
従って、
(07)により、
(08)
∃x(Fx)&∀x(Gx)
であるならば、
① F&G
② F&G
③ F&G
に於いて、
③ である。
然るに、、
(01)(08)により、
(09)
① F&G
② F&G
③ F&G
に於いて、
③ である。
といふことは、
∃x(Fx&Gx)
といふことに、他ならない。
従って、
(08)(09)により、
(10)
∃x(Fx)&∀x(Gx)
であるならば、
∃x(Fx&Gx)
である。
然るに、
(11)
{xの変域}={a、b、c}
であるとして、
(ⅰ)
1 (1)∃x(Fx)&∀x(Gx) A
1 (2)∃x(Fx)        1&E
 2(3)   Fa         A
1 (4)       ∀x(Gx) 1&E
1 (5)          Ga  4UE
12(6)   Fa&Ga      35&I
12(7)∃x(Fx&Gx)     6EI
(ⅱ)
1 (1)∃x(Fx)&∀x(Gx) A
1 (2)∃x(Fx)        1&E
 2(3)   Fb         A
1 (4)       ∀x(Gx) 1&E
1 (5)          Gb  4UE
12(6)   Fa&Ga      35&I
12(7)∃x(Fx&Gx)     6EI
(ⅲ)
1 (1)∃x(Fx)&∀x(Gx) A
1 (2)∃x(Fx)        1&E
 2(3)   Fc         A
1 (4)       ∀x(Gx) 1&E
1 (5)          Gc  4UE
12(6)   Fc&Gc      35&I
12(7)∃x(Fx&Gx)     6EI
従って、
(11)により、
(12)
(ⅰ)
1 (2)∃x(Fx)        1&E
 2(3)   Fa         A
(ⅱ)
1 (2)∃x(Fx)        1&E
 2(3)   Fb         A
(ⅲ)
1 (2)∃x(Fx)        1&E
 2(3)   Fc         A
従って、
(11)(12)により、
(13)
(ⅰ) 1 (2)∃x(Fx)        1&E
 2(3)   F         A
に於ける、
 2(3)   F         A
の「a」は、「」の「代表」であると、見做すことが出来る。
従って、
(13)により、
(14)
1 (2)∃x(Fx)        1&E
 2(3)   F         A
に於ける、
 2(3)   F         A
の「a」を、「代表的選言項(typical disjunction)」と呼ぶ。
cf.
(E.J.レモン著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、144頁)
令和5年5月21日、毛利太。

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