(01)
たとえ名辞が三つに限られていても、ヴェン図形では処理できない推論がある。
たとえば、以下の推論を考えよう。
もしある論理学の問題がやさしければ、すべての受講者は単位がもらえる。
しかし、ある受講者は単位がもらえない。
∴ 論理学の問題はどれもやさしくない。
第一の前提では、特称肯定命題と全称肯定命題が「→」で結ばれている。
結合子については、われわれの推論の方法をすでに習得している。
結合子で結ばれた命題については、ヴェン図で処理できるだろう。
しかし、この二つ混ざった命題については、われわれはどう処理してよいのかまだわからないのである。
われわれは本格的な述語論理へすすまなければならない。
(昭和堂入門選書25、論理学基礎、1994年、114頁)
然るに、
(02)
「昭和堂入門選書25、論理学基礎」には、
もしある論理学の問題がやさしければ、すべての受講者は単位がもらえる。
しかし、ある受講者は単位がもらえない。
∴ 論理学の問題はどれもやさしくない。
に対する、「述語論理」よる「証明(解答)」が、示されてゐない。
加へて、
(03)
第一の前提では、特称肯定命題と全称肯定命題が「→」で結ばれている。
とすると、私には、「証明(解答)」が書けない。
従って、
(04)
もしある論理学の問題がやさしければ、すべての受講者は単位がもらえる。
といふ「第一の前提」に関しては、
特称肯定命題と全称肯定命題が「→」で結ばれている。
とはせずに、
全称肯定命題と全称肯定命題が「→」で結ばれている。
としたいものの、その場合、「証明(解答)」は、次(05)の通りとなる。
すなはち、
(05)
論理=論理学の問題である。
容易=易しい。
学生=受講者である。
単位=論理学の単位がもらえる。
であるとして、
1 (1) ∀x{論理x&容易x→∀y(学生y→単位yx)} A
2 (2) ∃y(学生y&~単位ya) A
1 (3) 論理a&容易a→∀y(学生y→単位ya) 1UE
4 (4) 学生b&~単位ba A
5(5) 論理a&容易a A
1 5(6) ∀y(学生y→単位ya) 35MPP
1 5(7) 学生b→単位ba 6UE
4 (8) 学生b 4&E
1 45(9) 単位ba 78MPP
1 45(ア) ~単位ba 4&E
1 45(イ) ~単位ba&単位ba 9ア&I
1 4 (ウ) ~(論理a&容易a) 5イRAA
1 4 (エ) ~論理a∨~容易a ウ、ド・モルガンの法則
1 4 (オ) 論理a→~容易a エ含意の定義
1 4 (カ) ∀x(論理x→~容易x) オUI
12 (キ) ∀x(論理x→~容易x) 24カEE
といふ風に、書くことが出来る(はずである)。
従って、
(01)~(05)により、
(06)
もし論理学の問題がやさしければ、すべての学生は単位がもらえる。
しかし、ある学生は単位がもらえない。
∴ 論理学の問題はどれもやさしくない。
といふ「推論」は、正しい(はずである)。
令和6年2月20日、毛利太。
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