(a)『返り点と括弧』については、『「括弧」の「順番」(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post.html)』他をお読み下さい。
(b)『返り点』については、『「返り点」の「付け方」を教へます(https://kannbunn.blogspot.com/2018/01/blog-post_3.html)』他をお読み下さい。
(01)
〔問題〕
①「国語か英語ができるのは文学部の学生だけだ。」 然るに、
②「文学部の学生のなかに英語ができない者がいる。」従って、
③「国語ができるものはみんな英語ができる。というわけではない。」
といふ「推論」は、『間違ひ』であるが、その「理由」を述べよ。
(昭和堂、論理学の基礎、1994年、148頁改)
(02)
①「国語か英語ができるのは文学部の学生だけだ。」 といふことは、
①「国語か英語ができるのは文学部の学生以外ではない。」といふことである。
然るに、
(03)
①「国語か英語ができるのは文学部の学生以外ではない。」といふことは、
①「国語か英語ができるのはみんな文学部の学生である。」といふことである。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
①「国語か英語ができるのは文学部の学生だけだ。」 然るに、
②「文学部の学生のなかに英語ができない者がいる。」従って、
③「国語ができるものはみんな英語ができる。というわけではない。」
といふ「推論」は、
①「国語か英語ができるのはみんな文学部の学生だ。」然るに、
②「文学部の学生のなかに英語ができない者がいる。」従って、
③「国語ができるものはみんな英語ができる。というわけではない。」
といふ「推論」に等しい。
然るに、
(05)
1 (1)∀x{(国語x∨英語x)←→文学部x} A
2 (2)∃x(文学部x&~英語x) A
1 (3) (国語a∨英語a)←→文学部a 1UE
1 (4)文学部a→(国語a∨英語a)&
(国語a∨英語a)→文学部a 3Df.←→
1 (5) 文学部a→(国語a∨英語a) 4&E
6(6) 文学部a&~英語a A
6(7) 文学部a 6&E
1 6(8) 国語a∨英語a 57MPP
1 6(9) 英語a∨国語a 8交換の法則
1 6(ア) ~~英語a∨国語a 9DN
1 6(イ) ~英語a→国語a ア含意の定義
6(ウ) ~英語a 6&E
1 6(エ) 国語a イウMPP
1 6(オ) 国語a&~英語a ウエ&I
1 6(カ) ∃x(国語x&~英語x) オEI
12 (キ) ∃x(国語x&~英語x) 26カEE
12 (〃)あるxは国語はできるが、英語ができない。
12 (〃)国語ができるものはみんな英語ができる。というわけではない。
従って、
(05)により、
(06)
1 (1)∀x{(国語x∨英語x)←→文学部x} A
2 (2)∃x(文学部x&~英語) A
といふ「仮定」により、
12 (キ) ∃x(国語x&~英語x) 26カEE
12 (〃)あるxは国語はできるが、英語ができない。
12 (〃)国語ができるものはみんな英語ができる。というわけではない。
といふ「結論」を、得ることが、出来る。
従って、
(05)(06)により、
(07)
1 (1)∀x{(国語x∨英語x)←→文学部x} A
といふ「仮定」ではなく、
1 (1)∀x{(国語x∨英語x)→ 文学部x} A
といふ「仮定」からは、
12 (キ) ∃x(国語x&~英語x) 26カEE
12 (〃)あるxは国語はできるが、英語ができない。
12 (〃)国語ができるものはみんな英語ができる。というわけではない。
といふ「結論」を、得ることは、「計算マチガイ」であるため、出来ない。
然るに、
(08)
1 (1)∀x{(国語x∨英語x)←→文学部x} A
1 (1)∀x{(国語x∨英語x)→ 文学部x} A
といふ「論理式」は、それぞれ、
①「すべてのxについて、xが国語できるか、xが英語できるならば、そのときに限ってxは文学部である。」
①「すべてのxについて、xが国語できるか、xが英語できるならば、xは文学部である。」
といふ「意味」である。
然るに、
(09)
①「すべてのxについて、xが国語できるか、xが英語できるならば、そのときに限ってxは文学部である。」
①「すべてのxについて、xが国語できるか、xが英語できるならば、xは文学部である。」
といふことは、それぞれ、
①「国語か英語ができるならば、そのときに限ってみんな文学部の学生だ。」
①「国語か英語ができるのはみんな文学部の学生だ。」
といふことである。
従って、
(02)(03)(09)により、
(10)
①「すべてのxについて、xが国語できるか、xが英語できるならば、xは文学部である。」
といふことは、
①「国語か英語ができるのは文学部の学生だけだ。」
といふことである。
従って、
(04)(08)(10)により、
(11)
①「国語か英語ができるのは文学部の学生だけだ。」 然るに、
②「文学部の学生のなかに英語ができない者がいる。」従って、
③「国語ができるものはみんな英語ができる。というわけではない。」
といふ「推論」に於ける、
①「国語か英語ができるのは文学部の学生だけだ。」
といふ「仮定」は、
1 (1)∀x{(国語x∨英語x)←→文学部x} A
といふ「仮定」ではなく、
1 (1)∀x{(国語x∨英語x)→ 文学部x} A
といふ「仮定」に、「等しい」
従って、
(07)(11)により、
(12)
① ∀x{(国語x∨英語x)→ 文学部x}=
①「国語か英語ができるのは文学部の学生だけだ。」
といふ「仮定」からは、
12 (キ) ∃x(国語x&~英語x) 26カEE
12 (〃)あるxは国語はできるが、英語ができない。
12 (〃)国語ができるものはみんな英語ができる。というわけではない。
といふ「結論」を、得ることは、「計算マチガイ」であるため、出来ない。
従って、
(01)(12)により、
(13)
①「国語か英語ができるのは文学部の学生だけだ。」 然るに、
②「文学部の学生のなかに英語ができない者がいる。」従って、
③「国語ができるものはみんな英語ができる。というわけではない。」
といふ「推論」は、『間違ひ』である。
すなはち、
(14)
①「∀x{(国語x∨英語x)→ 文学部x}。」 然るに、
②「文学部の学生のなかに英語ができない者がいる。」従って、
③「国語ができるものはみんな英語ができる。というわけではない。」
といふ「推論」は、『間違ひ』である。
然るに、
(06)により、
(15)
①「∀x{(国語x∨英語x)←→文学部x}。」 然るに。
②「文学部の学生のなかに英語ができない者がいる。」従って、
③「国語ができるものはみんな英語ができる。というわけではない。」
といふ「推論」の場合は、『間違ひ』ではない。
従って、
(08)(09)(15)により、
(16)
①「国語か英語ができるならば、そのときに限ってみんな文学部の学生だ。」然るに、
②「文学部の学生のなかに英語ができない者がいる。」 従って、
③「国語ができるものはみんな英語ができる。というわけではない。」
といふ「推論」は、『間違ひ』ではない。
(17)
①「国語か英語ができるならば、そのときに限ってみんな文学部の学生だ。」といふのであれば、
①「文学部の学生であるならば、国語か英語ができる。」といふことになる。
然るに、
(18)
①「文学部の学生であるならば、英語か国語ができる。」として、
②「文学部の学生のなかに、 英語ができない者がいる。」のであれば、
③「文学部の学生のなかには、 国語ができて英語ができないものがいる。」
然るに、
(19)
③「文学部の学生のなかには、 国語ができて英語ができないものがいる。」といふのであれば、
③「国語ができるものはみんな英語ができる。というわけではない。」 といふことになる。
平成30年08月10日、毛利太。
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