(01)― 結論。―
(Ⅰ)「~は」には、「二通り」のそれが有る。
(Ⅱ)「~が」 は、「強調形」である。
(Ⅲ)「強調形」は、「排他的命題」を主張する。
(Ⅳ)「疑問詞」は、「疑問詞が」であって、「疑問詞は」ではない。
(Ⅴ)「漢文」では、「目的語」の「倒置」は、「強調形」である。
(Ⅵ)「英語」も亦、「目的語」の「倒置」は、「強調形」である。
(02)
① Tokyo is a city of Japan =
① Tokyo is[a‐city〔of(Japan)〕]⇒
① Tokyo [〔(Japan)of〕a‐cityl]is=
① 東京は[〔(日本)の〕都市]である。
(03)
② Tokyo is the capital of Japan =
② Tokyo is[the‐capital〔of(Japan)〕]⇒
② Tokyo [〔(Japan)of〕the‐capital]is=
② 東京は[〔(日本)の〕首都]である。
(04)
③ No other city but Tokyo is the capital of Japan =
③ No{other‐city〔but(Tokyo)〕is[the‐capital〔of(Japan)〕]}⇒
③ {〔(Tokyo)but〕other‐city[〔(Japan)of〕the‐capital]is}No=
③ {〔(東京)以外の〕他の都市は[〔(日本)の〕首都]では}ない。
従って、
(02)(03)(04)により、
(05)
① 東京は日本の都市である(Tokyo is a city of Japan)。
② 東京は日本の首都である(Tokyo is the capital of Japan)。
③ 東京以外の他の都市は日本の首都ではない(No other city but Tokyo is the capital of Japan)。
に於いて、
① といふ「命題」は、「正しく」、
② といふ「命題」は、「正しく」、
③ といふ「命題」も、「正しい」。
然るに、
(06)
④ 東京以外の都市も、日本に在る限りは、日本の都市である。
従って、
(05)(06)により、
(07)
① 東京は日本の都市である。
② 東京は日本の首都である。
といふ「日本語」は、
① 東京は(いくつか有る、日本の都市の)一つである。
② 東京は(一つだけ有る、日本の首都の)一つである。
といふ、「意味」になる。
従って、
(07)により、
(08)
① 東京≠日本の都市
② 東京=日本の首都
である。
従って、
(07)(08)により、
(09)
① 東京は日本の都市である(東京≠日本の都市)。
② 東京は日本の首都である(東京=日本の都市)。
である。
従って、
(09)により、
(10)
一般に、
① PはQである(P≠Q)。
② PはQである(P=Q)。
といふ、「二通り」がある。
然るに、
(11)
② P=Q ならば、その時に限って、
② P以外はQでない(PでないならばQでない)。
従って、
(10)(11)により、
(12)
① PはQである(P以外もQである)。
② PはQである(P以外はQでない)。
といふ、「二通り」がある。
然るに、
(13)
② P以外はQでない(PでないならばQでない)。
は、その「対偶(Contraposition)」である、
③ QならばPである(QはPである)。
に、「等しい」。
cf.
1 (1)~P→~Q A
2 (2)~P A
3(3) Q A
12 (4)~Q 12MPP
123(5)Q&~Q 34&I
1 3(6)~~P 25RAA
1 3(7) P 6DN
1 (8)Q→P 38CP
(9)(~P→~Q)→(Q→P)18CP
ア (ア)Q→P A
イ (イ)Q A
ウ(ウ)~P A
アイ (エ)P アイMPP
アイウ(オ)~P&P ウエ&I
ア ウ(カ)~Q イオRAA
ア (キ)~P→~Q ウカCP
(ク)(Q→P)→(~P→~Q)アキCP
従って、
(12)(13)により、
(14)
① PはQである(P以外もQである)。
② PはQである(P以外はQでない)。
③ PはQである(QはPである)。
に於いて、
①≠② であって、
②=③ である。
然るに。
(15)
① PはQである。
② PはQである。
③ PはQである。
に対して、
① P is Q.
② P is Q.
③ P is Q.
である。
従って、
(05)(14)(15)により、
(16)
① Tokyo is a city of Japan.
② Tokyo is the capital of Japan.
③ No other city but Tokyo is the capital of Japan.
がさうであるやうに、
① P is Q(P以外もQである).
② P is Q(P以外はQでない).
③ P is Q(QはPである).
でなければ、ならない。
然るに、
(17)
② P以外はQでない.
③ QはPである.
といふことを、「主張」する場合は、
② P is Q.
③ P is Q.
といふ「英語」に於いて、
② P は、「強く発音」される。はずである。
③ P は、「強く発音」される。はずである。
然るに、
(18)
② P以外はQでない.
③ QはPである.
といふことを、「主張」する場合、「日本語」では、
② PがQである。
③ PがQである。
といふ風に、言ふのであって、
② PはQである。
③ PはQである。
とは、言はない。
然るに、
(19)
① Pは
② Pが
に於いて、
①「は」は「清音」であって、
②「が」は「濁音」である。
然るに、
(20)
もし濁音を発音するときの物理的・身体的な口腔の膨張によって「濁音=大きい」とイメージがつくられているのだとしたら、面白いですね。この仮説が正しいとすると、なぜ英語話者や中国語話者も濁音に対して「大きい」というイメージを持っているか説明がつきます(川原繁人、音とことばの不思議な世界、2015年、13頁)。
従って、
(19)(20)により、
(21)
① Pは
② Pが
に於いて、
① の「心理的な音量」は、
② の「心理的な音量」よりも、「大きい」。
従って、
(21)により、
(22)
① Pは
に対する、
② Pが
③ Pが
といふ「日本語」は、「(濁音による)強調形」である。
然るに、
(23)
Definition of exclusive proposition
:a proposition in logic whose predicate is asserted to apply to its subject and no other “none but the brave deserves the fair” is a simple exclusive proposition
(Merriam-Webster since 1828)
従って、
(18)(23)により、
(24)
② PがQである(P以外はQでない)。
③ PがQである(QはPである)。
といふ「日本語」は、
②「排他的命題(exclusive proposition)」である。
③「排他的命題(exclusive proposition)」である。
従って、
(22)(24)により、
(25)
① Pは
に対する、
② Pが
③ Pが
といふ「日本語」は、「(濁音による)強調形」であって、尚且つ、
② PがQである(P以外はQでない)。
③ PがQである(QはPである)。
といふ「日本語」は、「排他的命題」である。
従って、
(17)(25)により、
(26)
「英語」に於いても、「日本語」に於いても、「強調形」は、「排他的命題」を「主張」する。
然るに、
(27)
GA WITH QUESTION WORDS
When a question word such as "who" and "what" is the subject of a sentence, it is always followed by "ga," never by "wa." To answer the question, it also has to be followed by "ga."
Dare ga kimasu ka.
誰が来ますか。 Who is coming?
Yoko ga kimasu.
陽子が来ます。 Yoko is coming?
(by Namiko Abe.Updated August 23, 2017)
従って、
(27)により、
(28)
④ 誰は来ますか。
ではなく、
⑤ 誰が来ますか。
である。
然るに、
(29)
④ 少なくとも、陽子は来る。
といふ、のであれば、
④ 陽子は来ます。
であって、
⑤ 陽子以外は来ない。
といふ、のであれば、
⑤ 陽子が来ます。
である。
従って、
(25)(28)(29)により、
(30)
⑤ 誰が来ますか。
⑤ 陽子が来ます。
に於いて、
⑤ 誰が
⑤ 陽子が
といふ「日本語」は、「(濁音による)強調形」であって、尚且つ、
⑤ 誰が来ますか。
⑤ 陽子が来ます。
といふ「日本語」は、「排他的命題」である。
従って、
(30)により、
(31)
⑤(教科の中では)何が好きですか。
⑤(教科の中では)化学が好きです。
に於いて、
⑤ 何が
⑤ 化学が
といふ「日本語」は、「(濁音による)強調形」であって、尚且つ、
⑤ 何が好きですか。
⑤ 化学が好きです。
といふ「日本語」は、「排他的命題」である。
従って、
(31)により、
(32)
⑥ What subject do you like?
⑥ I like chemistry best.
といふ「英語」も、「排他的命題」であると、すべきである。
然るに、
(33)
[1]wh移動
意味を導くための深層構造が必要だという説明の時に、一番最初に取り上げられたのは疑問詞が文頭にある疑問文でした。主語はともかく、目的語が動詞の直後ではなく、動詞の前しかも文の先頭にあるという事実を説明するためには、目的語である疑問詞がちゃんと動詞の直後にある深層構造を設定すればよいわけです(町田健、チョムスキー入門、2006年、117頁)。
従って、
(32)(33)により、
(34)
⑥ I like chemistry.
といふ「語順」からすれば、
⑥ What do you like?
といふ「語順」は、
⑥ Do you like what?
でなければ、ならない。
然るに、
(35)
普通「aをbする」というときは「ba」の語順になる。從って「aを事とす」は「事a」となるべきだが、「a」にあたる語が「何」「誰」などの「疑問代名詞」であるときは、例外もあるけれども、一般的にいって、その語順が轉倒し「何事」となる(岩波全書、漢文入門、1957年、23頁)。
従って、
(34)(35)により、
(36)
⑥ I like chemistry.
⑦ 我誉彼(我、彼を誉めん)。
といふ「語順」からすれば、
⑥ What do you like?
⑦ 我誰誉(我、誰をか誉めん)。
といふ「語順」は、
⑥ Do you like what?
⑦ 我誉誰(我、誰をか誉めん)。
でなければ、ならない。
然るに、
(37)
前置による強調
動詞についての目的語は、その動詞の後に置かれるのが、漢語における基本構造としての単語の配列のしかたである。また、漢語における介詞は、ほとんど、動詞から発達したものであって、その目的語も、その介詞の後に置かれるのが、通則であるということができる。しかし、古代
漢語においては、それらの目的語が疑問詞である場合には、いずれも、その動詞・介詞の前におかれている。このように、漢語としての通常の
語順を変えて、目的語の疑問詞を前置することは、疑問文において、その疑問の中心になっている疑問詞を、特に強調したものにちがいない。
(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、334・5頁)
従って、
(36)(37)により、
(38)
「漢文」の場合、
⑦ 誉彼(彼を誉めん)。
に対する、
⑦ 誰誉(誰をか誉めん)。
といふ、
⑦「目的語」の「前置(倒置)形」は、「目的語」を、「強調」する。
然るに、
(39)
⑦ 誰かを誉める。
といふことは、
⑦ 誰かが誉められ、その誰か以外は、誉められない。
といふ、ことである。
従って、
(38)(39)により、
(40)
⑦ 誰誉(誰をか誉めん)。
といふ、
⑦「目的語」の「倒置(前置)形」は、「目的語」を、「強調」し、尚且つ、
⑦ 誰誉(論語、衛霊公)。
といふ「漢文」は、「排他的命題」である。
然るに、
(41)
まずは、「目的語」を強調したいときの例を見ていきましょう。
以下は、通常の文の形です。
I like chemistry, but I don’t like biology.
「化学は好きだけど、生物は好きじゃない。」という内容の文。
では、この文の「目的語」を強調してみます。
Chemistry I like, but biology I don’t like.
(化学は好きだけど、生物は好きじゃない。)
(Webサイト:英語の倒置法の使い方!強調・否定・仮定を例文付きでズバッと解説!)
cf.
生物=化学以外。
従って、
(24)(41)により、
(42)
⑥ I like chemistry.
に対する、
⑦ Chemistry I like.
といふ、
⑦「目的語」の「倒置形」は、「目的語」を、「強調」し、尚且つ、
⑦ Chemistry I like.
といふ「英文」は、「排他的命題」である。
従って、
(31)(40)(42)により、
(43)
⑦ Whom do I praise(誰をか誉めん)?
⑦ Who is to be praised(誰が誉められのですか)?
といふ「英文」であっても、
⑦ 誰誉(誰をか誉めん)。
といふ「漢文」がさうであるやうに、
⑦「目的語」の「倒置形」は、「目的語」を、「強調」し、尚且つ、
⑦「強調形」は「排他的命題」を「主張」する。といふ風に、「理解」するべきである。
従って、
(33)(43)により、
(44)
⑦ 誰誉。
⑦ Whom do I praise?
といふ「語順(Wh移動)」を、考へる上で、チョムスキーが言ふ所の、「深層構造(Deep structure)」は、「不要」である。
平成29年10月23日、毛利太。
―「関連記事」―
AはBである=AならばBである(https://kannbunn.blogspot.com/2017/10/blog-post_25.html)。
0 件のコメント:
コメントを投稿