(a)『返り点と括弧』については、『「括弧」の「順番」(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html)』他をお読み下さい。
(b)『返り点』については、『「返り点」の「付け方」を教へます(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post_3.html)』他をお読み下さい。
(01)
1 (1)象は鼻が長い。 A
1 (〃)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
1 (〃)すべてのxについて、xが象であるならば、有るyはxの鼻であって長く、すべてのzについてzがxの鼻でないならば、zは長くない。 A
2 (2)兎は耳が長い。 A
2 (〃)∃x{兎x&∃z(耳zx&長z&~鼻zx)} A
2 (〃)有るxは兎であって、有るzはxの耳であって長く、zはxの鼻ではない。 A
1 (3) 象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
4 (4) 兎a&∃z(耳za&長z&~鼻za) A
4 (5) ∃z(耳za&長z&~鼻za) 4&E
6 (6) 耳ca&長c&~鼻ca A
7 (7)∃x(兎x&象x) A
8(8) 兎a&象a A
8(9) 象a 8&E
1 8(ア) ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 39MPP
1 8(イ) ∀z(~鼻za→~長z) ア&E
1 8(ウ) ~鼻ca→~長c イUE
6 (エ) ~鼻ca 6&E
1 6 8(オ) ~長c ウエMPP
6 (カ) 長c 6&E
1 6 8(キ) 長c&~長c オカ&I
1 67 (ク) 長c&~長c 78キEE
1 4 7 (ケ) 長c&~長c 56クEE
12 7 (コ) 長c&~長c 24ケEE
12 (サ)~∃x(兎x& 象x) 7コRAA
12 (シ)∀x~(兎x& 象x) サ量化子の関係
12 (ス) ~(兎a& 象a) シUE
12 (セ) ~兎a∨~象a ス、ド・モルガンの法則
12 (ソ) 兎a→~象a セ含意の定義
12 (タ) ∀x(兎x→~象x) ソUI
12 (〃)すべてのxについて、xが兎ならば、xは象ではない。 ソUI
4 (チ) 兎a 4&I
124 (ツ) ~象a ソチMPP
124 (テ) 兎a&~象a チツ&I
124 (ト) ∃x(兎x&~象x) テEI
12 (ナ) ∃x(兎x&~象x) 24トEE
12 (〃)有るxは兎であって象ではない。 24トEE
12 (〃)兎は象ではない。 24トEE
従って、
(01)により、
(02)
① 象は鼻が長い。
といふ「前提」から、
② 兎は象ではない。
といふ「結論」を得るためには、
① 象は鼻が長い。
といふ「命題」は、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
といふ風に、書かなければ、ならない。
従って、
(02)により、
(03)
『論理学』といふ「観点」から、
① 象は鼻が長い。
といふ「日本語」を論じるのであれば、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
といふ「述語論理」を、避けて通るべきではない。
然るに、
(04)
伝統論理学を速水滉『論理学』(016)で代表させよう。わたしのもっているのが四十三年の第十九冊一万部中の一冊で、なお引続き刊行だろうから、前後かなり多くの読者をもつ論理学書と考えられる。新興の記号論理学の方は、沢田充茂『現代論理学入門』(062)を参照することとする(三上章、日本語の論理、1963年、4頁)。
(05)
「象は鼻が長い」はどれが主辞がわからないから、このままでは非論理的な構造の文である、と言う人がもしあった(沢田『入門』二九ペ)とすれば、その人は旧『論理学』を知らない人であろう、これはこのままで、
象は 鼻が長い。
主辞 賓辞
とはっきりしている。速水式に簡単明リョウである。意味も、主辞賓辞の関係も小学生にもわかるはずの文である。これに文句をつけたり、それを取り次いだりするのは、人々が西洋文法に巻かれていることを語る以外の何物でもない。このまま定理扱いしてもよろしい。そしてこの定理の逆は真でないとして、鼻の長いもの例に、鞍馬山の天狗だの、池の尾の禅珍内供だのを上げるのも一興だろう。それでおしまいである。
(三上章、日本語の論理、1963年、13・14頁)。
従って、
(03)(04)(05)により、
(06)
三上章先生は、「新興の記号論理学の方は、沢田充茂『現代論理学入門』(062)を参照することとする」一方で、
① 象は鼻が長い=
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「論理式」に関しては、それを、論じることが無い。
平成30年08月17日、毛利太。
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