2024年1月13日土曜日

「鼻は象が長い」の「述語論理」の「解説」。

(01)
①{象の鼻、兎の鼻、馬の鼻}
②{象の耳、兎の耳、馬の耳}
③{象の顏、兎の顏、馬の顏}
であるならば、
① 鼻に関しては、象の鼻は長く、象以外(兎と馬)の鼻は長くはない
② 耳に関しては、兎の耳は長く、兎以外(象と馬)の耳は長くはない
③ 顏に関しては、馬の顔は長く、馬以外(象と兎)の顔は長くはない
といふ「命題」は「真」である。
然るに、
(02)
① 鼻に関しては、象の鼻は長く、象以外(兎と馬)の鼻は長くはない
② 耳に関しては、兎の耳は長く、兎以外(象と馬)の耳は長くはない
③ 顏に関しては、馬の顔は長く、馬以外(象と兎)の顔は長くはない
といふことは、要するに、
① 鼻は象長い。
② 耳は兎長い。
③ 顔は馬長い。
といふ、ことである。
従って、
(01)(02)により、
(03)
「番号」を付け替へるとして、
① 鼻は象長い。
② 鼻に関しては、象の鼻は長く、象以外(兎と馬)の鼻は長くはない
に於いて、
①=② である。
然るに、
(04)
1       (1)∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x} A
1       (2)  ∃y{(鼻ay&象y)→長a&(~象y&鼻ay)→~長a} 1UE
 3      (3)     (鼻ab&象b)→長a&(~象b&鼻ab)→~長a  A
 3      (4)                 (~象b&鼻ab)→~長a  3&E
  5     (5)  ∀y{(兎y→~象y)&∃x(鼻xy)}          A
  5     (6)     (兎b→~象b)&∃x(鼻xb)           5UE
  5     (7)      兎b→~象b                    6&E
   8    (8)      兎b                        A
  58    (9)         ~象b                    78MPP
  5     (ア)              ∃x(鼻xb)           6&E
    イ   (イ)                 鼻ab            A
  58イ   (ウ)                  ~象b&鼻ab       9イ&I
 358イ   (エ)                           ~長a  4ウMPP
 358イ   (オ)                  鼻ab&~長a       イエ&I
 358イ   (カ)               ∃x(鼻xb&~長x)      オEI
 358    (キ)               ∃x(鼻xb&~長x)      アイカEE
 35     (ク)            兎b→∃x(鼻xb&~長x)      8キCP
1 5     (ケ)            兎b→∃x(鼻xb&~長x)      23クEE
     コ  (コ)         ∃y{兎y&∀x(鼻xy→ 長x)}     A
      サ (サ)            兎b&∀x(鼻xb→ 長x)      A
      サ (シ)            兎b                  シ&E
1 5   サ (ス)               ∃x(鼻xb&~長x)      ケシMPP
      サ (セ)               ∀x(鼻xb→ 長x)      サ&E
       ソ(ソ)                  鼻ab&~長a       A
      サ (タ)                  鼻ab→ 長a       セUE
       ソ(チ)                  鼻ab           ソ&E
      サソ(ツ)                       長a       タチMPP
       ソ(テ)                      ~長a       ソ&E
      サソ(ト)                   長a&~長a       ツテ&I
1  5  サ (ナ)                   長a&~長a       サソトEE
1  5 コ  (ニ)                   長a&~長a       コサナEE
1  5    (ヌ)        ~∃y{兎y&∀x(鼻xy→ 長x)}     コニRAA
従って、
(04)により、
(05)
(ⅰ)∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x}。然るに、
(ⅱ)  ∀y{(兎y→~象y)&∃x(鼻xy)}。従って、
(ⅲ) ~∃y{ 兎y&∀x(鼻xy→ 長x)}。
といふ『推論』、すなはち、
(ⅰ)すべてのxとあるyについて{(xがyの鼻であって、yが象である)ならば、xは長く、(yが象でなくて、xがyの鼻である)ならば、xは長くない}。然るに、
(ⅱ)    すべてのyについて{(yが兎であるならば、yは象ではなく)、あるxは(yの鼻である)}。従って、
(ⅲ)    すべてのyについて{ yが兎であるならば、あるxは(yの鼻であって、長くない)}。
(ⅲ)         あるyは{ 兎であって、(xがyの鼻ならば、xは長い)}といふそのやうなyは存在しない
といふ『推論』、すなはち、
(ⅰ)鼻は象長く、象以外の鼻は長くない。然るに、
(ⅱ)兎は象ではないが、兎には鼻がある。 従って、
(ⅲ)鼻の長い兎はゐない
といふ『推論』は「妥当」である。
然るに、
(01)(05)により、
(06)
① 鼻に関しては、象の鼻は長く、象以外(兎と馬)の鼻は長くはない
② 耳に関しては、兎の耳は長く、兎以外(象と馬)の耳は長くはない
③ 顏に関しては、馬の顔は長く、馬以外(象と兎)の顔は長くはない
といふ「命題」は「真」である。
といふことからすれば、
(ⅰ)鼻は象長く、象以外の鼻は長くない
(ⅱ)兎は象ではないが、兎には鼻がある。
(ⅲ)鼻の長い兎はゐない。
といふ「命題」は「真」である。
従って、
(01)~(06)により、
(07)
「番号」を付け替へるとして、
① 鼻は象長い。
② 鼻に関しては、象の鼻は長く、象以外の鼻は長くはない
③ ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x}。
④ すべてのxとあるyについて{(xがyの鼻であって、yが象である)ならば、xは長く、(yが象でなくて、xがyの鼻である)ならば、xは長くない}。
に於いて、
①=②=③=④ である。
然るに、
(08)
(ⅰ)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲(スコープ)は、問題になっている変数が現れる少なくとも2つの箇所を含むであろう(その1つの箇所は量記号そのもののなかにある);
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、183頁改)
然るに、
(07)(08)により、
(09)
③ ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x}。
に於いて、
③ ∀xと、    鼻x の「作用範囲(スコープ」は、
③   ∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x}。
であるものの、このことは、
① 鼻は(象長い)。
に於ける、
① 鼻は の「作用範囲(スコープ」が、
①   (象長い)
であるといふことを、「示してゐる」。
然るに、
(10)
これに対して三上は、日本語には主語はない、とする。「象は」は、テーマを提示する主題であり、これから象についてのことを述べますよというメンタルスペースのセットアップであり、そのメンタルスペースのスコープを形成する働きをもつと主張する(この場合は「長い」までをスコープとする)〔三上文法! : wrong, rogue and log〕。
従って、
(09)(10)により、
(11)
「象は」は、テーマを提示する主題であり、これから象についてのことを述べますよというメンタルスペースのセットアップであり、そのメンタルスペースのスコープを形成する働きをもつと主張する。
といふ「説明」は、「必ずしも、マチガイ」ではない
然るに、
(12)
三上章は、おそらく、
① 鼻は象長い。
② 鼻に関しては、象の鼻は長く、象以外の鼻は長くはない
③ ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x}。
④ すべてのxとあるyについて{(xがyの鼻であって、yが象である)ならば、xは長く、(yが象でなくて、xがyの鼻である)ならば、xは長くない}。
に於いて、
①=②=③=④ である。
といふことに、「気付いてゐない」し、「主語であること」と、「主題であることは」は、「必ずしも、矛盾しない
(13)
「象であること」と「動物であること」は、もちろん、「矛盾しないものの、私には、「三上章の説明」は、
「象ではなくて、動物である(動物であるから、象ではない)」。
といふ「論法」と「ほとんど同じ」であるように、思へて、ならない。
令和6年1月13日、毛利太。

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