2021年4月8日木曜日

∀x(偶x∨奇x)├ ∃x(偶x)∨∃x(奇x)┤├ ∃x(遇x∨奇x)

(01)
すべての正の整数が奇数ではなく、またすべての数が偶数でもない。この場合には、自然な試みを差しとめるのは「UIに対する制限」である。
 1 (1)∀x(Fx∨Gx) A
 1 (2)   Fa∨Ga  1UE
  3(3)   Fa     A
Fa∨Ga を(1)から結論し、そして第1の選言項Faを(3)の行に仮定する。しかし(3)は「a」を含む故、ここで、「UIに対する制限」が、∀x(Fx)を結論とすることをさしとめる。
(E.J.レモン 著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、156頁改)
従って、
(01)により、
(02)
次の「計算」は、「UIに対する制限」を満たしてゐないが故に、「マチガイ」である。
 1  (1)∀x(Fx∨Gx)     A
 1  (2)   Fa∨Ga      1UE
   ()   F         A
   (4)∀x(Fx)        UI(はマチガイである。)
  3 (5)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 4∨I
   )      G      A
   (7)       ∀x(Gx) UI(はマチガイである。)
   6(8)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 7∨I
 1  (9)∀x(Fx)∨∀x(Gx) 23568∨E(はマチガイである。)
然るに、
(03)
次の「計算」は、「UI」自体が無いため、「正しい」。
 1  (1)∀x(Fx∨Gx)     A
 1  (2)   Fa∨Ga      1UE
  3 (3)   Fa         A
  3 (4)∃x(Fx)        3EI(は正しい。)
  3 (5)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 4∨I
   6(6)      Ga      A
   6(7)       ∃x(Gx) 6EI
   6(8)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 7∨I(は正しい。)
 1  (9)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 23568∨E(は正しい。)
従って、
(03)により、
(04)
① ∀x(Fx∨Gx)
② ∃x(Fx)∨∃x(Gx)
に於いて、少なくとも、
① ならば、② である。
然るに、
(05)
(ⅱ)
 1    (1)∃x(Fx)∨∃x(Gx) A
  2   (2)∃x(Fx)        A
   3  (3)   Fa         A
   3  (4)   Fa∨Ga      3∨I
   3  (5)∃x(Fx∨Gx)     4EI
  2   (6)∃x(Fx∨Gx)     235EE
    7 (7)       ∃x(Gx) A
     8(8)          Ga  A
     8(9)       Fa∨Ga  8∨I
     8(ア)    ∃x(Fx∨Gx) 9EI
    7 (イ)    ∃x(Fx∨Gx) 78アEE
 1    (ウ)∃x(Fx∨Gx)     1267イ∨E
(ⅲ)
 1    (1)∃x(Fx∨Gx)     A
  2   (2)   Fa∨Ga      A
   3  (3)   Fa         A
   3  (4)∃x(Fx)        3EI
   3  (5)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 4∨I
    6 (6)      Ga      A
    6 (7)   ∃x(Gx)     6EI
    6 (8)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 7∨I
  2   (9)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 23568∨E
 1    (ア)∃x(Fx)∨∃x(Gx) 129EE
従って、
(05)により、
(06)
② ∃x(Fx)∨∃x(Gx)
③ ∃x(Fx∨Gx)
に於いて、
②=③ である。
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
① ∀x(Fx∨Gx)
② ∃x(Fx)∨∃x(Gx)
③ ∃x(Fx∨Gx)
に於いて、
① ならば、② であって、
② は、  ③ に等しい。
が故に、
① ならば、③ である。
従って、
(07)により、
(08)
「番号」を付け直すと、
① ∀x(Fx∨Gx)
② ∃x(Fx∨Gx)
に於いて、
① ならば、② である。
然るに、
(09)
(ⅰ)
1 (1)∀x(Fx∨Gx) A
1 (2)   Fa∨Ga  1UE
1 (3)∃x(Fx∨Gx) 2EI
といふ「計算」は「正しく」、
(ⅱ)
1 (1)∃x(Fx∨Gx) A
 )   F∨G  A
 (3)∀x(Fx∨Gx) UI(はマチガイである。)
1 (4)∀x(Fx∨Gx) 123EE(はマチガイである。)
といふ「計算」は、「UIに対する制限」に対する「違反」であるため、「マチガイ」である。
従って、
(08)(09)により、
(10)
① ∀x(Fx∨Gx)
② ∃x(Fx∨Gx)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① である、ではない。
(11)
例へば、
① ∀x(Fx∨Gx)≡すべての自然数xは(奇数であるか、遇数である)。
② ∃x(Fx∨Gx)≡   ある自然数xは(奇数であるか、遇数である)。
に於いて、
① ならば、② である。
然るに、
(12)
例へば、
②「2」といふ、「一つの自然数」が「偶数」である。
ならば、それだけで
② ∃x(Fx∨Gx)≡ ある自然数xは(奇数であるか、遇数である)。
といふ「命題」は、「真(本当)」である。
然るに、
(13)
①「2」以外にも、「無数の自然数」が存在する。
が故に、
②「2」といふ、「一つの自然数」が「偶数」である。
としても、
① ∀x(Fx∨Gx)≡すべての自然数xは(奇数であるか、遇数である)。
といふ「命題」は、「真(本当)」には、ならない
従って、
(11)(12)(13)により、
(14)
例へば、
① ∀x(Fx∨Gx)≡すべての自然数xは(奇数であるか、遇数である)。
② ∃x(Fx∨Gx)≡    ある自然数xは(奇数であるか、遇数である)。
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① である。ではない
従って、
(10)(14)により、
(15)
「結論」として、
① ∀x(Fx∨Gx)
② ∃x(Fx∨Gx)
に於いて、
① ならば、② であるが、
② ならば、① である、ではない
(16)
(ⅰ){∀x(Fx)→Fa}→∃x(Fx)
(ⅱ)        Fa →∃x(Fx)
(ⅲ) ∃x(Fx)→Fa
(ⅳ){∃x(Fx)→F}→∀x(Fx)
(ⅴ)        F →∀x(Fx)
に於いて、
(ⅰ)は「正しい」。
(ⅱ)は「正しい」。
(ⅲ)は「正しくはない」。
(ⅳ)は「正しくはない」。
(ⅴ)は「正しくはない」。
(17)
UIに対する制限」といふのは、
(ⅳ){∃x(Fx)→F}→∀x(Fx)
(ⅴ)        F →∀x(Fx)
は、両方とも、「正しくない」にも拘らず、
(ⅳ){∃x(Fx)→F}→∀x(Fx)
(ⅴ)        F →∀x(Fx)
を、「正しい」と、することをいふ。
ただし、
(18)
(ⅲ) ∃x(Fx)→Fa
については、「説明」を、必要とする。
cf.
代表的選言項(typical disjunct)
令和03年04月08日、毛利太。

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