2021年8月5日木曜日

「量化子の順番」について。

(01)
第1に、固有名をつぎの符号のひとつとして定義する。
  m,n,・・・・・
第2に、任意の名前をつぎの符号のひとつとして定義する。
  a,b,c,・・・・・
第3に、個体変数をつぎの符号のひとつとして定義する。
  x,y,z,・・・・・
第4に、述語文字をつぎの符号のひとつとして定義する。
  F,G,H,・・・・・
(論理学初歩、E.J.レモン 著、竹尾治一郎 ・浅野 楢英 訳、1973年、176頁)
従って、
(01)により、
(02)
{変域}を、{人間}とするならば、
xは、「誰か(someone)」であって、
yも、「誰か(someone)」であって、
zも、「誰か(someone)」である。
従って、
(02)により、
(03)
① 愛xy=xはyを愛す。
② 愛yx=yはxを愛す。
誰か誰かを愛す。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(04)
{変域}を、{人間}とするならば、
① ∃x∃y(愛xy)
② ∃y∃x(愛xy)
は、それぞれ、
① ある人は、ある人を愛す。
② ある人は、ある人によって愛される
といふ「意味」である。
然るに、
(05)
(ⅰ)
1  (1)∃x∃y(愛xy) A
 2 (2)  ∃y(愛ay) A
  3(3)     愛ab  A
  3(4)  ∃x(愛xb) 3EI
 2 (5)  ∃x(愛xb) 234EE
 2 (6)∃y∃x(愛xy) 5EI
1  (7)∃y∃x(愛xy) 126EE
(ⅱ)
1  (1)∃y∃x(愛xy) A
 2 (2)  ∃x(愛xb) A
  3(3)    (愛ab) A
  3(4)  ∃y(愛ay) 3EI
 2 (5)  ∃y(愛ay) 234EE
 2 (6)∃x∃y(愛xy) 5EI
1  (7)∃x∃y(愛xy) 126EE
従って、
(05)により、
(06)
① ∃x∃y(愛xy)
② ∃y∃x(愛xy)
に於いて、
①=② である。
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
① ある人は、ある人を愛す。
② ある人は、ある人によって愛される
に於いて、
①=② である。
従って、
(07)により、
(08)
「論理的」には、
① Somebody loves somebody.
② Somebody is loved by somebody.
に於いて、「(能動態・受動態の)区別」は、無い。
然るに、
(09)
(ⅲ)
1 (1)∃x∀y(愛xy) A
 2(2)  ∀y(愛ay) A
 2(3)     愛ab  2UE
  2(4)  ∃x(愛xb) 3EI
 2(5)∀y∃x(愛xy) 4UI
1 (6)∀y∃x(愛xy) 125EE
(ⅳ)
1 (1)∀y∃x(愛xy) A
1 (2)  ∃x(愛xb) 1UE
 )     愛a  A
 3(4)  ∀y(愛a) UI(は、反則なので、無効である。)
 3(5)∃x∀y(愛xy) 4EI
1 (6)∃x∀y(愛xy) 135EE
従って、
(09)により、
(10)
③ ∃x∀y(愛xy)
④ ∀y∃x(愛xy)
に於いて、
③ ならば、④ であるが、
④ ならば、③ であるとは、限らない
従って、
(10)により、
(11)
③ ある人は、すべての人を愛す。
④ すべての人は、ある人によって愛される。
に於いて、
③ ならば、④ であるが、
④ ならば、③ であるとは、限らない
従って、
(06)(11)により、
(12)
① ∃x∃(愛xy)
② ∃∃x(愛xy)
に於いては、
①=② であるが、
③ ∃x∀(愛xy)
④ ∀∃x(愛xy)
に於いては、
③=④ ではない
令和03年08月05日、毛利太。

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