(01)
すべての正の整数が奇数ではなく、またすべての数が偶数でもない。この場合には、自然な試みを差しとめるのは「UIに対する制限」である。
1 (1)∀x(Fx∨Gx) A
1 (2) Fa∨Ga 1UE
3(3) Fa A
Fa∨Ga を(1)から結論し、そして第1の選言項Faを(3)の行に仮定する。しかし(3)は「a」を含む故、ここで、「UIに対する制限」が、∀x(Fx)を結論とすることをさしとめる。
(E.J.レモン 著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、156頁改)
従って、
(01)により、
(02)
次の「計算」は、「UIに対する制限」を満たしてゐないが故に、「マチガイ」である。
1 (1)∀x(Fx∨Gx) A
1 (2) Fa∨Ga 1UE
3 (3) Fa A
3 (4)∀x(Fx) 3UI(はマチガイである。)
3 (5)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 4∨I
6(6) Ga A
6(7) ∀x(Gx) 6UI(はマチガイである。)
6(8)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 7∨I
1 (9)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 23568∨E(はマチガイである。)
然るに、
(03)
次の「計算」は、「UI」自体が無いため、「正しい」。
1 (1)∀x(Fx∨Gx) A
1 (2) Fa∨Ga 1UE
3 (3) Fa A
3 (4)∃x(Fx) 3EI(は正しい。)
3 (5)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 4∨I
6(6) Ga A
6(7) ∃x(Gx) 6EI
6(8)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 7∨I(は正しい。)
1 (9)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 23568∨E(は正しい。)
従って、
(03)により、
(04)
① ∀x(Fx∨Gx)
② ∃x(Fx)∨∃x(Gx)
に於いて、少なくとも、
① ならば、② である。
然るに、
(05)
(ⅱ)
1 (1)∃x(Fx)∨∃x(Gx) A
2 (2)∃x(Fx) A
3 (3) Fa A
3 (4) Fa∨Ga 3∨I
3 (5)∃x(Fx∨Gx) 4EI
2 (6)∃x(Fx∨Gx) 235EE
7 (7) ∃x(Gx) A
8(8) Ga A
8(9) Fa∨Ga 8∨I
8(ア) ∃x(Fx∨Gx) 9EI
7 (イ) ∃x(Fx∨Gx) 78アEE
1 (ウ)∃x(Fx∨Gx) 1267イ∨E
(ⅲ)
1 (1)∃x(Fx∨Gx) A
2 (2) Fa∨Ga A
3 (3) Fa A
3 (4)∃x(Fx) 3EI
3 (5)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 4∨I
6 (6) Ga A
6 (7) ∃x(Gx) 6EI
6 (8)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 7∨I
2 (9)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 23568∨E
1 (ア)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 129EE
従って、
(05)により、
(06)
② ∃x(Fx)∨∃x(Gx)
③ ∃x(Fx∨Gx)
に於いて、
②=③ である。
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
① ∀x(Fx∨Gx)
② ∃x(Fx)∨∃x(Gx)
③ ∃x(Fx∨Gx)
に於いて、
① ならば、② であって、
② は、 ③ に等しい。
が故に、
① ならば、③ である。
従って、
(07)により、
(08)
「番号」を付け直すと、
① ∀x(Fx∨Gx)
② ∃x(Fx∨Gx)
に於いて、
① ならば、② である。
然るに、
(09)
(ⅰ)
1 (1)∀x(Fx∨Gx) A
1 (2) Fa∨Ga 1UE
1 (3)∃x(Fx∨Gx) 2EI
といふ「計算」は「正しく」、
(ⅱ)
1 (1)∃x(Fx∨Gx) A
2(2) Fa∨Ga A
2(3)∀x(Fx∨Gx) 2UI(はマチガイである。)
1 (4)∀x(Fx∨Gx) 123EE(はマチガイである。)
といふ「計算」は、「UIに対する制限」に対する「違反」であるため、「マチガイ」である。
従って、
(08)(09)により、
(10)
① ∀x(Fx∨Gx)
② ∃x(Fx∨Gx)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① である、ではない。
(11)
例へば、
① ∀x(Fx∨Gx)≡すべての自然数xは(奇数であるか、遇数である)。
② ∃x(Fx∨Gx)≡ ある自然数xは(奇数であるか、遇数である)。
に於いて、
① ならば、② である。
然るに、
(12)
例へば、
②「2」といふ、「一つの自然数」が「偶数」である。
ならば、それだけで、
② ∃x(Fx∨Gx)≡ ある自然数xは(奇数であるか、遇数である)。
といふ「命題」は、「真(本当)」である。
然るに、
(13)
①「2」以外にも、「無数の自然数」が存在する。
が故に、
②「2」といふ、「一つの自然数」が「偶数」である。
としても、
① ∀x(Fx∨Gx)≡すべての自然数xは(奇数であるか、遇数である)。
といふ「命題」は、「真(本当)」には、ならない。
従って、
(11)(12)(13)により、
(14)
例へば、
① ∀x(Fx∨Gx)≡すべての自然数xは(奇数であるか、遇数である)。
② ∃x(Fx∨Gx)≡ ある自然数xは(奇数であるか、遇数である)。
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① である。ではない。
従って、
(10)(14)により、
(15)
「結論」として、
① ∀x(Fx∨Gx)
② ∃x(Fx∨Gx)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① である、ではない。
(16)
(ⅰ){∀x(Fx)→Fa}→∃x(Fx)
(ⅱ) Fa →∃x(Fx)
(ⅲ) ∃x(Fx)→Fa
(ⅳ){∃x(Fx)→Fa}→∀x(Fx)
(ⅴ) Fa →∀x(Fx)
に於いて、
(ⅰ)は「正しい」。
(ⅱ)は「正しい」。
(ⅲ)は「正しくはない」。
(ⅳ)は「正しくはない」。
(ⅴ)は「正しくはない」。
(17)
「UIに対する制限」といふのは、
(ⅳ){∃x(Fx)→Fa}→∀x(Fx)
(ⅴ) Fa →∀x(Fx)
は、両方とも、「正しくない」にも拘らず、
(ⅳ){∃x(Fx)→Fa}→∀x(Fx)
(ⅴ) Fa →∀x(Fx)
を、「正しい」と、することをいふ。
ただし、
(18)
(ⅲ) ∃x(Fx)→Fa
については、「説明」を、必要とする。
cf.
代表的選言項(typical disjunct)
令和03年04月08日、毛利太。
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