(01)
(Ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(Ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・ ・ ・ ・ ・
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ)甲 乙 丙 丁 戊 己 辛 庚 壬 癸
(Ⅴ)天 地 人
に於いて、
(Ⅲ)上 中 下
が「不足」する場合は、
(Ⅲ)上 中 下
(Ⅳ)甲 乙 丙 丁 戊 己 辛 庚 壬 癸
といふ「順番」を、
(Ⅲ)甲 乙 丙 丁 戊 己 辛 庚 壬 癸
(Ⅳ)上 中 下
といふ「順番」に、変へることになる。
すなはち、
(02)
① 不[欲〔読(マンガ)学(日本語)〕]⇒
① [〔(マンガ)読(日本語)学〕欲]不=
① [〔(マンガを)読み(日本語を)学ばんと〕欲せ]ず=
① マンガを読んで、日本語を学ぼうとは思はない。
であれば、
①
不レ
欲下
読二
マンガ一
学中
日本語上。
であるが、
② 不[必欲〔読(マンガ)学(日本語)〕]⇒
② [必〔(マンガ)読(日本語)学〕欲]不=
② [必ずしも〔(マンガを)読み(日本語を)学ばんと〕欲せ]ず=
② 必ずしも、マンガを読んで、日本語を学ぼうとは思はない。
であれば、
②
不丁
必
欲丙
読二
マンガ一
学乙
日本語甲。
である。
然るに、
(03)
「新潮社版、南総里見八犬伝 一、平成15年、八犬士伝序」の場合は、
雖乙
其賢
不甲レ
如二
虞舜八元一、
忠魂義胆、
宜乙
与二
楠家八臣一
同レ
年談甲也。
であるため、「学校で習ふ、返り点」の「ルール」からは、ハズレテゐる。
すなはち、
(04)
「学校で習ふ、返り点」の「ルール」からすれば、
雖乙
其賢
不甲レ
如二
虞舜八元一、
忠魂義胆、
宜乙
与二
楠家八臣一
同レ
年談甲也。
ではなく、
雖二
其賢
不一レ
如二
虞舜八元一、
忠魂義胆、
宜下
与二
楠家八臣一
同レ
年談上也。
でなければ、ならない。
(05)
漢文の返り点は大体の標準があったが、細かいところには違いがあった。
例えば、
(A) 欲三 取二捨 之一。
(B) 欲レ 取二捨 之一。
(C) 我将二 任レ 彼 而不一レ 用二 吾力一 焉。
(D) 我将下 任レ 彼 而不上レ 用二 吾力一 焉。
これをどちらにするか協議したが、私が明治四十五年三月二十九日の官報に掲載された「漢文の句読・返点・添仮名・読方法」に従って、(A)に従うのがよいとし、(C)(D)はそれに記載がないが、「上・下」「上・中・下」は「一・二・三」などをまたいで読むときに用いるものであるから(C)を用いるのがよいと決めた。
(原田種成、漢文のすすめ、1992年、一一二頁)
(06)
取二捨
は、「読みにくい」ものの、
取‐捨 の、
取‐捨 の下に、
取二捨Aiが付いてゐる。
従って、
(05)(06)により、
(07)
(A) 欲三 取二捨 之一。
(B) 欲レ 取二捨 之一。
であれば、
(A) 取‐捨
(B) 取‐捨
であるが、
(A) 欲三 取二捨 之一。
(B) 欲レ 取二捨 之一。
であれば、
(A) 取‐捨
(B) 取‐捨
であるものの、「学校で習ふ、返り点」としては、
(A) 取‐捨
(B) 取‐捨
である(ことが多い)。
(08)
(C) 我将二 任レ 彼 而不一レ 用二 吾力一 焉。
(D) 我将下 任レ 彼 而不上レ 用二 吾力一 焉。
ではなく、
(C) 我将四 任レ 彼 而不三 用二 吾力一 焉。
(D) 我将丁 任レ 彼 而不丙 用乙 吾力甲 焉。
である方が、「分りやすい」。
(09)
(C) 我将四 任レ 彼 而不三 用二 吾力一 焉。
の方が、
(D) 我将丁 任二 彼一 而不丙 用乙 吾力甲 焉。
よりも、「分りやすい」といふことは、無い。
(10)
(A) 欲三 取二捨 之一。
よりも、
(B) 欲レ 取二捨 之一。
の方が、「分りやすい」といふことは無い。
然るに、
(11)
(Ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
が無ければ、固より、
(A) 欲三 取二捨 之一。
(B) 欲レ 取二捨 之一。
(C) 我将二 任レ 彼 而不一レ 用二 吾力一 焉。
(D) 我将下 任レ 彼 而不上レ 用二 吾力一 焉。
これをどちらにするか。といふ「協議」自体が、有り得ない。
すなはち、
(12)
(Ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
が無ければ、
(A) 欲三 取二捨 之一。
(D) 我将丁 任二 彼一 而不丙 用乙 吾力甲 焉。
とする以外に、「書きやう」が無い。
(13)
「括弧」であっても、
(A) 欲〔 取‐捨(之)〕。
(C) 我将[任(彼)而不〔用(吾力)〕]焉。
とする以外に、「書きやう」が無い。
然るに、
(14)
大学生に返り点を打たせると、レ点の原則違反から生じる誤りが大半をしめます。
(古田島洋介、これならわかる返り点、2009年、60頁)
然るに、
(15)
大学生に返り点を打たせると、レ点の原則違反から生じる誤りが大半をしめる。
といふことは、「レ点の原則」なるものが、「非合理的」であるからに、違ひない。
平成29年03月15日、毛利太。
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