2023年5月31日水曜日

「排他的選言」と「選言三段論法」について。

(01)
論理学の「・・・あるいは・・・」は両立的選言に取り決められている。
それは論理学の体系がよりシンプルなものになるからである。とりわけ、
∨を両立的選言に決めておけば、排他的選言の方は∨と&と~によって 簡単に表現できる―(P∨Q)&~(P&Q)―。
(昭和堂刊、論理学の基礎、1994年、11頁)
従って、
(01)により、
(02)
①(P∨Q)&~(P&Q)
といふ「選言」、すなはち、
①(Pか、または、Qである)が、(Pであって、尚且つ、Qである)といふことはない。
といふ場合の「選言」を、「排他的選言」といふ。
然るに、
(03)
(ⅰ)
1    (1)(P∨Q)&~(P&Q)  A
1    (2)      ~(P&Q)  1&E
 3   (3)        P     A
  4  (4)          Q   A
 34  (5)        P&Q   34&I
134  (6)~(P&Q)&(P&Q)  25&I
13   (7)         ~Q   46RAA
1    (8)       P→~Q   37CP
1    (9)(P∨Q)         1&E
   ア (ア) P            A
1  ア (イ)         ~Q   8アMPP
1  ア (ウ) P&~Q         アイ&I
1  ア (エ)(P&~Q)∨(Q&~P) ウ∨I
    オ(オ)   Q          A
    オ(カ) ~~Q          オDN
1   オ(キ)      ~P      8カMTT
1   オ(ク)    Q&~P      オキ&I
1   オ(ケ)(P&~Q)∨(Q&~P) ク∨I
1    (コ)(P&~Q)∨(Q&~P) 1アエオケ∨E
(ⅱ)
1   (1)(P&~Q)∨(Q&~P) A
 2  (2)(P&~Q)        A
 2  (3) P            2&E
 2  (4) P∨Q          3∨I
  5 (5)        Q&~P  A
  5 (6)        Q     5&E
  5 (7)      P∨Q     6∨I
1   (8) P∨Q          12457∨E
   9(9)        P& Q  A
   9(ア)           Q  9&E
 2  (イ)   ~Q         2&E
 2 9(ウ)   ~Q&Q       アイ&I
 2  (エ)      ~(P& Q) 9ウRAA
   9(オ)        P     9&E
  5 (カ)          ~P  5&E
  59(キ)        P&~P  オカ&I
  5 (ク)      ~(P& Q) 9キRAA
1   (ケ)      ~(P& Q) 12エ5ク∨E
1   (コ)(P∨Q)&~(P& Q) 8ケ&I
従って、
(03)により、
(04)
①(P∨ Q)&~(P&Q)
②(P&~Q)∨(Q&~P)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(05)
(ⅱ)
1  (1) (P&~Q)∨(Q&~P)  A
 2 (2) (P&~Q)         A
 2 (3)~(~P∨Q)         2ド・モルガンの法則
 2 (4) ~(P→Q)         3含意の定義
 2 (5) ~(P→Q)∨~(Q→P)  4∨I
  6(6)        (Q&~P)  A
  6(7)       ~(~Q∨P)  6ド・モルガンの法則
  6(8)        ~(Q→P)  7含意の定義
  6(9) ~(P→Q)∨~(Q→P)  8∨I
1  (ア) ~(P→Q)∨~(Q→P)  12569∨E
1  (イ)~{(P→Q)& (Q→P)} ア、ド・モルガンの法則
1  (ウ) ~(P⇔Q)         イDf.⇔
(ⅲ)
1  (1) ~(P⇔Q)         A
1  (2)~{(P→Q)& (Q→P)} 1Df.
1  (3) ~(P→Q)∨~(Q→P)  2ド・モルガンの法則
 4 (4) ~(P→Q)         A
 4 (5)~(~P∨Q)         4含意の定義
 4 (6) (P&~Q)         5ド・モルガンの法則
 4 (7) (P&~Q)∨(Q&~P)  6∨I
  8(8)        ~(Q→P)  A
  8(9)       ~(~Q∨P)  8含意の定義
  8(ア)        (Q&~P)  9ド・モルガンの法則
  8(イ) (P&~Q)∨(Q&~P)  ア∨I
1  (ウ) (P&~Q)∨(Q&~P)  1478イ∨E
従って、
(05)により、
(06)
②(P&~Q)∨(Q&~P)
③ ~(P⇔Q)
に於いて、
②=③ である。
従って、
(04)(06)により、
(07)
①(P∨ Q)&~(P&Q)
②(P&~Q)∨(Q&~P)
③ ~(P⇔Q)
に於いて、すなはち、
①(Pか、または、Qである)が、(Pであって、尚且つ、Qである)といふことはない。
②(Pであって、Qでない)か、または、(Qであって、Pではない)。
③(PとQが同時に真になること、並びに、PとQが同時に偽になること)はない
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(01)(07)により、
(08)
④ PとQの内の、どちらか一方だけが、である。
といふ場合の、
④ PかQ。
を、「排他的選言」といふ。
然るに、
(09)
(ⅰ)
1 (1)  P∨Q         A
1 (2)~~P∨Q         1DN
1 (3) ~P→Q         2含意の定義
 4(4) ~P           A
14(5)    Q         34MPP
(ⅱ)
1 (1) (P∨Q)&~(P&Q) A
1 (2)  P∨Q         1&E
1 (3)~~P∨Q         2DN
1 (4) ~P→Q         3含意の定義
 5(5) ~P           A
15(6)    Q         45MPP
従って、
(09)により、
(10)
①(P∨Q),       ~P├ Q
②(P∨Q)&~(P&Q),~P├ Q
といふ「連式」は、「両方」とも、「妥当」である。
従って、
(01)(07)~(10)により、
(11)
「Pか、または、Qであるが、Pではない。故に、Qである。」
といふ「推論(選言三段論法・消去法)」は、「両立的選言」に於いても、「排他的選言」に於いても、「両方」とも、「妥当」である。
令和5年5月31日、毛利太。

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