2021年11月13日土曜日

「タゴール記念会は私が理事長です」の「述語論理」。

(01)
(ⅰ)
1  (1) P→ Q A
 2 (2)   ~Q A
  3(3) P    A
1 3(4)    Q 13MPP
123(5) ~Q&Q 24&I
12 (6)~P    35RAA
1  (7)~Q→~P 26CP
(ⅱ)
1  (1) ~Q→~P A
 2 (2)     P A
  3(3) ~Q    A
1 3(4)    ~P 13MPP
123(5)  P&~P 24&I
12 (6)~~Q    35RAA
12 (7)  Q    6DN
1  (8)  P→ Q 27CP
従って、
(01)により、
(02)
(ⅰ)
1  (1)Pであるならば、Qである。仮定
 2 (2)        Qでない。仮定
  3(3)Pである。        仮定
1 3(4)        Qである。13肯定肯定式
123(5)Qでなくて、  Qである。14連言導入
12 (6)Pでない。        35背理法
1  (7)Qでないならば、Pでない。26条件法
(ⅱ)
1  (1)Qでないならば、Pでない。仮定
 2 (2)        Pである。仮定
  3(3)Qでない。        仮定
1 3(4)        Pでない。13肯定肯定式
123(5)Pであって、  Pでない。24連言導入
12 (6)Qでない。ではない。   35背理法
12 (7)Qである。        6二重否定
1  (8)Pであるならば、Qである。27条件法
従って、
(01)(02)により、
(03)
① Pであるならば、Qである。
② Qでないならば、Pでない。
に於いて、
①=② である(対偶)。
従って、
(03)により、
(04)
① PはQである。
② Q以外はPでない。
に於いて、
①=② である(対偶)。
従って、
(04)により、
(05)
① 大野は私です。
② 私以外は大野ではない
に於いて、
①=② である(対偶)。
然るに、
(06)
全国推定人口 約221,700人程度 推定人口順位 71位
(なまえさあち 名前さがすよ)
従って、
(05)(06)により、
(07)
①(全国的に、)大野は私です。
②(全国的に、)私以外は大野ではない
といふことは、有り得ない
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
①(今、ここにゐる中では、)大野は私です。
②(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない
に於いて、
①=② である(対偶)。
然るに、
(09)
(3) 未知と既知
この組み合わせは次のような場合に現われる。
 私大野です。
これは、「大野さんはどちらですか」というような問いに対する答えとして使われる。
つまり文脈において、「大野」なる人物はすでに登場していて既知である。ところが、
それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。
その未知の対象を「私」と表現して、それをで承けた。それゆえこの形は、
 大野は私です。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、34頁)。
従って、
(08)(09)により、
(10)
①(今、ここにゐる中では、)私大野です。
②(今、ここにゐる中では、)大野は私です。
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(09)(10)により、
(11)
まず最初に、
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない
といふ「事実」が有って、尚且つ、
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない
といふことを、「伝へる必要」があるならば、その時には、
① 私大野です。
② 大野は私です。
といふ風に、言ふことになる。
従って、
(09)(10)(11)により、
(12)
それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。
その未知の対象を「私」と表現して、それをガで承けた。それゆえこの形は、
 大野は私です。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる。
といふ「説明」は、
①(今、ここにゐる中では、)私大野です。
②(今、ここにゐる中では、)大野は私です。
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない
に於いて、
①=②=③ である。
といふ「事実」に依存する所の、「後付けの説明」に過ぎない。
従って、
(11)(12)により、
(13)
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない
といふ「事実」が有ったとしても、
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない
といふことを、「伝へる必要」が、全く無いにも拘はらず、
①(今、ここにゐる中では、)私大野です。
②(今、ここにゐる中では、)大野は私です。
と言ふのであれば、当然、「不自然」である。
然るに、
(14)
初めての家を訪問した場合に、
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない
といふことを、「伝える必要」は、全く無い。
従って、
(13)(14)により、
(15)
たとえば、初めての家を訪問した場合に、「私は大野というものですが、御主人は御在宅でしょうか」という。
その場合、「私大野ですが・・・・・・」といえば、応対に出た人が怪訝な顔をする(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、25頁)。
といふことは、「当然」である。
従って、
(01)~(15)により、
(16)
①(今、ここにゐる中では、)私大野です。
②(今、ここにゐる中では、)大野は私です。
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない
に於いて、
①=②=③ であるが故に、
③(今、ここにゐる中では、)私以外は大野ではない
といふ「事実」があって、尚且つ、
③ であることを、表明する「必要」があるならば、「私大野です(大野は私です)。」と言ひ、
③ であることを、表明する「必要」がないならば、「私は大野です。」と、言ふことなる。
従って、
(16)により、
(17)
(1) 既知(扱い)と未知(扱い)
(2) 既知(扱い)と既知(扱い)
(3) 未知(扱い)と既知(扱い)
(4) 未知(扱い)と未知(扱い)
はじめに既知がくる(1)と(2)では、既知(あるいは既知扱い)の下にという助詞を使う。また(3)と(4)では、既知(あるいは既知扱い)の下にという助詞を使う。
これが現代日本語の文の基本的な構造である(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、24頁)。
といふことには、ならない。
(18)
① 大野は私です。
と言ひたい場合に、
② 私大野です。
と言ひ、
③ 私は大野です。
とは言はないのであれば、
① 大野は私です。
② 私大野です。
③ 私は大野です。
に於いて、
①=② であるが、
①=③ ではない。
然るに、
(19)
① 大野は私です。
② 私大野です。
③ 私以外は大野ではない
に於いて、
①=③ は、「対偶」である。
従って、
(18)(19)により、
(20)
① 大野は私です。
と言ひたい場合に、
② 私大野です。
と言ふのであれば、必然的に、
① 大野は私です。
② 私大野です。
③ 私以外は大野ではない
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(21)
よく知られているように、「私理事長です」は語順を変え、
 理事長は、私です。 と直して初めて主辞賓辞が適用されるのである。また、かりに大倉氏が、
 タゴール記念会は、私理事長です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念会」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
従って、
(20)(21)により、
(22)
① タゴール記念会は、理事長は私です。
② タゴール記念会は、私理事長です。
③ タゴール記念会は、私以外は理事長ではない
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(23)
1     (1)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]} A
1     (2)   T会の会員a→∃y[私y&理事長ya&∀z(理事長za→y=z)]  1UE
 3    (3)   T会の会員a                             A
13    (4)          ∃y[私y&理事長ya&∀z(理事長za→y=z)]  23MPP
  5   (5)             私b&理事長ba&∀z(理事長za→b=z)   A
  5   (6)             私b&理事長ba                 5&E
  5   (7)                      ∀z(理事長za→b=z)   5&E
  5   (8)                         理事長ca→b=c    7UE
   9  (9)     ∃z(小倉z&~私z)                      A
    ア (ア)        小倉c&~私c                       A
    ア (イ)        小倉c                           ア&E
    ア (ウ)            ~私c                       ア&E
     エ(エ)               b=c                     A
    アエ(オ)            ~私b                       ウエ=E
  5   (カ)             私b                       6&E
  5 アエ(キ)            ~私b&私b                    オカ&I
  5 ア (ク)              b≠c                     エキRAA
  5 ア (ケ)                        ~理事長ca        8クMTT
  5 ア (コ)        小倉c&~理事長ca                    イケ&I
  5 ア (サ)     ∃z(小倉z&~理事長za)                   コEI
  59  (シ)     ∃z(小倉z&~理事長za)                   9アサEE
13 9  (ス)     ∃z(小倉z&~理事長za)                   45シEE
1  9  (セ)   T会の会員a→∃z(小倉z&~理事長za)              3スCP
1  9  (ソ)∀x{T会の会員x→∃z(小倉z&~理事長zx)}             セUI
従って、
(23)により、
(24)
(ⅰ)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}
(ⅱ)∃z(小倉z&~私z)
(ⅲ)∀x{T会の会員x→∃z(小倉z&~理事長zx)}
といふ「推論(三段論法)」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxについて{xがタゴール記念会の会員であるならば、あるyは[私であって、理事長であって、すべてのzについて(zがxの理事長であるならば、yとzは「同一人物」である)]。}
(ⅱ)あるzは(小倉氏であって、zは私ではない。)
(ⅲ)すべてのxについて{xがタゴール記念会の会員であるならば、あるzは(小倉氏であって、zはxの理事長ではない)。}
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(22)(23)(24)により、
(25)
(ⅰ)タゴール記念会は、私理事長です。然るに、
(ⅱ)小倉氏は私ではない。従って、
(ⅲ)タゴール記念会は、小倉氏は理事長ではない。
といふ「推論(三段論法)」は、「妥当」である。
従って、
(21)~(25)により、
(26)
① タゴール記念会は、理事長は私です。
② タゴール記念会は、私理事長です。
③ タゴール記念会は、私以外は理事長ではない
④ ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}
⑤ すべてのxについて{xがタゴール記念会の会員であるならば、あるyは[私であって、理事長であって、すべてのzについて(zがxの理事長であるならば、yとzは「同一人物」である)]。}
に於いて、
①=②=③=④=⑤ である。
令和03年11月13日、毛利太。

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