―「この記事」は、書き直します。―
(01)
① 自古帝王莫不得之於艱難失之於安逸。
は、有名な「十八史略、創業守成」である。
従って、
(01)により、
(02)
① とは、「不」の「位置」が「異なる」ため、
② 自古帝王莫得之於艱難不失之於安逸。
は、有名な「十八史略、創業守成」ではない。
然るに、
(03)
① 自古帝王莫不得之於艱難失之於安逸=
① 自(古)帝王莫[不〔得(之於艱難)失(之於安逸)〕]⇒
① (古)自帝王[〔(之於艱難)得(之於安逸)失〕不]莫=
① (古)自り帝王[〔(之を艱難に)得て(之を安逸に)失は〕不るは]莫し。
然るに、
(04)
② 自古帝王莫得之於艱難不失之於安逸=
② 自(古)帝王莫[得(之於艱難)不〔失(之於安逸)〕]⇒
② (古)自帝王[(之於艱難)得〔(之於安逸)失〕不]莫=
② (古)自り帝王[(之を艱難に)得て〔(之を安逸に)失は〕不るは]莫し。
従って、
(01)~(04)により、
(05)
① 自古帝王莫不得之於艱難失之於安逸。
② 自古帝王莫得之於艱難不失之於安逸。
に対して、両方とも、
① (古)自り帝王[〔(之を艱難に)得て(之を安逸に)失は〕不るは]莫し。
② (古)自り帝王[(之を艱難に)得て〔(之を安逸に)失は〕不るは]莫し。
である。
従って、
(05)により、
(06)
① 古より、帝王、これを艱難に得て、これを安逸に失はざるは莫し。
② 古より、帝王、これを艱難に得て、これを安逸に失はざるは莫し。
といふ「書き下し文」からは、その「原文」が、
① 自古帝王莫不得之於艱難失之於安逸。
であるのか、
② 自古帝王莫得之於艱難不失之於安逸。
であるのかが、「分からない」。
然るに、
(07)
その一方で、
① 自(古)帝王莫[不〔得(之於艱難)失(之於安逸)〕]。
② 自(古)帝王莫[不〔得(之於艱難)〕失(之於安逸)]。
③ 自(古)帝王莫[不〔得(之於艱難)〕]失(之於安逸)。
といふ「漢文」は、三つとも、
① Zìgǔ dìwáng mò dé zhī yú jiān nàn bù shī zhī yú ānyì.
② Zìgǔ dìwáng mò dé zhī yú jiān nàn bù shī zhī yú ānyì.
③ Zìgǔ dìwáng mò dé zhī yú jiān nàn bù shī zhī yú ānyì.
であるため、「区別」が、「付かない」。
然るに、
(08)
莫 は、「否定」であって、
不 は、「否定」であって、
~ は、「否定」である。
然るに、
(09)
P = 得(之於艱難)= これを艱難に得る。
Q = 失(之於安逸)= これを安逸に失ふ。
→ = ならば、
& = であって、
であるとする。
従って、
(07)(08)(09)により、
(10)
① 自(古)帝王 ~[~〔P&Q〕]。
② 自(古)帝王 ~[~〔P〕&Q]。
③ 自(古)帝王 ~[~〔P〕]&Q。
然るに、
(11)
かんなん【艱難】つらいこと。難儀。hardships; difficulties.
あんいつ【安逸】① 気楽にたのしむ。ease ② ぶらぶら遊んでいること。indolence.
(旺文社、英訳つき 国語総合辞典、1990年、45・277頁)
従って、
(09)(11)により、
(12)
~〔P〕=〔これを艱難に得〕ない=〔これを安逸に得る〕。
である。
然るに、
(13)
① ~〔P&Q〕=〔Pであって、Qである。〕といふことはない。
といふことは、要するに、
① P→~Q = Pならば、Qでない。
といふことに、他ならない。
従って、
(14)
1 (01)~〔P&Q〕 A
2 (02) P A
3 (03) Q A
23 (04) P&Q (02)(03)&I
123(05)~〔P&Q〕&〔P&Q〕 (01)(04)&I
12 (06) ~Q (03)(05)RAA
1 (07) P→~Q (02)(06)CP
∴ (08)~〔P&Q〕├ P→~Q
1 (01) P→~Q A
2 (02) P&Q A
2 (03) P (02)&E
2 (04) Q (02)&E
12 (05) ~Q (01)(03)MPP
12 (06) ~Q&Q (04)(05)&I
1 (07)~〔P&Q〕 (02)(06)RAA
∴ (08)P→~Q ├ ~〔P&Q〕
∴ (09)~〔P&Q〕⇔ P→~Q
といふ「といふ「命題計算(Propositional calculation)」は、「正しい」。
従って、
(10)(13)(14)により、
(15)
① 自(古)帝王 ~〔PならばQでない〕。
② 自(古)帝王 ~[~〔P〕&Q]。
③ 自(古)帝王 ~[~〔P〕]&Q。
である。
然るに、
(16)
~[P&Q]⇔ P→~Q
に於いて、
P=~〔P〕
といふ「代入(Replacement)」を行ふと、
~[~〔P〕&Q]⇔ ~〔P〕→~Q
従って、
(15)(16)により、
(17)
① 自(古)帝王 ~〔PならばQでない〕。
② 自(古)帝王 ~〔P〕ならばQでない。
③ 自(古)帝王 ~[~〔P〕]&Q。
然るに、
(18)
「二重否定律」により、
~[~〔P〕]=P
である。
従って、
(17)(18)により、
(19)
① 自(古)帝王 ~〔PならばQでない〕。
② 自(古)帝王 ~〔P〕ならばQでない。
③ 自(古)帝王 PであってQである。
従って、
(09)(12)(19)により、
(20)
① 自(古)帝王莫[不〔得(之於艱難)失(之於安逸)〕]。
② 自(古)帝王莫[不〔得(之於艱難)〕失(之於安逸)]。
③ 自(古)帝王莫[不〔得(之於艱難)〕]失(之於安逸)。
に於いて。それぞれ、
① 古より、帝王、これを艱難に得るならば、これを安逸に失はない。といふことはない。
② 古より、帝王、これを安逸に得るならば、これを安逸に失はない。
③ 古より、帝王、これを艱難に得て、 これを安逸に失ふ。
といふ、ことになる。
然るに、
(21)
① 古より、帝王、これを艱難に得るならば、これを安逸に失はない。といふことはない。
③ 古より、帝王、これを艱難に得て、 これを安逸に失ふ。
に於いて、
①=③ である。
然るに、
(22)
③ 自古帝王莫不得之於艱難失之於安逸=
③ 自(古)帝王莫[不〔得(之於艱難)〕]失(之於安逸)⇒
③ (古)自帝王[〔(之於艱難)得〕不]莫(之於安逸)失=
③ (古)より自帝王[〔(之を艱難を)得〕不ること]莫くして(之を安逸に)失ふ。
といふ「漢文」は、恐らくは、無い。
cf.
③ 自レ帝王莫レ 不下得二之於艱難一失二之於安逸失一。
然るに、
(23)
(ベルンハルド・カールグレンは、)「漢語においては、文法的な分析は、あまり役に立たず、実際に役立つのは、広い読書を通じて習得した経験、つまり、中国人がどのようにして文をつくりあげているかということに対する感覚が、唯一のものである」と説き、更に、漢語の文の意味を理解するためには、「豊富な直観が、必要である」とも述べている。
(鈴木直治著、中国語と漢文、1975年、293頁)
従って、
(22)(23)により、
(24)
③ 自(古)帝王莫[不〔得(之於艱難)〕]失(之於安逸)。
といふ「括弧(補足構造)」は、有っても、構はないものの、一応、「無いもの」とする。
然るに、
(25)
嘗て侍臣に問ふ、
「創業と守成と孰れか難き。」と。
玄齢曰はく、
「草昧の初め、群雄並び起こり、力を角して而る後に之を臣とす。創業難し。」と。
魏徴曰はく、
「古より、帝王、之を艱難に得て之を安逸に失はざるは莫し。守成難し。」と。
上曰はく、
「玄齢は吾と共に天下を取り、百死をを出でて一生を得たり。故に創業の難きを知る。
徴は吾と共に天下を安んじ、常に驕奢の富貴より生じ、禍乱は忽せにする所より生ずるを恐る。
故に守成の難きを知る。然れども創業の難きは往けり。守成の難きは、方に諸公と之を慎まん。」と。
(三省堂、明解古典学習シリーズ18 史記 十八史略、1973年、133頁)
然るに、
(25)により、
(26)
① 太宗は、天下を、艱難に得たものの、
① 昔から、帝王は、天下を艱難に得たならば、天下を安逸に失はない者はゐない。
従って、「これ迄の、前例」からすれば、
① 太宗もまた、安逸の内に、天下を失ふことになる。
従って、さうである以上、
① 太宗は、そのやうなことが、無いやうに、安逸を戒め、慎重に、国家を、運営すべきである。
といふ、ことになる。
然るに、
(03)(13)(20)により、
(27)
① 自古帝王莫不得之於艱難失之於安逸=
① 自(古)帝王莫[不〔得(之於艱難)失(之於安逸)〕]⇒
① (古)自帝王[〔(之於艱難)得(之於安逸)失〕不]莫=
① (古)より帝王[〔(之を艱難に)得て(之を安逸に)失は〕不るは]莫し=
① (古)より帝王〔(之を艱難に)得たならば(之を安逸に)失はない者は〕ゐない。
であるものの、この場合の「返り点」は、
① 自レ帝王莫レ 不下得二之於艱難一失中之於安逸失上。
であって、尚且つ、「三省堂、明解古典学習シリーズ18 史記 十八史略、1973年、133頁」の、「返り点」も、「これ」である。
従って、
(26)(27)により、
(28)
① 自古帝王莫不得之於艱難失之於安逸=
① 自(古)帝王莫[不〔得(之於艱難)失(之於安逸)〕]⇒
① (古)自帝王[〔(之於艱難)得(之於安逸)失〕不]莫=
① (古)より帝王[〔(之を艱難に)得て(之を安逸に)失は〕不るは]莫し=
① (古)より帝王〔(之を艱難に)得たならば(之を安逸に)失はない者は〕ゐない。
といふ「漢文訓読」は、明らかに、
玄齢曰はく、「草昧の初め、群雄並び起こり、力を角して而る後に之を臣とす。創業難し。」と。
魏徴曰はく、「古より、帝王、之を艱難に得て之を安逸に失はざるは莫し。守成難し。」と。
上曰はく、「玄齢は吾と共に天下を取り、百死を出でて一生を得たり。故に創業の難きを知る。徴は吾と共に天下を安んじ、常に驕奢の富貴より生じ、禍乱は忽せにする所より生ずるを恐る。故に守成の難きを知る。然れども創業の難きは往けり。守成の難きは、方に諸公と之を慎まん。」と。
といふ「文脈」に、適ってゐる。
然るに、
(20)により、
(29)
① 自(古)帝王莫[不〔得(之於艱難)失(之於安逸)〕]。
③ 自(古)帝王莫[不〔得(之於艱難)〕]失(之於安逸)。
に対して、
② 自(古)帝王莫[不〔得(之於艱難)〕失(之於安逸)]。
の場合は、すなはち、
① 古より、帝王、これを艱難に得るならば、これを安逸に失はない。といふことはない。
③ 古より、帝王、これを艱難に得て、 これを安逸に失ふ。
に対して、
② 古より、帝王、これを安逸に得るならば、これを安逸に失はない。
の場合は、明らかに、
玄齢曰はく、「草昧の初め、群雄並び起こり、力を角して而る後に之を臣とす。創業難し。」と。
魏徴曰はく、「古より、帝王、之を艱難に得て之を安逸に失はざるは莫し。守成難し。」と。
上曰はく、「玄齢は吾と共に天下を取り、百死を出でて一生を得たり。故に創業の難きを知る。徴は吾と共に天下を安んじ、常に驕奢の富貴より生じ、禍乱は忽せにする所より生ずるを恐る。故に守成の難きを知る。然れども創業の難きは往けり。守成の難きは、方に諸公と之を慎まん。」と。
といふ「文脈」に、適ってはゐない。
従って、
(20)(29)により、
(30)
① 自(古)帝王莫[不〔得(之於艱難)失(之於安逸)〕]。
② 自(古)帝王莫[不〔得(之於艱難)〕失(之於安逸)]。
③ 自(古)帝王莫[不〔得(之於艱難)〕]失(之於安逸)。
に於いて。それぞれ、
① 古より、帝王、これを艱難に得るならば、これを安逸に失はない。といふことはない。
② 古より、帝王、これを安逸に得るならば、これを安逸に失はない。
③ 古より、帝王、これを艱難に得て、 これを安逸に失ふ。
であるが故に、
② 自(古)帝王莫[不〔得(之於艱難)〕失(之於安逸)]。
② 古より、帝王、これを安逸に得るならば、これを安逸に失はない。
といふ「それ」だけは、「有り得ない」。
然るに、
(31)
1 (01)~〔安&艱〕 A
2 (02) 安 A
3 (03) 艱 A
23 (04) 安&艱 (02)(03)&I
123(05)~〔安&艱〕&〔安&艱〕 (01)(04)&I
12 (06) ~艱 (03)(05)RAA
1 (07) 安→~艱 (02)(06)CP
∴ (08)~〔安&艱〕├ 安→~艱
1 (01) 安→~艱 A
2 (02) 安&艱 A
2 (03) 安 (02)&E
2 (04) 艱 (02)&E
12 (05) ~艱 (01)(03)MPP
12 (06) ~艱&艱 (04)(05)&I
1 (07)~〔安&艱〕 (02)(06)RAA
∴ (08)安→~艱 ├ ~〔安&艱〕
∴ (09) ~〔安&艱〕 ⇔ 安→~艱
∴ (10)~[~〔安&艱〕]⇔ ~〔安→~艱〕
といふ「命題計算(Propositional calculation)」は、「論理学の定理」であるため、
① 自古帝王莫不得之於艱難失之於安逸=
① 自(古)帝王莫[不〔得(之於艱難)失(之於安逸)〕]⇒
① (古)自帝王[〔(之於艱難)得(之於安逸)失〕不]莫=
① (古)より帝王[〔(之を艱難に)得て(之を安逸に)失は〕不るは]莫し=
① (古)より帝王〔(之を艱難に)得たならば(之を安逸に)失はない者は〕ゐない。
に於ける、
① (古)より帝王[〔(之を艱難に)得て(之を安逸に)失は〕不るは]莫し=
① (古)より帝王〔(之を艱難に)得たならば(之を安逸に)失はない者は〕ゐない。
といふ「等式」は、「英語」で考へても、「日本語」で考へても、「古代漢語」で考へても、「正しい」。
然るに、
(32)
任意の表述の否定は、その表述を’~( )’という空所にいれて書くことにしよう。しかし、丸括弧はその内部の表述が連言でないかぎり削除しよう(W.O.クワイン著、杖下隆英訳、現代論理学入門、1972年、15頁)。
従って、
(32)により、
(33)
① ~(安&艱)= 安→~艱
といふ「等式」は、「正しい」ものの、
① ( )
といふ「括弧」を「削除」した、
① ~安&艱 = 安→~艱
といふ「等式」は、「間違ひ」である。
といふ風に、W.O.クワインが、言ってゐる。
cf.
~安&艱 は、0&1 の時だけ、1 であるが、
安→~艱 は、1&1 の時だけ、0 であるため、「等式」は、成り立たない。
従って、
(31)(33)により、
(34)
1 (01)~(安&艱) A
2 (02) 安 A
3 (03) 艱 A
23 (04) 安&艱 (02)(03)&I
123(05)~(安&艱)&(安&艱) (01)(04)&I
12 (06) ~艱 (03)(05)RAA
1 (07) 安→~艱 (02)(06)CP
∴ (08)~(安&艱)├ 安→~艱
1 (01) 安→~艱 A
2 (02) 安&艱 A
2 (03) 安 (02)&E
2 (04) 艱 (02)&E
12 (05) ~艱 (01)(03)MPP
12 (06) ~艱&艱 (04)(05)&I
1 (07)~(安&艱) (02)(06)RAA
∴ (08)安→~艱 ├ ~(安&艱)
∴ (09) ~(安&艱) ⇔ 安→~艱
∴ (10)~(~(安&艱))⇔ ~(安→~艱)
といふ「命題計算(Propositional calculation)」は、「括弧」が無ければ、「成立」しない。
従って、
(31)(34)により、
(35)
「括弧」が無ければ、
① 自古帝王莫不得之於艱難失之於安逸=
① 自(古)帝王莫(不(得(之於艱難)失(之於安逸)))⇒
① (古)自帝王(((之於艱難)得(之於安逸)失)不)莫=
① (古)より帝王(((之を艱難に)得て(之を安逸に)失は)不るは)莫し=
① (古)より帝王((之を艱難に)得たならば(之を安逸に)失はない者は)ゐない。
といふ「漢文訓読」は、成立しない。
然るに、
(36)
① 自古帝王莫不得之於艱難失之於安逸=
① 自(古)帝王莫(不(得(之於艱難)失(之於安逸)))⇒
① (古)自帝王(((之於艱難)得(之於安逸)失)不)莫=
① (古)より帝王(((之を艱難に)得て(之を安逸に)失は)不るは)莫し=
① (古)より帝王((之を艱難に)得たならば(之を安逸に)失はない者は)ゐない。
といふ「漢文訓読」は、「約700年」の「此の方」、「正しい」。
従って、
(35)(36)により、
(37)
① 自古帝王莫不得之於艱難失之於安逸。
といふ「漢文」には、少なくとも、
① 自古帝王~(~(得之於艱難失之於安逸))。
① 自古帝王~(如 得之於艱難失 則 之於安逸)=
① 自古帝王~(if 得之於艱難失 then 之於安逸)。
といふ「括弧」が有ると、せざるを得ない。
Q.E.D.
(38)
いつまで経っても、一向に、「実物」が示されずに、「云々かんぬん」され続ける「スタップ細胞」とは異なり、「括弧」は、有ります!!
(39)
世間は、理研に騙されて、理研は、小保方氏に騙されたので、一番悪いのは、世間を騙した理研であって、小保方氏ではない。と、武田先生は、
言ってゐます。
平成29年07月03日、毛利太。
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