(01)
千里馬常有。
千里の馬は常に有り。
千里を走る名馬はいつでもいる。
(韓愈、雑説)
(02)
(ⅰ)
1 (1)∀x{馬x→∃x(千里x)} A
2 (2)∃x(馬x) A
1 (3) 馬a→∃x(千里x) 1UE
4 (4) 馬a A
1 4 (5) ∃x(千里x) A
6(6) 千里a A
46(7) 千里a&馬a 46&I
46(8)∃x(千里x&馬x) 7EI
1 4 (9)∃x(千里x&馬x) 568EE
12 (ア)∃x(千里x&馬x) 249EE
(ⅱ)
1 (1)∀x(馬x)→∃x(千里x) A
2 (2)∀x(馬x) A
12 (3) ∃x(千里x) 12MPP
2 (4) 馬a 2UE
5(5) 千里a A
25(6) 馬a&千里a 45&I
25(7)∃x(馬x&千里x) 6EI
12 (8)∃x(馬x&千里x) 35EE
従って、
(02)により、
(03)
① ∀x{馬x →∃x(千里x)},∃x(馬x)├ ∃x(千里x&馬x)
② ∀x(馬x)→∃x(千里x) ,∃x(馬x)├ ∃x(千里x&馬x)
といふ「推論」は、両方とも「妥当」である(?)。
然るに、
(04)
(a)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲(スコープ)は、問題になっている変数が現れる少なくとも2つの箇所を含むであろう(その1つの箇所は量記号そのもののなかにある);
(b)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲(スコープ)は、同じ変数を用いたいかなる他の量記号も含まないであろう。
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、183頁改)
従って、
(03)(04)により、
(05)
① ∀x{馬x→∃x(千里x)}
といふ「述語論理式」は、
(b)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲(スコープ)は、同じ変数を用いたいかなる他の量記号も含まないであろう。
といふ「制約」に「抵触」する。
然るに、
(06)
1 (1)馬a&馬b&馬c→ 千里a∨千里b ∨千里c A
2 (2)馬a&馬b&馬c A
12 (3) 千里a∨千里b ∨千里c 12MPP
12 (4) (千里a∨千里b)∨千里c 3結合法則
12 (5)馬a 2&E
12 (6) 馬b 2&E
12 (7) 馬c 2&E
8 (8) 千里a∨千里b A
9 (9) 千里a A
12 9 (ア) 千里a&馬a 59&I
12 9 (イ)(千里a&馬a)∨(千里b&馬b) ア∨I
12 9 (ウ)(千里a&馬a)∨(千里b&馬b)∨(千里b&馬b) イ∨I
エ (エ) 千里b A
12 エ (オ) 千里b&馬b 6エ&I
12 エ (カ)(千里a&馬a)∨(千里b&馬b) エ∨I
12 エ (キ)(千里a&馬a)∨(千里b&馬b)∨(千里b&馬b) ∨I
12 (ク)(千里a&馬a)∨(千里b&馬b)∨(千里b&馬b) 89ウエキ∨I
ケ(ケ) 千里c A
12 ケ(コ) 千里c&馬c 7ケ&I
12 ケ(サ) (千里b&馬b)∨(千里b&馬b) コ∨I
12 ケ(シ)(千里a&馬a)∨(千里b&馬b)∨(千里b&馬b) サ∨I
12 (ス)(千里a&馬a)∨(千里b&馬b)∨(千里b&馬b) 48クケシ
従って、
(07)
③ 馬a&馬b&馬c→千里a∨千里b∨千里c,馬a&馬b&馬c├(千里a&馬a)∨(千里b&馬b)∨(千里b&馬b)
といふ「推論」は「妥当」であって、尚かつ、この場合は、「命題計算」であって、「述語計算」ではないため、固より、
(b)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲(スコープ)は、同じ変数を用いたいかなる他の量記号も含まないであろう。
といふ「制約」が無い。
然るに、
(08)
③ 馬a&馬b&馬c→千里a∨千里b∨千里c,馬a&馬b&馬c├(千里a&馬a)∨(千里b&馬b)∨(千里b&馬b)
の場合は、
③{a,b,c}による、{3個}であるが、
③{a,b,c}の{個数}は{100個}であっても、{100万個}であっても、{1000億個}であっても、「同じ」ことである。
従って、
(02)~(08)により、
(09)
② ∀x(馬x) →∃x(千里x),∃x(馬x) ├ ∃x(千里x&馬x)
③ 馬a&馬b&馬c→千里a∨千里b∨千里c,馬a&馬b&馬c├(千里a&馬a)∨(千里b&馬b)∨(千里b&馬b)
に於いて、「本質的」に、
②=③ であって、尚且つ、
③ は、「妥当」であり、それ故、
② も、「妥当」である。
従って、
(03)(05)(09)により、
(10)
① ∀x{馬x →∃x(千里x)},∃x(馬x)├ ∃x(千里x&馬x)
② ∀x(馬x)→∃x(千里x) ,∃x(馬x)├ ∃x(千里x&馬x)
に於いて、
① は「妥当」ではなく、
② は「妥当」である。
然るに、
(10)により、
(11)
「読み方」として、
① すべてのxについて、xが馬ならば、あるxは千里である。
② すべてのxについて、xが馬ならば、あるxは千里である。
であるもの、
② すべてのxについて、xが馬ならば、あるxは千里である。
といふことは、
② 馬の中には、千里の馬がゐる。
といふことになる。
然るに、
(12)
② 馬の中には、千里の馬がゐる。
とすれば、
② 馬がゐれば、その中には、千里の馬がゐる。
といふ、ことになる。
従って、
(13)
② 馬がゐる。
といふことを、「否定」しない限り、「常に」、
② 千里の馬がゐる。
といふことも、「否定」出来ない。
従って、
(01)(10)~(13)により、
(14)
② 千里馬常有。⇔
② 千里の馬は常に有り。⇔
② 千里を走る名馬はいつでもいる。⇔
② ∀x(馬x)→∃x(千里x) ⇔
② すべてのxについて、xが馬ならば、あるxは千里である。
といふ「等式」が、成立する。
令和04年04月27日、毛利太。
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