2018年8月6日月曜日

問題:ラッセルの「確定記述の理論」を用いて、証明せよ。

(a)『返り点と括弧』については、『「括弧」の「順番」(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html)』他をお読み下さい。
(b)『返り点』については、『「返り点」の「付け方」を教へます(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post_3.html)』他をお読み下さい。
(01)
5 Using Russell's theory of definite descriptions, establish the soundness of following argument;
(a)The author of "Mein Kampf" died in 1945; Hitler wrote "Mein Kampf"; therefore Hitler died in 1945.
(E.J.Lemmon, Beginning Logic, First pubished in Great Britain 1965)
5 ラッセルの確定記述の理論を用いて、つぎの論証の健全性を確立せよ。
(a)マイン・カンプの著者は1945年に死んだ。ヒトラーはマイン・カンプを書いた。故にヒトラーは1945年に死んだ。
(E.J.レモン 著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英、1973年、215頁)
然るに、
(01)により、
(02)
The author of "Mein Kampf" died in 1945.
従って、
(03)
「私の戦ひ」は、『複数の著者による「共著」』ではなく、『一人the author)による「著作」』である。
従って、
(04)
ヒトラーは「私の戦ひ」を書いた。
といふのではなく、
ヒトラー「私の戦ひ」を書いた。
とするのが、「正しい」。
従って、
(01)(04)により、
(05)
〔私の解答1〕
1  (1)∃x(私の戦ひx&45年死x)      A
 2 (2)   私の戦ひa&45年死a       A
  3(3)私の戦ひh&∀x(私の戦ひx→x=h)   A
  3(4)      ∀x(私の戦ひx→x=h)  3&E
  3(5)         私の戦ひa→a=h   4UE
 2 (6)   私の戦ひa             2&E
 23(7)               a=h   56MPP
 2 (8)         45年死a       2&E
 23(9)         45年死h       78=E
1 3(ア)         45年死h       129EE
1 3(〃)ヒトラーは1945年に死んだ。
(06)
〔私の解答2〕
1  (1) ∃x(私の戦ひx&45年死x)     A
 2 (2)    私の戦ひa&45年死a      A
  3(3)私の戦ひh&~∃x(私の戦ひx&x≠h) A
  3(4)      ~∃x(私の戦ひx&x≠h) A
  3(5)    ~∃x(~~私の戦ひx&x≠h) 4DN
  3(6)    ~∃x~(~私の戦ひx∨x=h) 5ドモルガンの法則
  3(7)    ~∃x~( 私の戦ひx→x=h) 6含意の定義
  3(8)    ~~∀x( 私の戦ひx→x=h) 7量化子の関係
  3(9)      ∀x( 私の戦ひx→x=h) 8DN1
 2 (イ)          私の戦ひa      2&E
 23(ウ)                a=h  イウMPP
 2 (エ)          45年死a      2&E
 23(オ)          45年死h      ウオ=E
1 3(エ)          45年死h      12オEE
1 3(〃)ヒトラーは1945年に死んだ。
(07)
〔私の解答3〕
1   (1)∃x(私の闘争x&45年死x)               A
 2  (2)   私の闘争a&45年死a                A
  3 (3)∃y{ヒトラーy&私の闘争y&∀x(私の闘争x→x=y)} A
   4(4)   ヒトラーb&私の闘争b&∀x(私の闘争x→x=b)  A
   4(5)               ∀x(私の闘争x→x=b)  4&E
   4(6)                  私の闘争a→a=b   5UE
 2  (7)                  私の闘争a       2&E
 2 4(8)                        a=b   67MPP
   4(9)   ヒトラーb                      4&E
 2 4(ア)   ヒトラーa                      89=E
 2  (イ)         45年死a                2&E
 2 4(ウ)   ヒトラーa&45年死a                アイ&I
 2 4(エ)∃x(ヒトラーx&45年死x)               ウEI
 23 (オ)∃x(ヒトラーx&45年死x)               34エEE
1 3 (カ)∃x(ヒトラーx&45年死x)               12オEE
1 3 (〃)あるxはヒトラーであって1945年に死んだ。
従って、
(01)~(07)により、
(08)
① ヒトラー「私の戦ひ」を書いた。
② 私の戦ひh&  ∀x(私の戦ひx→x=h)
③ 私の戦ひh&~∃x(私の戦ひx&x≠h)
④ ∃y{ヒトラーy&私の戦ひy&∀x(私の戦ひx→x=y)}
に於いて、
①=②=③=④ である。
従って、
(08)により、
(09)
① ヒトラー「私の戦ひ」を書いた。
②「私の戦ひ」の著者はヒトラーであって、すべてのxについて、xが「私の戦ひ」の著者であるならば、xはヒトラーである。
③「私の戦ひ」の著者はヒトラーであって、ヒトラー以外の、あるxが「私の戦ひ」の著者である、といふことはない。
④ あるyはヒトラーであって、「私の戦ひ」の著者であり、すべてのxについて、xが「私の戦ひ」の著者であるならば、xとyは「同一人物」である。
に於いて、
①=②=③=④ である。
然るに、
(10)
プリンキピア・マテマティカ - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/プリンキピア・マテマティカ
プリンキピア・マテマティカ(Principia Mathematica:数学原理)は、アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドとバートランド・ラッセルによって書かれ、1910年から1913年に出版された、数学の基礎に関する全3巻からなる著作である。
従って、
(09)(10)により、
(11)
① ラッセル「プリンキピア・マテマティカ」を書いた。
②「プリンキピア・マテマティカ」の著者はラッセルであって、すべてのxについて、xが「プリンキピア・マテマティカ」の著者であるならば、xはラッセルである。
③「プリンキピア・マテマティカ」の著者はラッセルであって、ラッセル以外の、あるxが「プリンキピア・マテマティカ」の著者である、といふことはない。
④ あるyはラッセルであって、「プリンキピア・マテマティカ」の著者であり、すべてのxについて、xが「プリンキピア・マテマティカ」の著者であるならば、xとyは「同一人物」である。
に於いて、
①=②=③=④ であるが、
① ラッセル「プリンキピア・マテマティカ」を書いた。
といふ「命題」は、「真(本当)」ではなく、「偽(ウソ)」である。
平成30年08月05日、毛利太。

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