2020年12月7日月曜日

「私が大野です」⇔「大野は私です」⇔「私以外は大野ではない」。

(01)
1     (1) ∃x{私x&∀y(大野y→x=y)} A
 2    (2)    私a&∀y(大野y→a=y)  A
 2    (3)    私a              2&E
 2    (4)       ∀y(大野y→a=y)  2&E
 2    (5)           大野b→a=b   4UE
  6   (6)          大野b       A
 26   (7)              a=b   56MPP
 26   (8)          大野a       67=E
 26   (9)          私a&大野a    3&I
 2    (ア)        大野b→私a&大野a  69CP
   イ  (イ)           私a→~大野a  A
   イ  (ウ)          ~私a∨~大野a  イ含意の定義
   イ  (エ)          ~(私a&大野a) ウ、ド・モルガンの法則
 2 イ  (オ)       ~大野b         アエMTT
 2    (カ)    (私a→~大野a)→~大野b  イオCP
    キ (キ)   ~(私a& 大野a)       A
    キ (ク)    ~私a∨~大野a        ク、ド・モルガンの法則
    キ (ケ)    (私a→~大野a)       ク含意の定義
 2  キ (コ)              ~大野b  カケMPP
 2    (サ)   ~(私a& 大野a)→~大野b  キコCP
     シ(シ)               大野b  A
     シ(ス)             ~~大野b  スDN
 2   シ(セ)  ~~(私a& 大野a)       サスMTT
 2   シ(ソ)    (私a& 大野a)       セDN
 2    (タ)     大野b→(私a&大野a)   シソCP
 2    (チ)  ∀y{大野y→(私a&大野a)}  タUI(2にbは無い)
 2    (ツ)∃x∀y{大野y→(私x&大野x)}  チEI
1     (テ)∃x∀y{大野y→(私x&大野x)}  12ツEE
従って、
(01)により、
(02)
① ∃x{私x&∀y(大野y→x=y)}
② ∃x∀y{大野y→(私x&大野x)}
に於いて、すなはち、
① あるxは{私であって、すべてのyについて(yが大野であるならば、xはyである)。}
② あるxとすべてのyについて{yが大野ならば(xは私であって、大野である)。}
に於いて、
① ならば、② である。
然るに、
(03)
① ∃x{私x&∀y(大野y→x=y)}
② ∃x∀y{大野y→(私x&大野x)}
に於いて、
① には「=」があるが、
② には「=」が無い
従って、
(04)
① ならば、② である。
と「同時」に、
② ならば、① である。
としても、そのことを「証明」する『術(=に関する、規則)』が無い
然るに、
(05)
(ⅰ)
1    (1)∃x{私x& ∀y(大野y→x=y)} A
 2   (2)   私a& ∀y(大野y→a=y)  A
 2   (3)   私a               2&E
 2   (4)       ∀y(大野y→a=y)  2&E
 2   (5)           大野b→a=b   4UE
 2   (6)         ~大野b∨a=b   5含意の定義
   7  (7)          大野b&a≠b   A
   8 (8)         ~大野b       A(6選言枝、右)
  7  (9)          大野b       7&E
  78 (ア)         ~大野b&大野b   89&I
    8 (イ)        ~(大野b&a≠b)  7アRAA
    ウ(ウ)              a=b   A(6選言枝、左)
  7  (エ)              a≠b   7&I
  7 ウ(オ)          a=b&a≠b   ウエ&I
    ウ(カ)        ~(大野b&a≠b)  7オRAA
 2   (キ)        ~(大野b&a≠b)  28イウカ∨E
 2   (ク)      ∀y~(大野y&a≠y)  キUI(2にbは無い)
 2   (ケ)      ~∃y(大野y&a≠y)  ク量化子の関係
 2   (コ)   私a&~∃y(大野y&a≠y)  3ケ&I
 2   (サ)∃x{私x&~∃y(大野y&x≠y)} コEI
1    (シ)∃x{私x&~∃y(大野y&x≠y)} 12サEE
(ⅲ)
1    (1)∃x{私x&~∃y(大野y&x≠y)} A
 2   (2)   私a&~∃y(大野y&a≠y)  A
 2   (3)   私a               2&E
 2   (4)      ~∃y(大野y&a≠y)  2&E
 2   (5)      ∀y~(大野y&a≠y)  4量化子の関係
 2   (6)        ~(大野b&a≠b)  5UE
 2   (7)       ~大野b∨~(a≠b)  6ド・モルガンの法則
 2   (8)         ~大野b∨a=b   7DN
 2   (9)          大野b→a=b   8含意の定義
 2   (ア)       ∀y(大野y→a=y)  9UI(2にbは無い)
 2   (イ)   私a& ∀y(大野y→a=y)  3ア&I
 2   (ウ)∃x{私x& ∀y(大野y→x=y)} イEI
1    (エ)∃x{私x& ∀y(大野y→x=y)} 12ウEE
従って、
(05)により、
(06)
① ∃x{私x& ∀y(大野y→x=y)}
③ ∃x{私x&~∃y(大野y&x≠y)}
に於いて、すなはち、
① あるxは{私であって、すべてのyについて(yが大野であるならば、x=yである)。}
③ あるxは{私であって、あるyが(大野であって、尚且つ、x=yでない)といふことはない。}
に於いて、
①=③ である。
従って、
(06)により、
(07)
① 私と、大野は、同一人物である。
③ 私以外に、大野は、存在しない
に於いて、
①=③ である。
然るに、
(08)
① 私と、大野が、「同一人物」である。
ならば、そのときに限って、
② 私は大野であり、大野である。
従って、
(07)(08)により、
(09)
① 私と、大野が、「同一人物」である。
ならば、そのときに限って、
② 大野は私である。
③ 私以外に、大野はゐない
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(10)
(3) 未知と既知
この組み合わせは次のような場合に現われる。
 私大野です。
これは、「大野さんどちらですか」というような問いに対する答えとして使われる。つまり文脈において、「大野」なる人物はすでに登場していて既知である。ところが、それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。その未知の対象を「私」と表現して、それをガで承けた。それゆえこの形は、
 大野私です。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、34頁)。
従って、
(09)(10)により、
(11)
① 私と、大野が、「同一人物」である。
ならば、そのときに限って、
大野は私です。
③ 私以外は大野ではない
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(11)により、
(12)
③ 私以外は大野ではない
といふことが、「事実」であって、尚且つ、
③ 私以外は大野ではない。
といふ「情報」に、「価値」が有るならば、そのときに限って、
① 私大野です。
大野は私です。
といふ風に、「発言」する。
従って、
(12)により、
(13)
③ 私以外は大野ではない。
といふことが、「事実」であったとしても、
③ 私以外は大野ではない。
といふ「情報」に、「価値」が無いのであれば、
① 私が大野です。
② 大野は私です。
とは言はずに、
④ 私大野です。
といふ風に、「発言」する。
従って、
(10)(13)により、
(14)
「大野さんはどちらですか」というような問いがある場合は、
③ 私以外は大野ではない。
といふ「情報」に、「価値」が有るが故に、
① 私大野です。
大野は私です。
といふ風に、「返答」する。
従って、
(14)により、
(15)
「逆」に言へば、
「大野さんはどちらですか」というような問いが無い
に拘らず、
④ 私は大野です。
とは言はずに、いきなり、
① 私大野です。
大野は私です。
といふ風に、言ふのであれば、その場合は、
「相手の側」は、「怪訝」に思ふ、ことになる。
令和02年12月07日、毛利太。

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