2021年9月29日水曜日

「排中律」と(P→Q)∨(Q→R)と「常識」。

(01)
練習問題5:10個の原始的規則あるいは導出された規則を、既に証明されたどのような連式あるいは定理とでもともに用いて、証明せよ。
(論理学初歩、E.J.レモン著、竹尾治一郎・浅野楢英 翻訳、1973年、80頁)
〔私による解答〕
(b)├(P→Q)∨(Q→R)
  (1)   Q∨~Q      TI(定理導入の規則)
2 (2)   Q         A
2 (3)~P∨Q         2∨I
2 (4) P→Q         3含意の定義
2 (5)(P→Q)∨(Q→R)  4∨I
 6(6)      ~Q     A
 6(7)      ~Q∨R   6∨I
 6(8)       Q→R   7含意の定義
 6(9)(P→Q)∨(Q→R)  8∨I
  (ア)(P→Q)∨(Q→R)  12569∨E
然るに、
(02)
練習問題5:10個の原始的規則だけを用いて、つぎの連式を証明せよ。
(論理学初歩、E.J.レモン著、竹尾治一郎・浅野楢英 翻訳、1973年、80頁
〔私による解答〕
(b)├(P→Q)∨(Q→R)
1             (1) ~(Q∨~Q)    A
 2            (2)   Q        A
 2            (3)   Q∨~Q     2∨I
12            (4) ~(Q∨~Q)&
                   (Q∨~Q)    13&I
1             (5)  ~Q        24RAA
1             (6)   Q∨~Q     5∨I
1             (7) ~(Q∨~Q)&
                   (Q∨~Q)    16&I
              (8)~~(Q∨~Q)    17RAA
              (9)   Q∨~Q     8DN
  ア           (ア)   Q        A(9の選言項左)
  ア           (イ)~P∨Q        ア∨I
   ウ          (ウ)P&~Q        A
    エ         (エ)~P          A(イの選言項左)
   ウ          (オ)P           ウ&E
   ウエ         (カ)~P&P        エオ&I
    エ         (キ)~(P&~Q)     ウカRAA
     ク        (ク)   Q        A(イの選言項右)
   ウ          (ケ)  ~Q        ウ&E
   ウ ク        (コ)Q&~Q        クケ&I
     ク        (サ)~(P&~Q)     ウコRAA
  ア           (シ)~(P&~Q)     アエキクサ∨E
      ス       (ス)  P         A
       セ      (セ)    ~Q      A
      スセ      (ソ)  P&~Q      スセ&I
  ア   スセ      (タ)~(P&~Q)&
                  (P&~Q)     シソ&I
  ア   ス       (チ)   ~~Q      セタRAA
  ア   ス       (ツ)     Q      チDN
  ア           (テ) P→Q        スツCP
  ア           (ト)(P→Q)∨(Q→R) テ∨I
        ナ     (ナ)     ~Q     A(9の選言項右)
        ナ     (ニ)     ~Q∨R   ナ∨I
         ヌ    (ヌ)     Q&~R   A
          ネ   (ネ)     ~Q     A(ニの選言項左)
         ヌ    (ノ)     Q      ヌ&E
         ヌネ   (ハ)     ~Q&Q   ネノ&I
          ネ   (ヒ)   ~(Q&~R)  ヌハRAA
           フ  (フ)        R   A(ニの選言項右)
         ヌ    (ヘ)       ~R   ヌ&E
         ヌ フ  (ホ)     R&~R   フヘ&I
           フ  (マ)   ~(Q&~R)  ヌホRAA
        ナ     (ミ)   ~(Q&~R)  ナネヒフマ∨E
            ム (ム)     Q      A
             メ(メ)       ~R   A
            ムメ(モ)     Q&~R   ムメ&I
        ナ   ムメ(ヤ)   ~(Q&~R)&
                     (Q&~R)  ミモ&I
        ナ   ム (イ)      ~~R   メヤRAA
        ナ   ム (ユ)        R   イDN
        ナ     (エ)      Q→R   ムユCP
        ナ     (ヨ)(P→Q)∨(Q→R) エ∨I
               (ラ)(P→Q)∨(Q→R) _アトナヨ∨E
従って、
(01)(02)により、
(03)
いづれにせよ、
(b)├(P→Q)∨(Q→R)
といふ「連式」は、「恒真式(トートロジー)」であって、
(b)├(P→Q)∨(Q→R)
といふ「連式」は、
(b)├ Q∨~Q(排中律)
に、由来する。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
①  Q∨~Q
②(P→Q)∨(Q→R)
に於いて、
① が、「恒真式(トートロジー)」であるが故に、
② も、「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(04)により、
(05)
①  Q∨~Q
②(P→Q)∨(Q→R)
に於いて、
 Q=日本人である。
~Q=外国人である。
 P=東洋人である。
 R=男性である。
として、
①  日本人であるか、または、外国人である。
②(東洋人であるならば、日本人であるか)、または(日本人であるならば、男性である)。
に於いて、
① が、「恒真式(トートロジー)」であるが故に、
② も、「恒真式(トートロジー)」である。
といふ、ことになる。
然るに、
(06)
普通の感覚(常識)」からすれば、
①  日本人であるか、または、外国人である。
②(東洋人であるならば、日本人であるか)、または(日本人であるならば、男性である)。
に於いて、
① が、「真」なのだから、
② も、「真」である。
とすることには、「違和感」があるに、違いない。
然るに、
(07)
(b)├(P→Q)∨(Q→R)
  (1)   Q∨~Q      TI(定理導入の規則)
2 (2)   Q         A
2 (3)~P∨Q         2∨I
2 (4) P→Q         3含意の定義
2 (5)(P→Q)∨(Q→R)  4∨I
 6(6)      ~Q     A
 6(7)      ~Q∨R   6∨I
 6(8)       Q→R   7含意の定義
 6(9)(P→Q)∨(Q→R)  8∨I
  (ア)(P→Q)∨(Q→R)  12569∨E
といふ「計算」に慣れてしまふと、
①  Q∨~Q
②(P→Q)∨(Q→R)
といふことからすれば、
①  日本人であるか、または、外国人である。
②(東洋人であるならば、日本人であるか)、または(日本人であるならば、男性である)。
に於いても、
① が、「真(本当)」であるが故に、
② も、「真(本当)」である。
といふことに対して、それほど、「違和感」は無い(?)。
cf.
② (P→Q)∨( Q→R)
③(~P∨Q)∨(~Q∨R):含意の定義
④(~P∨R)∨(Q∨~Q):交換法則・結合法則
令和03年09月29日、毛利太。

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