―「01月30日の記事の内の、二番目の方」を補足します。―
従って、
(25)により、
(26)
⑤ 我不敢告彼女真実=
⑤ 我不[敢〔告(彼女真実)〕]=
⑤ 我[〔(彼女真実)告〕敢]不
⑤ 我[〔(彼女に真実を)告ぐること〕敢へてせ]ず=
⑤ 私は(勇気がなくて、)彼女に真実を告げることが出来ない。
である。
然るに、
(27)
―[助](過去 ~ed)あえて[思い切って]・・・する。・・・する勇気がある。
I daren't tell her the truth. 彼女に本当ことを告げる勇気がない。
(東京書籍、フェイバリット英和辞典 第2版、2001年、377頁)
従って、
(26)(27)により、
(28)
⑤ 我不敢告彼女真実。
⑥ I dare not tell her the truth.
に於いて、
⑤=⑥ である。
従って、
(28)により、
(29)
⑤ 敢 (助動詞)
⑥ dare(助動詞)
に於いて、
⑤=⑥ である。
従って、
(27)(29)により、
(30)
「敢」は、
「・・・ことを(思い切って)する」。
「・・・ことを(意を)決してする」。
といふ「意味」である所の、「助動詞」である。
従って、
(31)
「・・・ことを(意を)決してする」。
に於いて、
「・・・」は「連体形」である。
従って、
(32)
⑦ 敢 逃。
⑧ 敢不逃。
⑨ 不敢 逃。
⑩ 不敢不逃。
であれば、
⑦ 敢 (逃)。
⑧ 敢〔不(逃)〕。
⑨ 不〔敢 (逃)〕。
⑩ 不[敢〔不(逃)〕]。
であって、
⑦ 逃る ことを(意を)決してする。
⑧ 逃げないことを(意を)決してする。
⑨ 逃る ことを(意を)決してしない(出来ない)。
⑩ 逃げないことを(意を)決してしない(出来ない)。
といふ、「意味」になる。
従って、
(32)により、
(33)
「訓読」は、
⑦ 逃ぐること 敢へてす。
⑧ 逃げざること敢へてす。
⑨ 逃ぐること 敢へてせず。
⑩ 逃げざること敢へてせず。
である。
然るに、
(34)
カン 敢 あヘテ[副詞]あヘテ《「思い切って・・・する」という強い意志を示す》
(天野成之、漢文基本語辞典、1999年、68頁)
従って、
(35)
漢文としては助動詞であると思われるけれども、訓読ではアヘテと読み、動詞から変化した副詞のように使われる。
(西田太一郎、漢文の語法、1980年、326頁)
従って、
(34)(35)により、
(36)
「学校」で習ふ所の、「敢」は、「助動詞」ではなく、「副詞」であるため、
⑦ 敢 逃。
⑧ 敢不逃。
⑨ 不敢 逃。
⑩ 不敢不逃。
に対する「訓読」は、
⑦ 敢へて逃ぐ。
⑧ 敢へて逃げず。
⑨ 敢へて逃げず。
⑩ 敢へて逃げずんばあらず。
である。
従って、
(32)(36)により、
(37)
実際には、
⑧ 逃ないことを(意を)決してする。
⑨ 逃る ことを(意を)決してしない(出来ない)。
といふ「意味の違ひ」が有るにもかかはらず。
⑧ 敢へて逃げず。
⑨ 敢へて逃げず。
といふ風に、「同じ、訓読」が行はれる。
従って、
(38)
当然、
⑧ 敢不逃。
⑨ 不敢逃。
⑧ 敢へて逃げず。
⑨ 敢へて逃げず。
といふ「漢文訓読」は、分りにくい。
(39)
⑧ 敢へて逃げず。
⑨ 敢へて逃げず。
ではなく、
⑧ 逃げざること敢へてす。
⑨ 逃ぐること 敢へてせず。
であるならば、例へば、次のやうな場合が、それに当る。
(40)
⑧ 一頭の、腹を空かしたトラが、一匹のキツネに向って、歩いて来るとして、
⑧ それでも、そのキツネは、勇気を出して、逃げださなかった。
とするならば、
⑧ 敢不逃。
⑧ 逃げざること敢へてす。
⑧ 逃ないことを(意を)決してする。
である。
(41)
⑨ 三階か四階か五階の、あなたの部屋が火事になり、ベランダから、地面に飛び降りなければ、あなたは助からない、可能性がある。として、
⑨ それでも、飛び降りるのが恐くて、飛び降りれない。
とするならば、
⑨ 不敢逃。
⑨ 逃ぐること 敢へてせず。
⑨ 逃ることを(意を)決してしない(出来ない)。
である。
(42)
⑧ 敢不逃。
⑧ 敢へて逃げず。
を「反語」にすると、
⑧ 敢不逃乎。
⑧ 逃げざること、敢へてせんや。
⑧ 逃ないことを(意を)決してするだらうか(。そのやうなことは無い)。
であるものの、その場合は、
⑧ 一頭の、腹を空かしたトラが、一匹のキツネに向って、歩いて来るとして、
⑧ それでも、そのキツネは、勇気を出して、逃げださない。などといふことがあるだろうか(そのやうなことは有り得ない)。
といふ、「意味」である。
平成29年01月31日、毛利太。
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