2022年4月25日月曜日

「今両虎共闘不俱生」の「述語論理」(Ⅳ)。

(01)
今両虎共闘、其勢不俱生=
今両虎共闘、其勢不(俱生)⇒
今両虎共闘、其勢(俱生)不=
今両虎共に闘はば、其の勢ひ(俱には生)ず=
もし、二頭の虎が闘へば、成り行きとして、両方が、ともに生きることはない(どちらかが死ぬ)。
cf.
今ここで我々両雄が争ったならば、ことの成りゆきから二人は両立できないだろう。
(史記「刎頸之交」、日栄社 要説 十八史略・史記、1970年、155頁)
然るに、
(02)
(ⅰ)
1   (1)∀x∀y{虎x&虎y&闘xy→~(生x&生y)} A
1   (2)  ∀y{虎a&虎y&闘ay→~(生a&生y)} 1UE
1   (3)     虎a&虎b&闘ab→~(生a&生b)  2UE
 4  (4)     虎a&虎b               A
  5 (5)           闘ab           A
 45 (6)     虎a&虎b&闘ab           45&I
145 (7)               ~(生a&生b)  36MPP
145 (8)               ~生a∨~生b   7ド・モルガンの法則
145 (9)                生a→~生b   8含意の定義
14  (ア)           闘ab→(生a→~生b)  59CP
   イ(イ)           闘ab& 生a       A
   イ(ウ)           闘ab           イ&E
14 イ(エ)                生a→~生b   アウMPP
   イ(オ)                生a       イ&E
14 イ(カ)                   ~生b   エオMPP
14  (キ)           闘ab&生a→ ~生b   イカCP
1   (ク)     虎a&虎b→(闘ab&生a→~生b)  4キCP
1   (ケ)  ∀y{虎a&虎y→(闘ay&生a→~生y)} クUI
1   (コ)∀x∀y{虎x&虎y→(闘xy&生x→~生y)} ケUI
(ⅱ)
1   (1)∀x∀y{虎x&虎y→(闘xy&生x→~生y)} A
1   (2)  ∀y{虎a&虎y→(闘ay&生a→~生y)} 1UE
1   (3)     虎a&虎b→(闘ab&生a→~生b)  2UE
 4  (4)     虎a&虎b&闘ab           A
 4  (5)     虎a&虎b               4&E
14  (6)           (闘ab&生a→~生b)  35MPP
 4  (7)            闘ab          4&E
  8 (8)                生a       A
 48 (9)            闘ab&生a       78&I
148 (ア)                   ~生b   69MPP
14  (イ)                生a→~生b   8アCP
14  (ウ)               ~生a∨~生b   イ含意の定義
14  (エ)               ~(生a&生b)  ウ、ド・モルガンの法則
1   (オ)     虎a&虎b&闘ab→~(生a&生b)  4エCP
1   (カ)  ∀y{虎a&虎y&闘ay→~(生a&生y)} 2UI
1   (キ)∀x∀y{虎x&虎y&闘xy→~(生x&生y)} カUI
従って、
(02)により、
(03)
① ∀x∀y{虎x&虎y&闘xy→~(生x&生y)}
② ∀x∀y{虎x&虎y→(闘xy&生x→~生y)}
③ ∀x∀y{虎x&虎y→(闘yx&生y→~生x)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxとyについて{xが虎でyも虎で、xとyが闘ふならば、(xが生きて、その上、yも生きる)といふことは無い}。
② すべてのxとyについて{xが虎でyも虎ならば、(xとyが闘ってxが生きるのであれば、yは死ぬ)}。
③ すべてのxとyについて{xが虎でyも虎ならば、(yとxが闘ってyが生きるのであれば、xは死ぬ)}。
に於いて、
①=②=③ であるものの、
この「等式」であれば、AIにも、「理解(?)」出来るかも知れない。
然るに、
(04)
この場合に、
虎=相如
虎=廉将軍
であることも、AIにも、「理解(?)」出来かも知れない。
然るに、
(05)
相如曰、
「夫以秦王之威、而相如廷叱之、辱其群臣。
相如雖駑、独畏廉将軍哉。
顧吾念之、彊秦之所以不敢加兵於趙者、徒以吾両人在也。
今両虎共闘、其勢不俱生。
吾所以為此者、以先国家之急、而後私讎也。」
の「全体」を、従って、
相如曰はく、
「夫れ秦王の威を以てしても、相如之を廷叱して、其の群臣を辱む。
相如駑なりと雖も、独り廉将軍を畏れんや。
顧だ吾之を念ふに、彊秦の敢へて兵を趙に加へざる所以の者は、徒だ吾が両人の在るを以てなり。
今両虎共に闘はば、其の勢ひ俱には生きざらん。
の「全体」を、AIが、「述語論理」に「翻訳」することは、恐らく『無理』である。
(06)
例へば、
其勢不俱生。
で使はれてゐる、
其の勢ひその成り行き
などといふ「言葉」を、「述語論理」に翻訳することは、固より、「不可能」に決まってゐます。
(07)
皆さんが家庭で使っているコンピュータ、最近よく耳にする「人工知能」という言葉。歴史を紐解けば、推論の正しさを研究する論理学がなければ、コンピュータも人工知能研究もなかったかもしれません(佐野 勝彦 北海道大学大学院文学研究院哲学倫理学研究室 准教授)。
とのことなのですが、私自身は、AIのことを、何も分かってはゐません。
令和04年04月25日、毛利太。

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