2021年8月11日水曜日

「量記号を一つにまとめたり、二つに分けたりするときの法則」の例。

(01)
(ハ)量記号を一つにまとめたり、二つに分けたりするときの法則
 8.∀x(Fx&Gx)≡∀x(Fx)&∀x(Gx)
 9.∃x(Fx∨Gx)≡∃x(Fx)∨∃x(Gx)
10.∃x(Fx→Gx)≡∀x(Fx)→∃x(Gx)
etc.・・・・・
(沢田允、現代論理学入門、1962年、139頁)
然るに、
(02)
 8.「すべての人は、フランス人の、学生である。」≡「すべての人はフランス人であって、すべての人は学生である。」
 9.「  ある人は、フランス人か、学生である。」≡「  ある人はフランス人であるか、  ある人は学生である。」
といふ「等式」は、「当然」である。
然るに、
(03)
10.「ある人は、フランス人であるならば、学生である。」≡「すべての人がフランス人であるならば、ある人は学生である。」
といふ「等式」は、極めて、「分かりにくい」。
然るに、
(04)
(ⅰ)
1  (1)    ∃x(Fx→Gx) A
 2 (2)    ∀x(Fx)    A
  3(3)       Fa→Ga  A
 2 (4)       Fa     2UE
 23(5)          Ga  34MPP
 23(6)       ∃x(Gx) 5EI
12 (7)       ∃x(Gx) 136EE
1  (8)∀x(Fx)→∃x(Gx) 27CP
(ⅱ)
1    (1) ∀x(Fx)→∃x(Gx) A
1    (2)~∀x(Fx)∨∃x(Gx) 1含意の定義
 3   (3)~∀x(Fx)        A
 3   (4)∃x(~Fx)        3量化子の関係
  5  (5)   ~Fa         A
  5  (6)   ~Fa∨Ga      5∨I
  5  (7)    Fa→Ga      6含意の定義
  5  (8) ∃x(Fx→Gx)     7EI
 3   (9) ∃x(Fx→Gx)     358EE
   ア (ア)        ∃x(Gx) A
    イ(イ)           Ga  A
    イ(ウ)       ~Fa∨Ga  イ∨I
    イ(エ)        Fa→Ga  ウ含意の定義
    イ(オ)     ∃x(Fx→Gx) イEI
   ア (カ)     ∃x(Fx→Gx) アイオEE
1    (キ)     ∃x(Fx→Gx) 139アカ∨I
従って、
(04)により、
(05)
確かに、
10.∃x(Fx→Gx)≡∀x(Fx)→∃x(Gx)
10.「ある人は、フランス人であるならば、学生である。」≡「すべての人がフランス人であるならば、ある人は学生である。」
という「等式」は、「正しい」。
従って、
(03)(04)(05)により、
(06)
10.「ある人は、フランス人であるならば、学生である。」≡「すべての人がフランス人であるならば、ある人は学生である。」
という「等式」は、「述語論理的」には、「正しい」ものの、「直観的」には、「分かりにくい」。
令和03年08月11日、毛利太。

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