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2016年12月19日月曜日

「ギリシャ語&白話」の「訓読」。

(01)
「J・G・メイシェン、新約聖書ギリシャ語原典入門、1967年、57頁」により、
ΑΓΕΙ ΜΕ Ο ΚΥΡΙΟΣ ΠΡΟΣ ΤΟΥΣ ΜΑΘΗΤΑΣ ΑΥΤΟΥ.
然るに、
(02)
        ΑΓΕΙ=LEADS
          ΜΕ=ME
    Ο ΚΥΡΙΟΣ=THE LORD
        ΠΡΟΣ=TO
ΤΟΥΣ ΜΑΘΗΤΑΣ=THE DISCIPLES
       ΑΥΤΟΥ=HIS
従って、
(01)(02)により、
(03)
④ ΑΓΕΙ ΜΕ ΚΥΡΙΟΣ ΠΡΟΣ ΜΑΘΗΤΑΣ ΑΥΤΟΥ=
④ ΑΓΕΙ[ΜΕ(ΚΥΡΙΟΣ)ΠΡΟΣ〔ΜΑΘΗΤΑΣ(ΑΥΤΟΥ)〕].
に於いて、
    ΑΓΕΙ[ ]⇒[ ]ΑΓΕΙ
      ΜΕ( )⇒( )ΜΕ
    ΠΡΟΣ〔 〕⇒〔 〕ΠΡΟΣ
 ΜΑΘΗΤΑΣ( )⇒ΜΑΘΗΤΑΣ
といふ「移動」を行ふと、
④ ΑΓΕΙ[ΜΕ(ΚΥΡΙΟΣ)ΠΡΟΣ〔ΜΑΘΗΤΑΣ(ΑΥΤΟΥ)〕]⇒
④ [(ΚΥΡΙΟΣ)ΜΕ〔(ΑΥΤΟΥ)ΜΑΘΗΤΑΣ〕ΠΡΟΣ]ΑΓΕΙ=
④ [(主は)私を〔(彼の)弟子たち〕へと]導く。
といふ「ギリシャ語訓読」が、成立する。
然るに、
(04)
④ ΑΓΕΙ ΜΕ ΚΥΡΙΟΣ ΠΡΟΣ ΜΑΘΗΤΑΣ ΑΥΤΟΥ.
④ 述語   補語 主語     前置詞  被修飾語    修飾語  .
である。
従って、
(03)(04)により、
(05)
④ ΑΓΕΙ ΜΕ ΚΥΡΙΟΣ ΠΡΟΣ ΜΑΘΗΤΑΣ ΑΥΤΟΥ=
④ ΑΓΕΙ[ΜΕ(ΚΥΡΙΟΣ)ΠΡΟΣ〔ΜΑΘΗΤΑΣ(ΑΥΤΟΥ)〕]=
④ 述語  [補語(主語    )前置詞 〔被修飾語   (修飾語  )〕].
である。
然るに、
(06)
(一)主述関係  主語 ― 述語
(二)修飾関係 修飾語 ― 被修飾語
(三)補足関係 叙述語 ― 補足語
(四)並列関係 並列語 ― 並列語
(鈴木直治著、中国語と漢文、1975年、281~283頁、抜粋)
に於いて、「漢文訓読」の際に「括弧」が付くのは、
(三)補足関係 叙述語 ― 補足語
だけである。
従って、
(05)(06)により、
(07)
④ ΑΓΕΙ[ΜΕ(ΚΥΡΙΟΣ)ΠΡΟΣ〔ΜΑΘΗΤΑΣ(ΑΥΤΟΥ)〕]=
④ 述語  [補語(主語    )前置詞 〔被修飾語   (修飾語  )〕].
といふ「ギリシャ語訓読」に於ける「括弧」は、「漢文訓読」では、有り得ない。
然るに、
(08)
所有を表わすには、人称代名詞の非強調形が用いられるべきで、英語(日本語も)の my word(私の言葉)とか、これに類した句は、
the word of me の順序にかえてから、ギリシャ語に訳されなければならない(J・G・メイシェン、新約聖書ギリシャ語原典
入門、1967年、55頁)。
従って、
(08)により、
(09)
④ ΜΑΘΗΤΑΣ(ΑΥΤΟΥ)=
④ DISCIPLES(HIS)=
④ DISCIPLES(OF HIM).
といふ「語順」については、「変へること」が、出来ない。
然るに、
(10)
ギリシャ語の文章の通常の順序は、英語におけると同じく、主語(subject)、動詞(verb)、目的語(object)の順である。ラテン語におけるように、動詞を最後におくというような特別な傾向はない。しかし、ギリシャ語では、強調とか語調をよくするとかの目的で、英語の場合よりずっと自由に順序を変えることができる(J・G・メイシェン、新約聖書ギリシャ語原典入門、1967年、29頁改)。
従って、
(05)(09)(10)により、
(11)
① ΚΥΡΙΟΣ ΜΕ ΑΓΕΙ ΠΡΟΣ ΜΑΘΗΤΑΣ ΑΥΤΟΥ.
② ΚΥΡΙΟΣ ΑΓΕΙ ΜΕ ΠΡΟΣ ΜΑΘΗΤΑΣ ΑΥΤΟΥ.
③ ΑΓΕΙ ΚΥΡΙΟΣ ΜΕ ΠΡΟΣ ΜΑΘΗΤΑΣ ΑΥΤΟΥ.
④ ΑΓΕΙ ΜΕ ΚΥΡΙΟΣ ΠΡΟΣ ΜΑΘΗΤΑΣ ΑΥΤΟΥ.
⑤ ΜΕ  ΑΓΕΙ ΚΥΡΙΟΣ ΠΡΟΣ ΜΑΘΗΤΑΣ ΑΥΤΟΥ.
⑥ ΜΕ ΚΥΡΙΟΣ ΑΓΕΙ ΠΡΟΣ ΜΑΘΗΤΑΣ ΑΥΤΟΥ.
といふ「ギリシャ語」は、全て、
① 主は私を彼の弟子たちへと導く。
② 主は私を彼の弟子たちへと導く。
③ 主は私を彼の弟子たちへと導く。
④ 主は私を彼の弟子たちへと導く。
⑤ 主は私を彼の弟子たちへと導く。
⑥ 主は私を彼の弟子たちへと導く。
といふ、「意味」である。
cf.
語順は多様であっても、(11)の各文の意味をとる上で何らの混乱もない。なぜならギリシャ語の名詞句は格(cace)の表示を受けてゐるからである(言語類型論入門―言語の普遍性と多様性2006/10/18リンゼイ・J. ウェイリー、 Lindsay J. Whaley、86頁改)。
然るに、
(12)
以上の六つを、
① 主は私を彼の弟子たちへと導く。
② 主は私を彼の弟子たちへと導く。
③ 主は私を彼の弟子たちへと導く。
④ 主は私を彼の弟子たちへと導く。
⑤ 主は私を彼の弟子たちへと導く。
⑥ 主は私を彼の弟子たちへと導く。
といふ風に、「訓読」する際の「括弧」は、
① ΚΥΡΙΟΣ ΜΕ ΑΓΕΙ[ΠΡΟΣ〔ΜΑΘΗΤΑΣ(ΑΥΤΟΥ)〕].
② ΚΥΡΙΟΣ ΑΓΕΙ[ΜΕ ΠΡΟΣ〔ΜΑΘΗΤΑΣ(ΑΥΤΟΥ)〕].
③ ΑΓΕΙ[ΚΥΡΙΟΣ ΜΕ ΠΡΟΣ〔ΜΑΘΗΤΑΣ(ΑΥΤΟΥ)〕].
④ ΑΓΕΙ[ΜΕ(ΚΥΡΙΟΣ)ΠΡΟΣ〔ΜΑΘΗΤΑΣ(ΑΥΤΟΥ)〕].
⑤ ΜΕ(ΑΓΕΙ[ΚΥΡΙΟΣ)ΠΡΟΣ〔ΜΑΘΗΤΑΣ(ΑΥΤΟΥ)〕].
⑥ ΜΕ(ΚΥΡΙΟΣ)ΑΓΕΙ[ΠΡΟΣ〔ΜΑΘΗΤΑΣ(ΑΥΤΟΥ)〕].
である。
従って、
(12)により、
(13)
「括弧」だけを示すと、
① [〔( )〕]
② [〔( )〕]
③ [〔( )〕]
④ [( )〔( )〕]
⑤ ([ )〔( )〕]
⑥ ( )[〔( )〕]
である。
然るに、
(14)
⑤ ΜΕ(ΑΓΕΙ[ΚΥΡΙΟΣ)
に於ける、
⑤ ( [ )
といふ「それ」は、数学に於ける、
⑤ ( { )
がさうであるやうに、「括弧」ではない。
cf.
⑤ 2<6>1 5 4 3
のやうな、
⑤ M<N>L & M-L=1
といふ「順番」を含む「順番」を、「括弧」を用ゐて、
⑤ 1<2<3<4<5<6
といふ「順番」に「並び替へ(ソートす)る」ことが、出来ない。
然るに、
(15)
「返り点」の場合は、次のやうになる。
① ΚΥΡΙΟΣ ΜΕ ΑΓΕΙ四 ΠΡΟΣ三 ΜΑΘΗΤΑΣ二 ΑΥΤΟΥ一.
② ΚΥΡΙΟΣ ΑΓΕΙ四 ΜΕ ΠΡΟΣ三 ΜΑΘΗΤΑΣ二 ΑΥΤΟΥ一.
③ ΑΓΕΙ四 ΚΥΡΙΟΣ ΜΕ ΠΡΟΣ三 ΜΑΘΗΤΑΣ二 ΑΥΤΟΥ一.
④ ΑΓΕΙ丁 ΜΕ二 ΚΥΡΙΟΣ一 ΠΡΟΣ丙 ΜΑΘΗΤΑΣ乙 ΑΥΤΟΥ甲.
⑤ ΜΕ二 ΑΓΕΙ丁 ΚΥΡΙΟΣ一 ΠΡΟΣ丙 ΜΑΘΗΤΑΣ乙 ΑΥΤΟΥ甲.
⑥ ΜΕ二 ΚΥΡΙΟΣ一 ΑΓΕΙ四 ΠΡΟΣ三 ΜΑΘΗΤΑΣ二 ΑΥΤΟΥ一.
従って、
(13)(15)により、
(16)
① [〔( )〕]
② [〔( )〕]
③ [〔( )〕]
④ [( )〔( )〕]
⑤ ([ )〔( )〕]
⑥ ( )[〔( )〕]
に対する「返り点」は、
① 四 三 二 一
② 四 三 二 一
③ 四 三 二 一
④ 丁 二 一 丙 乙 甲
⑤ 二 丁 一 丙 乙 甲
⑥ 二 一 四 三 二 一
である。
然るに、
(17)
⑤ 二 囗 一
であるならば、必ず、
⑤ 二 レ 一
であるため、
⑤ 二 丁 一 丙 乙 甲
のやうな「返り点」は、有り得ない。
従って、
(12)~(17)により、
(18)
① ΚΥΡΙΟΣ ΜΕ ΑΓΕΙ ΠΡΟΣ ΜΑΘΗΤΑΣ ΑΥΤΟΥ.
② ΚΥΡΙΟΣ ΑΓΕΙ ΜΕ ΠΡΟΣ ΜΑΘΗΤΑΣ ΑΥΤΟΥ.
③ ΑΓΕΙ ΚΥΡΙΟΣ ΜΕ ΠΡΟΣ ΜΑΘΗΤΑΣ ΑΥΤΟΥ.
④ ΑΓΕΙ ΜΕ ΚΥΡΙΟΣ ΠΡΟΣ ΜΑΘΗΤΑΣ ΑΥΤΟΥ.
⑤ ΜΕ  ΑΓΕΙ ΚΥΡΙΟΣ ΠΡΟΣ ΜΑΘΗΤΑΣ ΑΥΤΟΥ.
⑥ ΜΕ ΚΥΡΙΟΣ ΑΓΕΙ ΠΡΟΣ ΜΑΘΗΤΑΣ ΑΥΤΟΥ.
に於いて、
⑤ OVS型 である所の、
⑤ ΜΕ  ΑΓΕΙ ΚΥΡΙΟΣ ΠΡΟΣ ΜΑΘΗΤΑΣ ΑΥΤΟΥ.
に関しては、「返り点・括弧」を用ゐて、「訓読」することが、出来ない。
然るに、
(19)
SOV型 - 日本語、琉球語、アイヌ語、アルタイ諸語、インド・イラン語派、ドラヴィダ語族、チベット・ビルマ語派、ニヴフ語、ウィルタ語、ブルーシャスキー語、パーリ語、朝鮮語、アムハラ語、エスキモー語、チュクチ語、テュルク諸語、アイマラ語、ケチュア語、ナバホ語、ホピ語、バスク語、シュメール語、アッカド語、ヒッタイト語、エラム語など。
SVO型 - 英語、フランス語、中国語(広東語などの諸方言や漢文を含む)、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、カタルーニャ語、ルーマニア語、ブルガリア語、現代ギリシア語、デンマーク語、スウェーデン語、ノルウェー語、タイ語、ラーオ語(ラオス語)、ベトナム語、ジャワ語、インドネシア語、マレー語(マレーシア語)、クメール語(カンボジア語)、スワヒリ語、現代アラビア語諸方言、ハウサ語、ヨルバ語、グアラニー語、ナワトル語など。
VSO型 - 古典アラビア語、ヘブライ語、アラム語、フェニキア語、古代エジプト語、ゲエズ語、ゲール語、古典マヤ語、タガログ語、セブアノ語、イロカノ語、マオリ語など。
VOS型 - フィジー語、ツォツィル語など。
OVS型 - ヒシカリヤナ語など。
OSV型 - シャバンテ語(英語版)など。〔語順-ウィキペディア〕
従って、
(18)(19)により、
(20)
OVS型 - ヒシカリヤナ語など。
の場合も、「返り点・括弧」を用ゐて、「訓読」することが、出来ない。
然るに、
(19)により、
(21)
SVO型 - 英語、フランス語、中国語(広東語などの諸方言や漢文を含む)
とあるため、「中国語(漢文を含む)」の場合は、「SOV型」である。
然るに、
(22)

然るに、
(23)
⑦ 端的看二不五出三這婆子的本事一来四。
のやうに、
⑦ 二 五 三 一 四
であれば、
⑦ 二<五 三>一 四
であるものの、
⑦ 二 五 三 一 四
であれば、
⑦ 二(五[三〔一)〕四]
である。
然るに、
(24)
⑦ ([〔 )〕]
は、「括弧」ではない。
然るに、
(25)
「返り点」は、「下 から 上 に しか、返らない」ため、
 二 二
 ↑ ↓
 ↑ ↓ 五
 ↑ ↓ ↑
 ↑ 三 ↑
 ↑ ↓ ↑
 一 ↓ ↑
   ↓ ↑
  四 四
のやうに、「下 から 上 に 返り、上 から 下 へ 降りる点」は、「返り点」ではない。
従って、
(23)(24)(25)により、
(26)
⑦ 端的看二不五出三這婆子的本事一来四。
に於ける、
⑦ 二 五 三 一 四
といふ「それ」は、「返り点」ではないし、尚且つ、
⑦ 2<5 3>1 4
といふ「順番」を、「括弧」を用ゐて、
⑦ 1<2<3<4<5
といふ「順番」に「並び替へ(ソートす)る」ことは、出来ない。
然るに、
(27)
中国の口語文(白話文)も、漢文とおなじように漢字を使っていますが、もともと二つのちがった体系で、単語も文法もたいへんちがうのですから、いっしょにあつかうことはできません。漢文と中国語は別のものです(魚返善雄、漢文入門、1966年、17頁)。
従って、
(21)~(27)により、
(28)
「中国語(漢文を含む)」の場合は、「SOV型」であるものの、「漢文」と「中国語(白話文)」は、もともと二つのちがった体系で、「単語も文法」もたいへん違ふため、
⑦ 端的看不出這婆子的本事来。
⑧ 西門慶促忙促急儧造不出床来。
のやうな「中国語」を、「括弧・返り点」を用ゐて、「訓読」することは、出来ない。
平成28年12月19日、毛利太。
―「関連記事」―
(a)「括弧」の付け方:「係り・及び・並び」(http://kannbunn.blogspot.com/2016/12/blog-post_6.html)。
(b)「訓読」の原理(http://kannbunn.blogspot.com/2016/12/blog-post_3.html)。
(c){( )}の方が「読みやすい」(http://kannbunn.blogspot.com/2016/12/blog-post_2.html)。
(d)「レ点」について(http://kannbunn.blogspot.com/2016/12/blog-post.html)。
(e)「返り点(特にレ点)」が苦手な人へ(http://kannbunn.blogspot.com/2016/11/blog-post_30.html)。
(f)「括弧」と『返り点』(http://kannbunn.blogspot.com/2016/11/blog-post.html)。
(g)「漢文の補足構造」としての「括弧」の付け方(http://kannbunn.blogspot.com/2016/09/blog-post_22.html)。

2014年12月24日水曜日

「命題関数(ギリシャ語訓読)」。

昨日(12/23)の記事を、同じ内容で、書き直します。
(01)
目的語と補語とは、それほど区別する必要がないので、両方併せて、補足語と呼んだり、単に補語と呼んだりしている(数研出版、基礎からの漢文、1993年、26頁)。
従って、
(02)
目的語を含めて、「補語」とする。
(03)
前置詞+名詞
に於いて、「名詞」は「前置詞の補語」とする。
(04)
否定詞+命題
に於いて、「命題」は「否定詞の補語」とする。
(05)
不(_観花於野)=(_花を野に観)ず。
に対する、
我不(観花於野)=我(花を野に観)ず。
といふ「語順」は、「意味」の上では、
不(我観花於野)=(我花を野に観)ず。
とする。
然るに、
(06)
ところでこのレーマは現在の論理学のことばでいえば明らかに命題関数である。つまりf(ⅹ)、f(ⅹ,y),f(ⅹ,y,z)といったものである(山下正男、論理学史、1983年、
96・97頁)。
然るに、
(07)
任意の表述の否定は、その表述を’~(  )’という空所にいれて書くことにしよう(大修館書店、現代論理学入門、1972年、15頁)。
従って、
(07)(08)により、
(09)
f(x,y) を、
F(x,y) と書くならば、
F(x,y) は「レーマ(命題関数)」であって、
F(x,y) の「否定」は、
~(F(x,y)) である。
然るに、
(10)
「レーマ(ΡΗΜΑ)」は、「動詞(Verb)」といふ「意味」であって、それ故、
~(F(x,y)) の F は、「動詞(レーマ)」である。
従って、
(11)
F は、「名詞(オノマ)」ではないものの、この点に於いて、
~(F(x,y)) は、いはゆる、「命題関数」、そのものではない。
e.g.
F(x)=xはフランス人。
F(x,y)=xはyの兄弟。
F(x,y,z)=xはyとzの息子。
に於いて、F は、「名詞(オノマ)」であって、「動詞(レーマ)」ではない。
然るに、
(12)
否定詞の ΟΥは、それが否定する語の前に来る。そして、殆んどの場合に於いて、動詞を否定するので、ΟΥの基準的な位置は、動詞の直前である(J.グレシャム・メイチェン、新約聖書ギリシャ語原典入門、1967年、71頁)。
従って、
(10)(12)により、
(13)
 ~(F(x,y)) といふ「レーマ(命題関数)」を、
ΟΥ(F(x,y)) とする。
然るに、
(14)
例えば「使徒が言葉を言う」(an apostle says a word)という文は、ギリシャ語では通常 ΑΠΟΣΤΟΛΟΣ ΛΕΓΕΙ ΛΟΓΟΝ である。だが ΛΕΓΕΙ ΑΠΟΣΤΟΛΟΣ ΛΟΓΟΝ も、ΛΟΓΟΝ ΛΕΓΕΙ ΑΠΟΣΤΟΛΟΣ も共に全く可能である。だから和訳、英訳は、共に順序でなく、語尾を観察することによって決定しなければならない(J.グレシャム・メイチェン、新約聖書ギリシャ語原典入門、1967年、29頁)。
従って、
(13)(14)により、
(15)
~(F(x,y))=ΟΥ(ΛΕΓΕΙ(ΑΠΟΣΤΟΛΟΣ ΛΟΓΟΝ)).
に於いて、「左辺」は、「レーマ(命題関数)」であって、「右辺」は、「命題」である。
然るに、
(16)
~(F(x,y))=ΟΥ(ΛΕΓΕΙ(ΑΠΟΣΤΟΛΟΣ ΛΟΓΟΝ)).
では、Greek が、分りにくいため、
~(F(x,y))=NOT(SAY(APOSTLE WORD)).
とする。
従って、
(03)(16)により、
(17)
~(F(x,y,g(z)))=NOT(SAY(APOSTLE WORD IN(CHURCH))).
であるが、以下では、((( )))を、[〔( )〕]に換へて、
~[F〔x,y,g(z)〕]=NOT[SAY〔APOSTLE WORD IN(CHURCH)〕].
とする。
然るに、
(18)
ない=NOT
言ふ=SAY
使徒=APOSTLE
言葉=WORD
にて=IN
教会=CHURCH
従って、
(18)により、
(19)
① ない [言ふ 〔使徒      言葉   にて(教会)   〕]=
① NOT[SAY〔APOSTLE WORD IN(CHURCH)〕].
然るに、
(20)
① ない[言ふ〔使徒は 言葉 にて(教会)〕]⇒
① [〔使徒は 言葉を(教会)にて〕言は]ない。
従って、
(19)(20)により、
(21)
① NOT[SAY〔APOSTLE WORD IN(CHURCH)〕]⇒
① [〔APOSTLE WORD(CHURCH)IN〕SAYS]NOT=
① [〔使徒は 言葉を(教会)にて〕言は]ない。
従って、
(17)(21)により、
(22)
① NOT[SAY〔APOSTLE WORD IN(CHURCH)〕]=
① ΟΥ[ΛΕΓΕΙ〔ΑΠΟΣΤΟΛΟΣ ΛΟΓΟΝ ΕΝ(ΕΚΚΛΗΣΙΑ)〕].
といふ「ギリシャ語」は、
① ~[F〔x,y,g(z)〕]
といふ、「シンタックス」をしてゐて、
① [〔使徒は 言葉を(教会)にて〕言は]ない。
といふ「日本語」は、
① [〔x,y,(z)g〕F]~
といふ、「シンタックス」をしてゐる。
然るに、
(23)
例えば、「3 と 4 を加算する」という演算を、一般的に数式の表記に用いられる中置記法で記述すると、以下のようになる。
 3 + 4
一方、逆ポーランド記法では、加算を表す演算子 + を、被演算子である 3 と 4 の後(右)に置いて、以下のよう記述する。
 3 4 +
逆ポーランド記法による表現は日本語などSOV型の言語の文法とよく似ており、上式であれば「3 と 4 を加算する」とそのままの順序で読み下せる。逆ポーランド記法を使うForthの影響を受けているプログラミング言語Mindでは、上式を「3 と 4 とを 足す」と記述する(ウィキペディア:逆ポーランド記法)。
従って、
(23)により、
(24)
① ~[F〔x,y,g(z)〕] 
① [〔x,y,(z)g〕F]~ 
に於いて、後者は、「逆ポーランド記法」に、相当する。
然るに、
(25)
① ~[F〔x,y,g(z)〕] に対して、
② [F~〔x,y,g(z)〕] の場合は、
「命題関数(レーマ)」とは言へず、この「順番」は、「ギリシャ語」としては、
② SAY NOT APOSTLE WORD IN CHURCH.
といふ「語順」に、相当する。
然るに、
(26)
② SAYS〔NOT[APOSTLE WORD IN(CHURCH)〕]⇒
② 〔[APOSTLE WORD (CHURCH)IN〕SAYS]NOT=
② 〔[使徒は 言葉を(教会)にて〕言は]ない。
然るに、
(27)
② 〔[( )〕]
の場合は、〔 〕の中に、[ が有るため、『括弧』ではない。
(28)
① ~[F〔x,y,g(z)〕] に対して、
③ ~[〔x,y,g(Fz)〕] の場合は、
「命題関数(レーマ)」とは、言へず、この「順番」は、「ギリシャ語」としては、
③ NOT APOSTLE WORD IN SAY CHURCH.
といふ「語順」に、相当する。
然るに、
(29)
① NOT SAY APOSTLE WORD IN CHURCH.
の「語順」を、
③ NOT APOSTLE WORD IN SAY CHURCH.
といふ風に、変へるならば、
③ NOT[APOSTLE WORD IN(SAY〔CHURCH)〕]⇒
③ [APOSTLE WORD (〔CHURCH)IN〕SAYS]NOT=
③ [使徒は 言葉を(〔教会)の中で〕言は]ない。
然るに、
(30)
③ [(〔 )〕]
の場合も、( )の中に、〔 が有るため、『括弧』ではない。
従って、
(22)~(30)により、
(31)
① ~[F〔x,y,g(z)〕]=
① NOT SAY APOSTLE WORD IN CHURCH.
② [f~〔x,y,g(z)〕]=
② SAY NOT APOSTLE WORD IN CHURCH.
③ ~[〔x,y,g(Fz)〕]=
③ NOT APOSTLE WORD IN SAY CHURCH.
に於いて、
① であるならば、その時に限って、『「括弧」を用ゐた「ギリシャ語訓読」』は「可能」である。といふ、ことになる。
然るに、
(01)~(08)により、
(32)
① ~[F〔x,y,g(z)〕]⇔
① [〔x,y,(z)g〕f]~.
に於いて、
① ~ の「補語」は、[ ]のコンテンツ であって、
① F の「補語」は、〔 〕のコンテンツ であって、
① g の「補語」は、( )のコンテンツ である。
従って、
(31)(32)により、
(33)
① ~ の「補語」は、F〔x,y,g(z)〕 であるが、
② ~ の「補語」は、 〔x,y,g(z)〕 であって、①とは、一致せず、
③ ~ の「補語」は、〔x,y,g(Fz)〕 であって、①とは、一致しない。
(34)
① F の「補語」は、x,y,g(z) であるが、
② に、Fの「補語」は無く、
③ も、Fの「補語」が無い。
(35)
① g の「補語」は、z  であるが、
③ g の「補語」は、Fz であって、Fは、「前置詞の補語」であるにも拘わらず、「名詞(オノマ)」ではない。
然るに、
(36)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置き換えて読むことが、その大きな原則となっている(鈴木直治著、中国語と漢文、1975年、296頁)。
然るに、
(37)
① ~[F〔x,y,g(z)〕]⇔
①[〔x,y,(z)g〕F] ~.
に於いて、
~=ない=NOT
F=言ふ=SAY
x=使徒=APOSTLE
y=言葉=WORD
g=にて=IN
z=教会=CHURCH
を、「除く」と、
①[〔 , ,( )〕]⇔
①[〔 , ,( )〕].
従って、
(37)により、
(38)
① ~[F〔x,y,g(z)〕]⇔
①[〔x,y,(z)g〕F] ~.
の「補足構造」は、
①[〔 , ,( )〕]⇔
①[〔 , ,( )〕].
といふ「形」で共通であって、「補足の順番」が、「反対」である。と、すべきである。
従って、
(39)
① ΟΥ[ΛΕΓΕΙ〔ΑΠΟΣΤΟΛΟΣ ΛΟΓΟΝ ΕΝ(ΕΚΚΛΗΣΙΑ)〕].
① [〔使徒は 言葉を(教会)にて〕言は]ない。
に於いて、両者は、「シンタックス(構造)」が、「同じ」である。
然るに、
(40)
  Kretheus1 ekhei2 onaton3 paro4 morokwroi5 poimeinei6.
  クレーテウスは1 羊飼い6 モログロス5 から4 借地権を3 受け取る2.
  Kokalos1 apedoke2 elaiwon3 tosson4 Eumedei5.
  コーカロスは1 エウメーデスに5 これだけの4 オリーブを3 支払った2.
ここに見る配列型は日本語のそれと正反対、つまり完全にSVO型のそれである。このような統語型が紀元前2千年のギリシャ語に現れたことは注目すべきである(ピュロス文書の年代はB.C.1200頃)この点で、ギリシャ語はエーゲ海を挟んで東方小アジアのヒッタイト語とは著しい対照をなしている(松本克己、世界言語への視座、2006年、143頁)。
従って、
(40)により、
(41)
② Kretheus1 ekhei2{onaton3[paro4〔morokwroi5(poimeinei6)〕]}⇒
② Kretheus1 {[〔(poimeinei6)morokwroi5〕paro4]onaton3}ekhei2=
② クレーテウスは1{[〔(羊飼い6)モログロス5〕から4]借地権を3}受け取る2.
③ Kokalos1 apedoke2[elaiwon3〔tosson4(Eumedei5)〕]⇒
③ Kokalos1 [〔(Eumedei5)tosson4〕elaiwon3]apedoke2=
③ コーカロスは1 [〔(エウメーデスに5)これだけの4〕オリーブを3]支払った2.
のやうな、「4千年前のギリシャ語」であっても、これらの場合であれば、「日本語」と、「シンタックス(構造)」が、「同じ」である。
平成26年12月23・24日、毛利太。

2014年12月21日日曜日

ギリシャ語訓読(其の弐)

(01)
                  (ΑΥΤΟΥ)=(彼の)
          〔ΛΟΓΟΝ(ΑΥΤΟΥ)〕=〔(彼の)言葉を〕
     ΛΕΓΕΙ〔ΛΟΓΟΝ(ΑΥΤΟΥ)〕=〔(彼の)言葉を〕言ふ。
ΟΥ[ΛΕΓΕΙ〔ΛΟΓΟΝ(ΑΥΤΟΥ)〕]=[〔(彼の)言葉を〕言は]ない。
に於いて、
   (彼の)
 〔(彼の)言葉を〕
 〔(彼の)言葉を〕言ふ
[〔(彼の)言葉を〕言は]ない。
は、「右側に伸びてゐる」が故に、「前進的(支配)」であると言ひ、
           (アウトゥ)
      〔ロゴン(アウトゥ)〕
    レゲイ〔ロゴン(アウトゥ)〕
ウー[レゲイ〔ロゴン(アウトゥ)〕]
は、「左側に伸びてゐる」が故に、「後進的(支配)」であると言ふ。
加へて、
(02)
ウー[レゲイ〔ロゴン(アウトゥ)〕]:[〔(彼の)言葉を〕言は]ない。
は、「左右対称(シンメトリー)」であるが故に、「鏡像(mirror image)的な関係」であると言ふ。
然るに、
(03)
例えば「使徒が言葉を言う」(an apostle says a word)という文は、ギリシャ語では通常 ΑΠΟΣΤΟΛΟΣ ΛΕΓΕΙ ΛΟΓΟΝ である。だが ΛΕΓΕΙ ΑΠΟΣΤΟΛΟΣ ΛΟΓΟΝ も、ΛΟΓΟΝ ΛΕΓΕΙ ΑΠΟΣΤΟΛΟΣ も共に全く可能である。だから和訳、英訳は、共に順序でなく、語尾を観察することによって決定しなければならない(J.グレシャム・メイチェン、新約聖書ギリシャ語原典入門、1967年、29頁)。
従って、
(03)により、
(04)
① APOSTLE ウー[レゲイ〔ロゴン(アウトゥ)〕].
② ウー[レゲイ〔APOSTLE ロゴン(アウトゥ)〕].
に於いて、
① は、「SVO(主語+動詞+目的語)」であり、
② は、「VSO(動詞+主語+目的語)」である。
従って、
(05)
① APOSTLE ウー[レゲイ〔ロゴン(アウトゥ)エン(テー エックレーシア)〕].
② ウー[レゲイ〔APOSTLE ロゴン(アウトゥ)エン(テー エックレーシア)〕].
に於いて、
① は、「SVO型」であり、
② は、「VSO型」である。
従って、
(06)
① APOSTLE NOT[SAY〔WORD(HIS)IN(THE CHURCH)〕].
② NOT[SAY〔APOSTLE WORD(HIS)IN(THE CHURCH)〕].
に於いて、
① は、「SVO型」であり、
② は、「VSO型」である。
然るに、
(07)
動詞が文頭に立つVSO型と動詞が常に文末尾に置かれる「厳格な」SOV型は、その統語型が正に鏡像(mirror image)的な関係に立つと見られる。ちなみに、日本語は前進的支配が驚くほど首尾一貫した「厳格な」(S)OV型の言語である。この意味で日本語はもろもろの言語の統語型の特性を判別するための尺度として最適の言語であると言ってよかろう。たとえば、英語は、基本的に配列型はS‐V‐Oで日本語とは逆になるが、Jhon’s book「ジョンの本」、an interesting book「面白い本」などのように、日本語と語順が一致する場合もある。ということは、英語の統語型がそれだけ不整合(inconsistency)を内臓していることを意味している(松本克己、世界言語への視座、2006年、132・133頁)。
従って、
(01)~(07)により、
(08)
① APOSTLE NOT[SAY〔WORD(HIS)IN(THE CHURCH)〕].
② NOT[SAY〔APOSTLE WORD(HIS)IN(THE CHURCH)〕].
③ 使徒は、彼の言葉を、その教会の中で、言はない。
に於いて、
① の「語順」は、「SVO型」であって、
② の「語順」は、「VSO型」であって、
③ の「語順」は、「SOV型」である。
然るに、
(09)
① APOSTLE NOT[SAY〔WORD(HIS)IN(THE CHURCH)〕]⇒
① APOSTLE [〔(HIS)WORD(THE CHURCH)IN〕SAY]NOT=
① 使徒は [〔(彼の)言葉を(その教会)の中で〕言は]ない=
③ 使徒は、彼の言葉を、その教会の中で、言はない。
であって、尚且つ、
② NOT[SAY〔APOSTLE WORD(HIS)IN(THE CHURCH)〕]⇒
② [〔APOSTLE (HIS)WORD(THE CHURCH)IN〕SAY]NOT=
② [〔使徒は(彼の)言葉を(その教会)の中で〕言は]ない=
③ 使徒は、彼の言葉を、その教会の中で、言はない。
従って、
(07)(08)(09)により、
(10)
①「或る言語A」と、
②「或る言語B」が、
① APOSTLE NOT[SAY〔WORD(HIS)IN(THE CHURCH)〕].
② NOT[SAY〔APOSTLE WORD(HIS)IN(THE CHURCH)〕].
のやうな、
①「典型的な、SVO型言語」であるか、
②「典型的な、VSO型言語」であるならば、
それらの「言語」に対しては、『「括弧」を用いた「訓読」』が「可能」である。といふことになる。
然るに、
(11)
Dryer (2011a) は世界1377の言語を調べ、可能な語順が複数ある場合には使用頻度によって基本語順を決めた。この調査によれば、SOV型が一番多く565言語、次いでSVO型が488言語であった。他の4つのタイプはいずれも100言語以下で、VSO型が95言語、VOS型が25、OVS型が11、OSV型が4であった。同じくらいよく使われる語順が二つ以上ある言語は189あり、これらは頻度によって基本語順を決定できないため分類からは除かれている。
SOV型 - 日本語、琉球語、アイヌ語、アルタイ諸語、インド・イラン語派、ドラヴィダ語族、チベット・ミャンマー語派、ニヴフ語、ウィルタ語、ブルーシャスキー語、パーリ語、朝鮮語、アムハラ語、エスキモー語、チュクチ語、テュルク諸語、アイマラ語、ケチュア語、ナバホ語、ホピ語、バスク語、シュメール語、アッカド語、ヒッタイト語、エラム語など。
SVO型 - 英語、フランス語、中国語(広東語などの諸方言や漢文を含む)、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、カタルーニャ語、ルーマニア語、ブルガリア語、現代ギリシア語、デンマーク語、スウェーデン語、ノルウェー語、タイ語、ラーオ語(ラオス語)、ベトナム語、ジャワ語、インドネシア語、マレー語(マレーシア語)、クメール語(カンボジア語)、スワヒリ語、現代アラビア語諸方言、ハウサ語、ヨルバ語、グアラニー語、ナワトル語など。
VSO型 - 古典アラビア語、ヘブライ語、アラム語、フェニキア語、古代エジプト語、ゲエズ語、ゲール語、古典マヤ語、タガログ語、セブアノ語、イロカノ語、マオリ語など。
VOS型 - フィジー語など。
OVS型 - ヒシカリヤナ語など。
OSV型 - シャバンテ語など。
(ウィキペディア:語順)
従って、
(07)(10)(11)により、
(12)
SVO型 - 英語、フランス語、中国語(広東語などの諸方言や漢文を含む)、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、カタルーニャ語、ルーマニア語、ブルガリア語、現代ギリシア語、デンマーク語、スウェーデン語、ノルウェー語、タイ語、ラーオ語(ラオス語)、ベトナム語、ジャワ語、インドネシア語、マレー語(マレーシア語)、クメール語(カンボジア語)、スワヒリ語、現代アラビア語諸方言、ハウサ語、ヨルバ語、グアラニー語、ナワトル語など。
VSO型 - 古典アラビア語、ヘブライ語、アラム語、フェニキア語、古代エジプト語、ゲエズ語、ゲール語、古典マヤ語、タガログ語、セブアノ語、イロカノ語、マオリ語など。
にあって、「その言語」が、
①「典型的な、SVO型言語」であるか、
②「典型的な、VSO型言語」であるならば、
それらの「言語」に対しては、『「括弧」を用いた「訓読」』が「可能」である。といふことになる。
然るに、
(13)
④ V(SO).
⑤ O(V〔S)〕.
⑥ O(S)V.
に於いて、
⑤ (〔 )〕.
は、『括弧』ではない。
従って、
(14)
⑤ OVS型 - ヒシカリヤナ語など。
は、『「括弧」を用いた「訓読」』が「可能」ではない。
従って、
(15)
だからこそ、なおのこと、
⑤ OVS型 - ヒシカリヤナ語など。
は、絶対に、滅びてはならない。ものの、
その前に、このままでは、「漢文訓読」も、確実に、死に絶へむ。
平成26年12月21日、毛利太。
(16)
(15)
(05)於いて、
① アポストル ウー[レゲイ〔ロゴン(アウトゥ)エン(テー エックレーシア)〕].
② ウー[レゲイ〔アポストル ロゴン(アウトゥ)エン(テー エックレーシア)〕].
に於いて、
① は、「SVO型」であり、
② は、「VSO型」である。
としたのは、「ギリシャ語」では、両方が、可能である。といふことである。
然るに、
(16)
 Kretheus1 ekhei2 onaton3 paro4 morokwroi5 poimeinei6.
 クレーテウスは1 羊飼い6 モログロス5 から4 借地権を3 受け取る2.
 Kokalos1 apedoke2 elaiwon3 tosson4 Eumedei5.
 コーカロスは1 エウメーデスに5 これだけの4 オリーブを3 支払った2.
ここに見る配列型は日本語のそれと正反対、つまり完全に SVO型のそれである。このような統語型が紀元前
2千年のギリシャ語に現れたことは注目すべきである(ピュロス文書の年代はB.C.1200頃)この点で、ギリシ
ャ語はエーゲ海を挟んで東方小アジアのヒッタイト語とは著しい対照をなしている(松本克己、世界言語への視座、2006年、143頁)。
従って、
(16)により、
(17)
ギリシャ語は、4千年前から、基本的に、「漢文」と同じく、「SVO型」であることになり、だとすれば、
 Kretheus1 ekhei2{onaton3[paro4〔morokwroi5(poimeinei6)〕]}⇒
 Kretheus1 {[〔(poimeinei6)morokwroi5〕paro4]onaton3}ekhei2=
 クレーテウスは1 {[〔(羊飼い6)モログロス5〕から4]借地権を3}受け取る2.
といふ具合に、『「括弧」を用いた「訓読」』が、「ギリシャ語」に対して「可能」であることは、当然である。
平成26年12月21日、毛利太。

2014年12月17日水曜日

ギリシャ語訓読。

(01)
ΕΝ(ΑΡΧΗ)ΗΝ(Ο ΛΟΓΟΣ) ΚΑΙ(Ο ΛΟΓΟΣ)ΗΝ〔ΠΡΟΣ(ΤΟΝ ΘΕΟΝ)〕ΚΑΙ ΘΕΟΣ ΗΝ(Ο ΛΟΓΟΣ)⇒
(ΑΡΧΗ)ΕΝ(Ο ΛΟΓΟΣ)ΗΝ ΚΑΙ(Ο ΛΟΓΟΣ)〔(ΤΟΝ ΘΕΟΝ)ΠΡΟΣ〕ΗΝ ΚΑΙ ΘΕΟΣ(Ο ΛΟΓΟΣ)ΗΝ=(はじめ)に(言葉が)あった、そして(言葉は)〔(神と)ともに〕あった、そして、神は(言葉)であった。
cf.

於(初)有(言葉)而(言葉)有〔与(神)〕而神為(言葉)⇒
(初)於(言葉)有而(言葉)〔(神)与〕有而神(言葉)為=
(初め)に(言葉が)有った而(言葉は)〔(神と)与に〕有った而神は(言葉)為り。
(02)
フートス エーン〔エン(アルケー)プロス(トン テオン)〕⇒
フートス 〔(アルケー)エン(トン テオン)プロス〕エーン=
これは〔(はじめ)に(神と)とともに〕あった。
(03)
パンタ ディ(アウトゥ)エゲネト カイ コーリス(アウトゥ)ウーデ[エン〔ホ(ゲゴネン)〕]⇒
パンタ(アウトゥ)ディ エゲネト カイ (アウトゥ)コーリス[〔(ゲゴネン)ホ〕エン]ウーデ=
全てのものは(彼に)よって出来た、 そして (彼に)によらず[〔(出来た)ものは〕一つも]なかった。
(04)
エン(アウトー) ゾーエー エーン カイ へー ゾーエー エーン〔ト‐ホース(トーン アントローポン)〕⇒
(アウトー)エン ゾーエー エーン カイ へー ゾーエー 〔(トーン アントローポン)ト‐ホース〕エーン=
(彼に)あって 命 であった、 そして 命は〔(人々の)光〕であった。
(05)
カイ ト ホース エン(テー スコティア)ファイネイ カイ へー スコティア アウト ウー(カテラベン)⇒ 
カイ ト ホース(テー スコティア)エン ファイネイ カイ へー スコティア アウト (カテラベン)ウー=
そして 光は(暗黒の)中で 輝いてゐる、そして 暗黒は それを(理解し)なかった。
(06)
エゲネト[アントローポス アペスタルメノス〔パラ(テウー)〕]オノマ(アウトー)イオーアンネース⇒
[アントローポス〔(テウー)パラ〕アペスタルメノス]エゲネト(アウトー)オノマ イオーアンネース=
[ある人が〔(神)から〕遣わされて]現れた、(その)名前は ヨハネ。 『ヨハネ第一章、一節から六節』
(07)
このように、これらの諸要素の配列の間に高い相関性が見い出されるのはなぜかと言えば、それは中世の文法家がrectio(支配”rection”)と呼んだ原理によって説明できるであろう。すなわち、A類の諸形式とB類の諸形式との関係は、それぞれ前者が”rectum(支配されるもの)”、後者が”regens”(支配するもの)と見なすことができるからである(松本克己、世界言語への視座、2006年、130頁)。
(08)
この場合、「中世の文法家がrectio(支配”rection”)と呼んだ原理」は、「漢文」で言ふ所の、「補足構造」に相当する。
平成26年12月17・18日、毛利太。