2021年11月23日火曜日

「同一性(identity)」の「述語論理」(ラッセルの確定記述)。

(01)
1    (1) ∀x∀y(Fx&~Fy&x=y) A
1    (2)   ∀y(Fa&~Fy&a=y) 1UE
1    (3)      Fa&~Fb&a=b  2UE
1    (4)      Fa&~Fa      33=E
     (5)~∀x∀y(Fx&~Fy&x=y) 14RAA
     (6)∃x~∀y(Fx&~Fy&x=y) 5量化子の関係
     (7)∃x∃y~(Fx&~Fy&x=y) 6量化子の関係
 8   (8)  ∃y~(Fa&~Fy&a=y) A
  9  (9)    ~(Fa&~Fb&a=b) A
  9  (ア)     ~Fa∨ Fb∨a≠b  9ド・モルガンの法則
  9  (イ)     ~Fa∨a≠b∨ Fb  ア交換法則
  9  (ウ)    (~Fa∨a≠b)∨Fb  イ結合法則
   エ (エ)    (~Fa∨a≠b)     A
   エ (オ)    ~(Fa&a=b)     エ、ド・モルガンの法則
   エ (カ)    ~(Fa&a=b)∨Fb  オ∨I
    キ(キ)              Fb  A
    キ(ク)    ~(Fa&a=b)∨Fb  キ∨I
  9  (ケ)    ~(Fa&a=b)∨Fb  ウエカキク∨E
  9  (コ)     (Fa&a=b)→Fb  ケ含意の定義
  9  (サ)  ∃y{(Fa&a=y)→Fy} コEI
 8   (シ)  ∃y{(Fa&a=y)→Fy} 89サEE
 8   (ス)∃x∃y{(Fx&x=y)→Fy} シEI
     (セ)∃x∃y{(Fx&x=y)→Fy} 78スEE
従って、
(01)により、
(02)
① ∃x∃y{(Fx&x=y)→Fy}
① あるxとyについて{(xがFで、xとyが同一である)ならば、yはFである}。
といふ「論理式」は、「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(02)により、
(03)
例へば、
① ある人(x)が理事で、その人(x)が私(y)と「同一人物」であるならば、私(y)は理事である。
といふ「命題」は、「恒に真(本当)」である。
然るに、
(04)
① 理事長は、一人しかゐないが、
① 理事は、 一人では、ない
従って、
(03)(04)により、
(05)
① ある人(x)が理事で、その人(x)が私(y)と「同一人物」であるならば、私(y)は理事である。
としても、
① 私=理事(私以外は理事ではない)。
といふことには、ならない。
然るに、
(06)
{a,b,c}が{個体の領域}であるとして、
a=b
a=c
b=c
であるならば、そのときに限って、
a=b
a=c
b=a
b=c
c=a
c=b
であって、
a=b
a=c
b=a
b=c
c=a
c=b
であるならば、そのときに限って、
a=b=c
であって、
a=b=c
であるならば、そのときに限って、
{a,b,c}={a}
である。
従って、
(06)により、
(07)
{a,b,c}が{個体の領域}であるとして、
a=b
a=c
b=a
b=c
c=a
c=b
であるならば、そのときに限って、
{a}={a,b,c}
然るに、
(08)
{a,b,c}が{個体の領域}であるとして、
として、
{a}={a,b,c}
であるならば、{個体の個数}は、{(aによる)1個}である。
従って、
(08)により、
(09)
② ∀x∀y(x=y)
であるならば、すなはち、
② すべてのxとyについて(xとyは同一である)。
であるならば、
② xとyは「同一」であって、尚且つ、「(唯一の)x」である。
然るに、
(10)
(ⅱ)
1(1)      ∀x∀y(x=y) A
1(2)        ∀y(a=y) 1UE
1(3)           a=b  2UE
1(4)  ~(Fa&Fb)∨a=b  3∨I
1(5)     Fa&Fb→a=b  4含意の定義
1(6)  ∀y(Fa&Fy→a=y) 5UI
1(7)∀x∀y(Fx&Fy→x=y) 6UI
従って、
(10)により、
(11)
② ∀x∀y(      x=y)
③ ∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
に於いて、
② ならば、③である。
従って、
(09)(10)(11)により、
(12)
③ ∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
であるならば、
③ xは「Fである所の、唯一のx」である。
従って、
(12)により、
(13)
② ∃x(Fx)&∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
であるならば、すなはち、
② あるxは(Fであり)、すべてのxとyについて(xがFであってyもFであるならば、xとyは同一である)。
であるならば、
② Fである所の、唯一のxが存在する。
然るに、
(14)
(ⅱ)
1  (1)∃xFx&∀x∀y(Fx&Fy→x=y) A
1  (2)∃xFx                 1&E
 3 (3)  Fa                 A
1  (4)     ∀x∀y(Fx&Fy→x=y) 1&E
1  (5)       ∀y(Fa&Fy→a=y) 4UE
1  (6)          Fa&Fb→a=b  5UE
  7(7)             Fb      A
 37(8)          Fa&Fb      37&I
137(9)                a=b  68MPP
13 (ア)          Fb→a=b     79CP
13 (イ)       ∀y(Fy→a=y)    アUI
13 (ウ)    Fa&∀y(Fy→a=y)    3イ&I
13 (エ) ∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)}   ウEI
1  (オ) ∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)}   23エEE
(ⅲ)
1  (1)    ∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)} A
 2 (2)       Fa&∀y(Fy→a=y)  A
 2 (3)       Fa             2&E
 2 (4)    ∃x(Fx)            3EI
1  (5)    ∃x(Fx)            124EE
1  (6)          ∀y(Fy→a=y)  2&E
1  (7)             Fb→a=b   6UE
  8(8)          Fa&Fb       A
  8(9)             Fb       8&E
1 8(ア)                a=b   79MPP
1  (イ)          Fa&Fb→a=b   8アCP
1  (ウ)       ∀y(Fa&Fy→a=y)  イUI
1  (エ)     ∀x∀y(Fx&Fy→x=y)  ウUI
1  (オ)∃xFx&∀x∀y(Fx&Fy→x=y)  5エ&I
従って、
(14)により、
(15)
② ∃x(Fx)&∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
③ ∃x{Fx &  ∀y(   Fy→x=y)}
に於いて、
②=③ である。
従って、
(13)(14)(15)により、
(16)
② ∃x(Fx)&∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
③ ∃x{Fx &∀y  (   Fy→x=y)}
であるならば、すなはち、
② あるxは(Fであり)、すべてのxとyについて(xがFであってyもFであるならば、xとyは同一である)。
③ あるxは{Fであり、 すべてのy  について(       yがFであるならば、xとyは同一である)}。
であるならば、
② Fである所の、唯一のxが存在する。
③ Fである所の、唯一のxが存在する。
従って、
(16)により、
(17)
それ故、正確に1つのものがFをもつと言うことは、つぎのように言うことである。
  (16)∃x(Fx)&∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
さて(16)は、実はより短くすっきりとした次の式と導出可能なのである。
  (17)∃x{Fx&∀y(Fy→x=y)}
(17)は、あるものがFをもち、そして任意のFをもつものはまさにそのものにほかならない、ということを主張する。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 翻訳、1973年、211・212頁)
といふ「説明」は、「正しい」。
令和03年11月23日、毛利太。

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