2024年2月23日金曜日

「(P&Q)→~P」の「対偶」について。

(01)
① (P&Q)→ P
② (P&Q)→~P
といふ「論理式」、すなはち、
① PであってQであるならば、Pである。
PであってQであるならば、Pでない
といふ「命題」に於いて、
① は、明らかに「真(トートロジー)」であるが、
② は、明らかに「偽(矛盾)」である(??)。
然るに、
(02)
① (P&Q)→P
に対する「否定」を「計算」すると、
(ⅰ)
1(1) ~{(P&Q)→ P} A
1(2)~{~(P&Q)∨ P} 1含意の定義
1(3)   (P&Q)&~P  2ド・モルガンの法則
1(4)    P&Q      3&E
1(5)    P        4&E
1(6)      Q      4&E
1(7)         ~P  3&E
1(8)    P&~P     57&I
1(9)   (P&~P)&Q  68&I
(〃)
1(1)   (P&~P)&Q  A
1(2)    P&~P     1&E
1(3)    P        2&E
1(4)      ~P     2&E
1(5)          Q  1&E
1(6)    P&Q      35&I
1(7)   (P&Q)&~P  46&I
1(8)~{~(P&Q)∨ P} 7ド・モルガンの法則
1(9) ~{(P&Q)→ P} 8含意の定義
従って、
(02)により、
(03)
① (P&Q)→P
に対する「否定」を「計算」すると、
①(P&~P)&Q
であるものの、
①(P&~P)&Q
であれば、
①(矛盾)&Q
であって、
①(矛盾)&Q
は、「」である。
然るに、
(04)
② (P&Q)→~P
に対する「否定」を「計算」すると、
(ⅱ)
1(1) ~{(P&Q)→~P} A
1(2)~{~(P&Q)∨~P} 1含意の定義
1(3)   (P&Q)& P  2ド・モルガンの法則
1(4)    P&Q      3&E
(ⅲ)
1(1)    P&Q      A
1(2)    P        1&E
1(3)   (P&Q)& P  12&I
1(4)~{~(P&Q)∨~P} 3ド・モルガンの法則
1(5) ~{(P&Q)→~P} 4含意の定義
従って、
(04)により、
(05)
② (P&Q)→~P
に対する「否定」を「計算」すると、
③  P&Q
であるものの、
③  P&Q
は、それ自体は、「真」でも、「偽」でもない。
然るに、
(04)により、
(06)
いづれにせよ、
② ~{(P&Q)→~P}
③    P&Q
に於いて、
②=③ である。
従って、
(06)により、
(07)
② ~~{(P&Q)→~P}
③   ~(P&Q)
に於いて、
②=③ である。
従って、
(07)により、
(08)
「二重否定律(DN)」により、
②  (P&Q)→~P
③ ~(P&Q)
然るに、
(09)
(ⅲ)
1  (1)~(P&Q)  A
 2 (2)  P     A
  3(3)    Q   A
 23(4)  P&Q   23&I
123(5)~(P&Q)&
       (P&Q)  13&I
12 (6)   ~Q   35RAA
1  (7) P→~Q   26CP
(ⅳ)
1  (1) P→~Q   A
 2 (2) P& Q   A
 2 (3) P      2&E
12 (4)   ~Q   13MPP
 2 (5)    Q   2&E
12 (6) ~Q&Q   45&I
1  (7)~(P&Q)  26RAA
従って、
(09)により、
(10)
③ ~(P&Q)
④  P→~Q
に於いて、
③=④ である。
従って、
(08)(09)(10)により、
(11)
②  (P&Q)→~P
③ ~(P&Q)
④   P→~Q
に於いて、
②=③=④ である。
然るに、
(12)
(ⅱ)
1  (1) (P&Q)→~P A
1  (2)~(P&Q)∨~P A
 3 (3)~(P&Q)    A
 3 (4)~P∨~Q     ド・モルガンの法則
 3 (5)~P∨~Q∨ ~P 4∨I
  6(6)       ~P A
  6(7) ~P∨~Q∨~P 7∨I
1  (8)~P∨~Q∨ ~P 13567∨E
1  (9)~P∨~P∨ ~Q 8交換法則
1  (ア)~P∨~Q     9冪等律
1  (イ) P→~Q     ア含意の定義
(ⅲ)
1  (1)  P→~Q     A
1  (2) ~P∨~Q     1含意の定義
1  (3) ~P∨~P∨ ~Q 2冪等律。
1  (4) ~P∨~Q∨ ~P 3交換法則
1  (5)(~P∨~Q)∨~P 4結合法則
 6 (6)(~P∨~Q)    A
 6 (7)~(P&Q)     6ド・モルガンの法則
 6 (8)~(P&Q)∨ ~P 7∨I
  9(9)        ~P A
  9(ア)~(P&Q)∨ ~P 9∨I
1  (イ) (P&Q)→ ~P  ア含意の定義
従って、
(12)により、
(13)
②(P&Q)→~P
③  P→~Q
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(14)
(ⅱ)
1  (1) (P&Q)→~P A
 2 (2)        P A
 2 (3)      ~~P 2DN
12 (4)~(P&Q)    13MTT
12 (5)~P∨~Q     4ド・モルガンの法則
12 (6) P→~Q     5含意の定義
1  (7) P→(P→~Q) 26CP
  8(8) P        A
1 8(9)    P→~Q  78MPP
1 8(ア)      ~Q  89MPP
1  (イ) P→~Q     8アCP
(ⅲ)
1  (1) P→~Q     A
 2 (2) P& Q     A
 2 (3) P        2&E
12 (4)   ~Q     13MPP
 2 (5)    Q     2&E
12 (6)   ~Q&Q   45&I
1  (7)~(P&Q)    26RAA
1  (8)~(P&Q)∨~P 7∨I
1  (9) (P&Q)→~P 8含意の定義
従って、
(14)により、
(15)
②(P&Q)→~P
③  P→~Q
に於いて、
②=③ は「対偶」である。
従って、
(12)(15)により、
(16)
(ⅱ)
1  (1) (P&Q)→~P A
1  (2)~(P&Q)∨~P A
 3 (3)~(P&Q)    A
 3 (4)~P∨~Q     ド・モルガンの法則
 3 (5)~P∨~Q∨ ~P 4∨I
  6(6)       ~P A
  6(7) ~P∨~Q∨~P 7∨I
1  (8)~P∨~Q∨ ~P 13567∨E
1  (9)~P∨~P∨ ~Q 8交換法則
1  (ア)~P∨~Q     9冪等律
1  (イ) P→~Q     ア含意の定義
(ⅲ)
1  (1)  P→~Q     A
1  (2) ~P∨~Q     1含意の定義
1  (3) ~P∨~P∨ ~Q 2冪等律。
1  (4) ~P∨~Q∨ ~P 3交換法則
1  (5)(~P∨~Q)∨~P 4結合法則
 6 (6)(~P∨~Q)    A
 6 (7)~(P&Q)     6ド・モルガンの法則
 6 (8)~(P&Q)∨ ~P 7∨I
  9(9)        ~P A
  9(ア)~(P&Q)∨ ~P 9∨I
1  (イ) (P&Q)→ ~P  ア含意の定義
といふ「計算」は、結局は、「対偶の計算」であった。
といふことになる。
従って、
(11)~(16)により、
(17)
いづれにせよ、
②(P&Q)→~P
③  P→~Q
に於いて、すなはち、
② PであってQであるならば、Pでない。
③ Pであるならば、Qでない。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(17)により、
(18)
③ Pであるならば、Qでない。
といふ「命題」は、言ふまでもなく、「矛盾」ではない
従って、
(01)(18)により、
(19)
① (P&Q)→ P
② (P&Q)→~P
といふ「論理式」、すなはち、
① PであってQであるならば、Pである。
PであってQであるならば、Pでない
といふ「命題」に於いて、
① は、明らかに「真(トートロジー)」であるが、
② は、決して、「偽(矛盾)」ではない(!!)。
令和6年2月23日、毛利太。

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