―「返り点」と「括弧」については、『「一二点・上下点」について(https://kannbunn.blogspot.com/2017/12/blog-post_26.html)』他を、お読み下さい。―
(01)
君が世。君が行く道。
君の道。君の行く道。
といふ「日本語」は、四つとも、「正しい」。
従って、
(01)により、
(02)
「の」と「が」は、本来的には、「同じ意味」である。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 鳥の(格助詞)啼く(連体形)を聞く。
② 鳥が(格助詞)啼いている(連体形)の(形式名詞)が聞こえる。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(04)
そ【其・夫】〔代名(指示・人称)〕
① それ。そこ。その人。そのこと。前にある人や事物をさす。[例]そが言ひけらく[その人が言ったことには]〈土佐日記〉
(大修館書店、古語林、1997年、766頁)。〔ポイント〕現代語では一語の連体詞とするが、古語では「そ(其)」が独立した代名詞として用いられるので、代名詞に格助詞「の」がついた連語として扱う(大修館書店、古語林、1997年、778頁)。
従って、
(01)~(04)により、
(05)
① 其=それ=鳥
② 其=それ=鳥
であるならば、
① 其の声を聞く =鳥の声が聞こえる。。
② 其の啼くを聞く=鳥が啼いているのが聞こえる。
である。
従って、
(05)により、
(06)
① 聞二其声一=其の声を聞く。
② 聞二其啼一=其の啼くを聞く。
に於いて、
① 其の=所有格(属格)。
② 其の=主語(主格)。
であって、
② に関しては、正確には、
② 其の=(主節の主語ではなく、名詞節の)主語。
である。
従って、
(06)により、
(07)
③ 其の
といふ「訓読」は、
③「所有格」であるか、
③「 主語 」であるかの、いづれかである。
従って、
(07)により、
(08)
③ 其の子を嫁す。
③ 其の居を成す。
に於ける、
③ 其の
といふ「訓読」は、
③「所有格」であるか、
③「 主語 」であるかの、いづれかである。
然るに、
(09)
③ 衛人嫁其子而教之曰、必私積聚。為人婦而出常也。其成居幸也⇒
③ 衛人嫁(其子)而教(之)曰、必私積聚。為(人婦)而出常也。其成(居)幸也⇒
③ 衛人(其子)嫁而(之)教曰、必私積聚。(人婦)為而出常也。其(居)成幸也=
③ 衛人(其の子を)嫁して(之に)教へて曰く、必ず私か積聚せよ。(人の婦と)為りて出さるる常なり。其の(居を)成さば幸いなり=
③ 衛の人がその娘を嫁にやる時に、娘に教ヘて言ふには、必ず、ひそかに、金品を貯へよ。人の妻となって離縁されることは、普通である。その家に居つくことが出来るとしたら、幸せである。
然るに、
(09)により、
(10)
③ 其の子を嫁す=衛人である、その人の子を、嫁す。
に於ける、
③ 其の子 の、
③ 其の は、明らかに、「所有格」である。
従って、
(09)(10)により、
(11)
③ 衛人 が、父親 であるならば、
③ 其の子=His child.
であって、
③ 衛人 が、母親 であるならば、
③ 其の子=Her child.
である。
然るに、
(09)により、
(12)
③ 嫁其子=動詞+目的語。
であるのに対して、
③ 其成居。
の場合は、
③ 成其居=動詞+目的語。
といふ「語順」には、なってゐない。
すなはち、
(13)
③ 其成居。
の場合は、
③ 成其居=動詞+目的語。
といふ「語順」ではなく、
③ 其成居=主語+動詞+目的語。
といふ「語順」である。
従って、
(13)により、
(14)
③ 其の居を成す=其の人の(Her)居を成す。
ではなく、
③ 其の居を成す=其の人(She)が居を成す。
である。
従って、
(02)(09)(14)により、
(14)
③ 其成居幸也=
③ 其の居を成すは幸いなり=
③ 其の人(She)が居を成すことは、幸いなことである。
といふ、「意味」になる。
従って、
(11)(14)により、
(15)
漢文に於ける、「其」には、「she/her」や、「He/His」といふ、「意味」があることになる。
然るに、
(16)
④ 鳥吾知其能飛=
④ 鳥吾知(其能飛)⇒
④ 鳥吾(其能飛)知=
④ 鳥、吾(其の能く飛ぶを)知る=
④ Birds, I know that they can fly.
従って、
(15)(16)により、
(17)
「其」には、少なくとも、「she/her.He/His.They/Their」といふ、「意味」があることになる。
然るに、
(18)
中国語は知らないものの、気になったので、「辞書」で調べたところ、
其 qi[1](所属を表し、”他的、她的、它的”に同じ)その.彼(ら)の.彼女(ら)の.それ(ら)の.2 彼(ら).彼女(ら).それ(ら).(小学館、中日辞典、1992年、1096頁)
との、ことである。
従って、
(17)(18)により、
(19)
漢文の「其」だけでなく、中国語の「其」にも、「she/her.He/His.They/Their」といふ、「意味」があると、思はれる。
平成29年12月28日、毛利太。
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