(01)
(ⅰ)
1 (1) P→ Q A
2 (2) ~Q A
3(3) P A
1 3(4) Q 13MPP
123(5) ~Q&Q 24&I
12 (6)~P 35RAA
1 (7)~Q→~P 26CP
(ⅱ)
1 (1) ~Q→~P A
2 (2) P A
3(3) ~Q A
1 3(4) ~P 13MPP
123(5) P&~P 24&I
12 (6)~~Q 35RAA
12 (7) Q 6DN
1 (8) P→ Q 27CP
従って、
(01)により、
(02)
(ⅰ)
1 (1)Pであるならば、Qである。仮定
2 (2) Qでない。仮定
3(3)Pである。 仮定
1 3(4) Qである。13肯定肯定式
123(5)Qでなくて、 Qである。14連言導入
12 (6)Pでない。 35背理法
1 (7)Qでないならば、Pでない。26条件法
(ⅱ)
1 (1)Qでないならば、Pでない。仮定
2 (2) Pである。仮定
3(3)Qでない。 仮定
1 3(4) Pでない。13肯定肯定式
123(5)Pであって、 Pでない。24連言導入
12 (6)Qでない。ではない。 35背理法
12 (7)Qである。 6二重否定
1 (8)Pであるならば、Qである。27条件法
従って、
(01)(02)により、
(03)
① Pであるならば、Qである。
② Qでないならば、Pでない。
に於いて、
①=② である(対偶)。
従って、
(03)により、
(04)
① PはQである。
② Q以外はPでない。
に於いて、
①=② である(対偶)。
従って、
(04)により、
(05)
① 大野は私です。
② 私以外は大野ではない。
に於いて、
①=② である(対偶)。
然るに、
(06)
全国推定人口 約221,700人程度 推定人口順位 71位
(なまえさあち 名前さがすよ)
従って、
(05)(06)により、
(07)
①(全国的に、)大野は私です。
②(全国的に、)私以外は大野ではない。
といふことは、有り得ない。
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
①(今、ここにゐる中では、)大野は私です。
②(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない。
に於いて、
①=② である(対偶)。
然るに、
(09)
(3) 未知と既知
この組み合わせは次のような場合に現われる。
私が大野です。
これは、「大野さんはどちらですか」というような問いに対する答えとして使われる。
つまり文脈において、「大野」なる人物はすでに登場していて既知である。ところが、
それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。
その未知の対象を「私」と表現して、それをガで承けた。それゆえこの形は、
大野は私です。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、34頁)。
従って、
(08)(09)により、
(10)
①(今、ここにゐる中では、)私が大野です。
②(今、ここにゐる中では、)大野は私です。
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(09)(10)により、
(11)
まず最初に、
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない。
といふ「事実」が有って、尚且つ、
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない。
といふことを、「伝へる必要」があるならば、その時には、
① 私が大野です。
② 大野は私です。
といふ風に、言ふことになる。
従って、
(09)(10)(11)により、
(12)
それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。
その未知の対象を「私」と表現して、それをガで承けた。それゆえこの形は、
大野は私です。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる。
といふ「説明」は、
①(今、ここにゐる中では、)私が大野です。
②(今、ここにゐる中では、)大野は私です。
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
といふ「事実」に依存する所の、「後付けの説明」に過ぎない。
従って、
(11)(12)により、
(13)
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない。
といふ「事実」が有ったとしても、
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない。
といふことを、「伝へる必要」が、全く無いにも拘はらず、
①(今、ここにゐる中では、)私が大野です。
②(今、ここにゐる中では、)大野は私です。
と言ふのであれば、当然、「不自然」である。
然るに、
(14)
初めての家を訪問した場合に、
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない。
といふことを、「伝える必要」は、全く無い。
従って、
(13)(14)により、
(15)
たとえば、初めての家を訪問した場合に、「私は大野というものですが、御主人は御在宅でしょうか」という。
その場合、「私が大野ですが・・・・・・」といえば、応対に出た人が怪訝な顔をする(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、25頁)。
といふことは、「当然」である。
従って、
(01)~(15)により、
(16)
①(今、ここにゐる中では、)私が大野です。
②(今、ここにゐる中では、)大野は私です。
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない。
に於いて、
①=②=③ であるが故に、
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない。
といふ「事実」があって、尚且つ、
③ であることを、表明する「必要」があるならば、「私が大野です(大野は私です)。」と言ひ、
③ であることを、表明する「必要」がないならば、「私は大野です。」と、言ふことなる。
従って、
(16)により、
(17)
(1) 既知(扱い)と未知(扱い)
(2) 既知(扱い)と既知(扱い)
(3) 未知(扱い)と既知(扱い)
(4) 未知(扱い)と未知(扱い)
はじめに既知がくる(1)と(2)では、既知(あるいは既知扱い)の下にハという助詞を使う。また(3)と(4)では、既知(あるいは既知扱い)の下にガという助詞を使う。
これが現代日本語の文の基本的な構造である(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、24頁)。
といふことには、ならない。
(18)
① 大野は私です。
と言ひたい場合に、
② 私が大野です。
と言ひ、
③ 私は大野です。
とは言はないのであれば、
① 大野は私です。
② 私が大野です。
③ 私は大野です。
に於いて、
①=② であるが、
①=③ ではない。
然るに、
(19)
① 大野は私です。
② 私が大野です。
③ 私以外は大野ではない。
に於いて、
①=③ は、「対偶」である。
従って、
(18)(19)により、
(20)
① 大野は私です。
と言ひたい場合に、
② 私が大野です。
と言ふのであれば、必然的に、
① 大野は私です。
② 私が大野です。
③ 私以外は大野ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(21)
よく知られているように、「私が理事長です」は語順を変え、
理事長は、私です。 と直して初めて主辞賓辞が適用されるのである。また、かりに大倉氏が、
タゴール記念会は、私が理事長です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念会」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
従って、
(20)(21)により、
(22)
① タゴール記念会は、理事長は私です。
② タゴール記念会は、私が理事長です。
③ タゴール記念会は、私以外は理事長ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(23)
1 (1)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]} A
1 (2) T会の会員a→∃y[私y&理事長ya&∀z(理事長za→y=z)] 1UE
3 (3) T会の会員a A
13 (4) ∃y[私y&理事長ya&∀z(理事長za→y=z)] 23MPP
5 (5) 私b&理事長ba&∀z(理事長za→b=z) A
5 (6) 私b&理事長ba 5&E
5 (7) ∀z(理事長za→b=z) 5&E
5 (8) 理事長ca→b=c 7UE
9 (9) ∃z(小倉z&~私z) A
ア (ア) 小倉c&~私c A
ア (イ) 小倉c ア&E
ア (ウ) ~私c ア&E
エ(エ) b=c A
アエ(オ) ~私b ウエ=E
5 (カ) 私b 6&E
5 アエ(キ) ~私b&私b オカ&I
5 ア (ク) b≠c エキRAA
5 ア (ケ) ~理事長ca 8クMTT
5 ア (コ) 小倉c&~理事長ca イケ&I
5 ア (サ) ∃z(小倉z&~理事長za) コEI
59 (シ) ∃z(小倉z&~理事長za) 9アサEE
13 9 (ス) ∃z(小倉z&~理事長za) 45シEE
1 9 (セ) T会の会員a→∃z(小倉z&~理事長za) 3スCP
1 9 (ソ)∀x{T会の会員x→∃z(小倉z&~理事長zx)} セUI
従って、
(23)により、
(24)
(ⅰ)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}
(ⅱ)∃z(小倉z&~私z)
(ⅲ)∀x{T会の会員x→∃z(小倉z&~理事長zx)}
といふ「推論(三段論法)」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxについて{xがタゴール記念会の会員であるならば、あるyは[私であって、理事長であって、すべてのzについて(zがxの理事長であるならば、yとzは「同一人物」である)]。}
(ⅱ)あるzは(小倉氏であって、zは私ではない。)
(ⅲ)すべてのxについて{xがタゴール記念会の会員であるならば、あるzは(小倉氏であって、zはxの理事長ではない)。}
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(22)(23)(24)により、
(25)
(ⅰ)タゴール記念会は、私が理事長です。然るに、
(ⅱ)小倉氏は私ではない。従って、
(ⅲ)タゴール記念会は、小倉氏は理事長ではない。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(21)~(25)により、
(26)
① タゴール記念会は、理事長は私です。
② タゴール記念会は、私が理事長です。
③ タゴール記念会は、私以外は理事長ではない。
④ ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}
⑤ すべてのxについて{xがタゴール記念会の会員であるならば、あるyは[私であって、理事長であって、すべてのzについて(zがxの理事長であるならば、yとzは「同一人物」である)]。}
に於いて、
①=②=③=④=⑤ である。
令和03年11月13日、毛利太。
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