2020年12月9日水曜日

「甲と乙は犯人ではない。丙が犯人だ。」の「述語論理」。

(01)
(ⅰ)
1    (1)∀x{(犯人x)→(x=甲)∨(x=乙)} A
1    (2)   (犯人a)→(a=甲)∨(a=乙)  1UE
 3   (3)   (犯人a)              A
13   (4)         (a=甲)∨(a=乙)  23MPP
  5  (5)         (a=甲)        A
  5  (6)        ~(a≠甲)        5DN
  5  (7)        ~(a≠甲)∨(a=乙)  5∨I
   8 (8)               (a=乙)  A
   8 (9)        ~(a≠甲)∨(a=乙)  8∨I
13   (ア)        ~(a≠甲)∨(a=乙)  45789∨E
13   (イ)         (a≠甲)→(a=乙)  ア含意の定義
1    (ウ)   (犯人a)→(a≠甲)→(a=乙)  3イCP
    エ(エ)   (犯人a)&(a≠甲)        A
    エ(オ)   (犯人a)              エ&E
1   エ(オ)         (a≠甲)→(a=乙)  ウオMPP
    エ(カ)         (a≠甲)        エ&E
1   エ(キ)               (a=乙)  オカMPP
1    (ク)   (犯人a)&(a≠甲)→(a=乙)  エキCP
1    (ケ)∀x{(犯人x)&(x≠甲)→(x=乙)  クUI
(ⅱ)
1    (1)∀x{(犯人x)&(x≠甲)→(x=乙)} A
1    (2)   (犯人a)&(a≠甲)→(a=乙)  A
 3   (3)   (犯人a)              A
  4  (4)         (a≠甲)        A
 34  (5)   (犯人a)&(a≠甲)        34&I
134  (6)               (a=乙)  25MPP
13   (7)         (a≠甲)→(a=乙)  46CP
13   (8)        ~(a≠甲)∨(a=乙)  7含意の定義
   9 (9)        ~(a≠甲)        A
   9 (ア)         (a=甲)        9DN
   9 (イ)         (a=甲)∨(a=乙)  ア∨I
    ウ(ウ)               (a=乙)  A
    ウ(エ)         (a=甲)∨(a=乙)  ウ∨I
13   (オ)         (a=甲)∨(a=乙)  89イウエ∨
1    (カ)   (犯人a)→(a=甲)∨(a=乙)  3オCP
1    (キ)∀x{(犯人x)→(x=甲)∨(x=乙)} カUI
従って、
(01)により、
(02)
① ∀x{(犯人x)→(x=甲)∨(x=乙)}
② ∀x{(犯人x)&(x≠甲)→(x=乙)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて{xが犯人であるならば、xは甲か、乙である}。
② すべてのxについて{xが犯人であって、xが甲でないならば、xは乙である}。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
(ⅲ)
1      (1)∀x{(犯人x)→(x=甲)∨(x=乙)∨(x=丙)}  A
1      (2)   (犯人a)→(a=甲)∨(a=乙)∨(a=丙)   1UE
 3     (3)   (犯人a)                     A
13     (4)         (a=甲)∨(a=乙)∨(a=丙)   23MPP
13     (5)       {(a=甲)∨(a=乙)}∨(a=丙)   4結合法則
  6    (6)       {(a=甲)∨(a=乙)}         A
   7   (7)        (a=甲)                A
   7   (8)       ~(a≠甲)                DN
   7   (9)        ~(a≠甲)∨[(a≠乙)→(a=丙)]  8∨I
    ア  (ア)                (a=乙)          A
    ア  (イ)              ~(a≠乙)         アDN
    ア  (ウ)              ~(a≠乙)∨(a=丙)   イ∨I
    ア  (エ)               (a≠乙)→(a=丙)   ウ含意の定義
    ア  (オ)       ~(a≠甲)∨[(a≠乙)→(a=丙)]  エ∨I
  6    (カ)       ~(a≠甲)∨[(a≠乙)→(a=丙)]  679アオ∨E
  6    (キ)        (a≠甲)→[(a≠乙)→(a=丙)]  カ含意の定義
     ク (ク)                     (a=乙)   A
     ク (ケ)              ~(a≠乙)∨(a=乙)   ク∨I
     ク (コ)               (a≠乙)→(a=乙)   コ含意の定義
     ク (サ)       ~(a≠甲)∨[(a≠乙)→(a=丙)]  サ∨I
     ク (シ)        (a≠甲)→[(a≠乙)→(a=丙)]  シ含意の定義
13     (ス)        (a≠甲)→[(a≠乙)→(a=丙)]  56キクス∨I
1      (セ) (犯人a)→{(a≠甲)→[(a≠乙)→(a=丙)]} 3スCP
      ソ(ソ) (犯人a)& (a≠甲)& (a≠乙)         A
      ソ(タ) (犯人a)                       ソ&E
      ソ(チ)        (a≠甲)                ソ&E
      ソ(ツ)               (a≠乙)         ソ&E
1     ソ(テ)        (a≠甲)→[(a≠乙)→(a=丙)]  セタMPP
1     ソ(ト)               (a≠乙)→(a=丙)   チテMPP
1     ソ(ナ)                     (a=丙)   ツトMPP
1      (ニ)   (犯人a)&(a≠甲)&(a≠乙)→(a=丙)   ソナCP
1      (ヌ)∀x{(犯人x)&(x≠甲)&(x≠乙)→(x=丙)}  ニUI
(ⅳ)
1     (1)∀x{(犯人x)&(x≠甲)&(x≠乙)→(x=丙)}  A
1     (2)   (犯人a)&(a≠甲)&(a≠乙)→(a=丙)   1UE
 3    (3)   (犯人a)                     A
  4   (4)         (a≠甲)               A
   5  (5)               (a≠乙)         A
 34   (6)   (犯人a)&(a≠甲)               34&I
 345  (7)   (犯人a)&(a≠甲)&(a≠乙)         56&I
1345  (8)                     (a=丙)   27MPP
134   (9)               (a≠乙)→(a=丙)   58CP
    ア (ア)              ~(a=乙)         A
    ア (イ)               (a≠乙)         Df.≠
134 ア (ウ)                     (a=丙)   9イMPP
134   (エ)              ~(a=乙)→(a=丙)   アウCP
134   (オ)               (a=乙)∨(a=丙)   エ含意の定義
13    (カ)        (a≠甲)→[(a=乙)∨(a=丙)]  4オCP
     キ(キ)       ~(a=甲)                A
     キ(ク)        (a≠甲)                クDf.≠
13   キ(ケ)              [(a=乙)∨(a=丙)]  カクMPP
13    (コ)       ~(a=甲)→[(a=乙)∨(a=丙)]  キケCP
13    (サ)        (a=甲)∨[(a=乙)∨(a=丙)]  コ含意の定義
13    (シ)        (a=甲)∨ (a=乙)∨(a=丙)   サ結合法則
1     (ス)   (犯人a)→(a=甲)∨(a=乙)∨(a=丙)   3シCP
1     (セ)∀x{(犯人x)→(x=甲)∨(x=乙)∨(x=丙)}  スUI
従って、
(03)により、
(04)
③ ∀x{(犯人x)→(x=甲)∨(x=乙)∨(x=丙)}
④ ∀x{(犯人x)&(x≠甲)&(x≠乙)→(x=丙)}
に於いて、すなはち、
③ すべてのxについて{xが犯人であるならば、xは甲か、乙か、丙である}。
④ すべてのxについて{xが犯人であって、xが甲でなく、xが乙でもないならば、xは丙である}。
に於いて、
③=④ である。
従って、
(02)(04)により、
(05)
① ∀x{(犯人x)→(x=甲)∨(x=乙)}
② ∀x{(犯人x)&(x≠甲)→(x=乙)}
③ ∀x{(犯人x)→(x=甲)∨(x=乙)∨(x=丙)}
④ ∀x{(犯人x)&(x≠甲)&(x≠乙)→(x=丙)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて{xが犯人であるならば、xは甲か、乙である}。
② すべてのxについて{xが犯人であって、xが甲でないならば、xは乙である}。
③ すべてのxについて{xが犯人であるならば、xは甲か、乙か、丙である}。
④ すべてのxについて{xが犯人であって、xが甲でなく、xが乙でもないならば、xは丙である}。
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
従って、
(05)により、
(06)
{容疑者}の中から、「犯人自身を特定する」ことは、
{容疑者}の中から、「犯人以外を特定する」ことによって、「犯人を特定する」ことに「等しい」。
従って、
(07)
①(誰犯人か、)A犯人である。
②(誰犯人か、)A以外は犯人ではない
に於いて、
①=② である。
然るに、
(08)
(ⅱ)
1  (1) ~A→~犯人 仮定
 2 (2)     犯人 仮定
  3(3) ~A     仮定
1 3(4)    ~犯人 13MPP
123(5) 犯人&~犯人 24&I
12 (6)~~A     35RAA
12 (7)  A     6DN
1  (8) 犯人→A   27CP
(ⅲ)
1  (1) 犯人→A   仮定
 2 (2)   ~A   仮定
  3(3) 犯人     仮定
1 3(4)    A   13MPP
123(5) ~A&A   24&I
12 (6)~犯人     35RAA
1  (7)~A→~犯人  23CP
従って、
(08)により、
(09)
② ~A→~犯人≡Aでないならば、犯人でない
③ 犯人→ A  ≡犯人であるならば、Aである。
に於いて、
②=③ は、「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(07)(08)(09)により、
(10)
①(誰犯人か、)A犯人である。
②(誰犯人か、)A以外は犯人ではない
③(犯人は誰か、)犯人はAである。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(11)
(3) 未知と既知
この組み合わせは次のような場合に現われる。
 私大野です。
これは、「大野さんどちらですか」というような問いに対する答えとして使われる。つまり文脈において、「大野」なる人物はすでに登場していて既知である。ところが、それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。その未知の対象を「私」と表現して、それをで承けた。それゆえこの形は、
 大野私です。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、34頁)。
従って、
(11)により、
(12)
 私=A
大野=犯人
といふ「代入(Substitution)」を行ふと
(3) 未知と既知
この組み合わせは次のような場合に現われる。
 A犯人である。
これは、「犯人誰か」というような問いに対する答えとして使われる。つまり文脈において、「犯人」なる人物はすでに登場していて既知である。ところが、それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。その未知の対象を「A」と表現して、それをで承けた。それゆえこの形は、
 犯人Aです。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる。
然るに、
(13)
「犯人誰か」というような問いに対する答えとして使われる。
つまり文脈において、「犯人」なる人物はすでに登場していて「既知」である。
といふ「言ひ方」は、『』である。
(14)
文脈において、「犯人」なる人物はすでに登場していて「既知」である。
とは言ふものの、
「犯人誰か」といふ「問ひ」が為される以上、「(犯人は)既知」ではなく、「(犯人は)未知」であると、すべきである。
従って、
(12)(13)(14)により、
(15)
文脈において、「大野」なる人物はすでに登場していて「既知」である。
とは言ふものの、
「大野さん誰ですか」といふ「問ひ」が為される以上、「(大野は)既知」ではなく、「(大野は)未知」であると、すべきである。
令和02年12月09日、毛利太。

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