2017年6月7日水曜日

「先生は私が知ってゐる唯一の日本人である」の「が」について。

(01)
① 我(I)
② 私(I)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(02)
① 我が国(My country)。
② 私の国(My country)。
に於いて、
①=② である。
従って、
(01)(02)により、
(03)
① が(格助詞)
② の(格助詞)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(04)
[2]格助詞
【1】[が][の]
(a)主語を示す。    日の暮るるとき。 汝が去りし日。
(b)連体修飾語を作る。 夏草や兵どもが夢のあと。
(c)体言の代用をする。 薬は、唐のはめでたし。
(d)同格を示す。    白き鳥の、嘴と足と赤き、水の上に遊びつつ魚を食ふ。
(中村菊一、重点整理 基礎からわかる古典文法、1978年、154頁改)
従って、
(03)(04)により、
(05)
「が」と「の」は、固より、「(基本的に)等しい」ものの、
(d)同格を示す。
といふ「機能」は、「の」だけにあって、「が」にはない。
然るに、
(06)
の 私が話したのは誤です(橋本博士はこれを準體助詞として助詞の中に入れられたが、形式名詞と考へるのが適當であらう。佐久間博士は代名助詞とされる。)(時枝誠記、日本文法 口語編、1978年、78頁)
従って、
(06)により、
(07)
③ 私が話したのは誤りです。
に於いて、
③「の」は「(形式)名詞」である。
然るに、
(08)
「名詞」とは、すなはち、「体言」である。
従って、
(09)
③ 私が話したの。
といふ「口語」は、
③ 私(体言)が(格助詞)話し(連用形)た(連体形)の(体言)。
といふ風に、「品詞分解」される。
然るに、
(10)
④ 汝が去りし日。
といふ「文語」は、
④ 汝(体言)が(格助詞)去り(連用形)し(連体形)日(体言)。
といふ風に、「品詞分解」される。
従って、
(11)
③ 私が話したの。
④ 汝が去りし日。
といふ「日本語」は、両方とも、
③ 囗(体言)が(格助詞)囗囗(連用形)囗(連体形)囗(体言)。
④ 囗(体言)が(格助詞)囗囗(連用形)囗(連体形)囗(体言)。
といふ「文型」をしてゐる。
然るに、
(12)
[5]係助詞
【26】[は]
他と区別して述べる意を表す。花はなでしこ。
(中村菊一、重点整理 基礎からわかる古典文法、1978年、191頁改)
従って、
(04)(12)により、
(13)
③ 体言+が(格助詞)+連用形+連体形+体言。
⑤ 体言+は(係助詞)+連用形+連体形+体言。
に於いて、
③=⑤ ではない。
従って、
(09)(19)により、
(14)
③ 私が(格助詞)+話した(連体形)+の(体言)。
に対して、
⑤ 私は(係助詞)+話した(連体形)+の(体言)。
といふ「日本語」は、存在しない。
従って、
(14)により、
(15)
③ 私が(格助詞)話したのは誤りです。
に対して、
⑤ 私は(係助詞)話したのは誤りです。
といふ「日本語」も、存在しない。
従って、
(15)により、
(16)
⑥ 私が(格助詞)知ってゐる唯一の日本人。
⑦ 私は(係助詞)知ってゐる唯一の日本人。
に於いて、
⑥=⑦ ではない。
従って、
(16)により、
(17)
⑥ 先生は私が知ってゐる唯一の日本人である。
に対して、
⑦ 先生は私は知ってゐる唯一の日本人である。
といふ「日本語」は、存在しない。
cf.
⑥ The teacher is the only Japanese whom I know.
然るに、
(18)
⑥ 先生は私が知ってゐる唯一の日本人である。
⑧ 先生は私の知ってゐる唯一の日本人である。
といふ「日本語」は、「両方とも、正しい」。
然るに、
(19)
[2]格助詞
【1】[が][の]
(a)主語を示す。 日の暮るるとき。 汝が去りし日。
[5]係助詞
【26】[は]
他と区別して述べる意を表す。花はなでしこ。
(中村菊一、重点整理 基礎からわかる古典文法、1978年、154・191頁改)
従って、
(17)(18)(19)により、
(20)
⑥ 先生は私知ってゐる唯一の日本人である。
⑦ 先生は私知ってゐる唯一の日本人である。
⑧ 先生は私知ってゐる唯一の日本人である。
といふ「日本語」に於いて、
⑦ 先生は私は知ってゐる唯一の日本人である。
といふ「それ」だけが、「日本語」ではない「理由」は、
【1】[]が、「格助詞」であるの対して、
【26】[]は、  「係助詞」であるからである。
従って、
(21)
仮に、日本語を学習してゐる外国人が、
⑦ 先生知ってゐる唯一の日本人である。
といふ「言ひ方」が「不可」である「理由」を、
私に対して、質問するのであれば、「助詞と助詞は同じではない」からである。
といふ風に、答へることになる。
(22)
「格助詞と係助詞」とは何か?
と質問されるとしたら、精しくは、「大学受験用の、古文の参考書」を読んで下さい。
といふ風に、答へることになる。
然るに、
(23)
外国人教育など、日本語を母語としない人に対する(国語教育ではなく)「日本語教育」においては、学校文法をベースとした教育は行われておらず、学校文法ないし、現在の国語教育の学校文法をベースとした教育法の限界を示すものとみなされている[誰?]。(ウィキペディア)
との、ことである。
平成29年06月07日、毛利太。

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