2024年2月24日土曜日

「象は鼻が長い(動物である)」の「述語論理」の解説。

(01)
(ⅰ)象は鼻長い。然るに、
(ⅱ)兎は耳長い。従って、
(ⅲ)兎は象ではない
といふ『推論』は、「妥当」である。
然るに、
(02)
(ⅰ)象といふ動物のパーツ(部分)の中では、鼻は長く、 鼻以外は長くない。 然るに、
(ⅱ)兎といふ動物のパーツ(部分)の中では、耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、
(ⅲ)象が、兎であると「仮定」すると「矛盾」する。従って、
(〃)兎は象ではない。
といふ『推論(背理法)』は、「妥当」である。
従って、
(01)(02)により、
(03)
(ⅰ)象といふ動物のパーツ(部分)の中では、鼻は長く、 鼻以外は長くない。 然るに、
(ⅱ)兎といふ動物のパーツ(部分)の中では、耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、
(ⅲ)象が、兎であると「仮定」すると「矛盾」する。従って、
(〃)兎は象ではない。
といふ「推論(背理法)」が「妥当」であるが故に、
(ⅰ)象は鼻長い。然るに、
(ⅱ)兎は耳長い。従って、
(ⅲ)兎は象ではない
といふ『推論』は、「妥当」である。
然るに、
(04)
1      (1) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
 2     (2) ∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)}         A
  3    (3) ∃x(象x&兎x)                      A
1      (4)    象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  1UE
 2     (5)    兎a→∃z(耳za&~鼻za&長z)          2UE
   6   (6)    象a&兎a                       A
   6   (7)    象a                          6&E
   6   (8)       兎a                       6&E
1  6   (9)       ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  47MPP
1  6   (ア)                  ∀z(~鼻za→~長z)  9&E
1  6   (イ)                     ~鼻ba→~長b   アUE
 2 6   (ウ)       ∃z(耳za&~鼻za&長z)          58MPP
    エ  (エ)          耳ba&~鼻ba&長b           A
    エ  (オ)              ~鼻ba              エ&E
    エ  (カ)                   長b           エ&E
1  6エ  (キ)                          ~長b   イオMPP
1  6エ  (ク)                   長b&~長b       カキ&I
12 6   (ケ)                   長b&~長b       ウエクEE
123    (コ)                   長b&~長b       36ケEE
12     (サ)~∃x(象x& 兎x)                     3コRAA
     シ (シ)  ~(象a→~兎a)                     A
     シ (ス) ~(~象a∨~兎a)                     シ含意の定義
     シ (セ)    象a& 兎a                      ス、ド・モルガンの法則
      シ (ソ) ∃x(象x& 兎x)                     セEI
12   シ (タ)~∃x(象x& 兎x)&∃x(象x& 兎x)          サソ&I
12     (チ) ~~(象a→~兎a)                     シタRAA
12     (ツ)   (象a→~兎a)                     チDN
      テ(テ)        兎a                      A
      テ(ト)      ~~兎a                      テDN
12    テ(ナ)   ~象a                          ツトMTT
12     (ニ)    兎a→~象a                      テナCP
12     (ヌ) ∀x(兎x→~象x)                     ニUI
従って、
(04)により、
(05)
(ⅰ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
(ⅱ)∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)}。従って、
(ⅲ)∀x(兎x→~象x)。
といふ『推論』、すなはち、
(ⅰ)すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、長く)、すべてのzについて(zがxの鼻ではないならば、zは長くない)}。然るに、
(ⅱ)すべてのxについて{xが兎であるならば、あるzは(xの耳であって、xの鼻ではないが、zは長い)}。従って、
(ⅲ)すべてのxについて(xが兎であるならば、xは象ではない)。
といふ『推論』、すなはち、
(ⅰ)象といふ動物のパーツ(部分)の中では、鼻は長く、 鼻以外は長くない。 然るに、
(ⅱ)兎といふ動物のパーツ(部分)の中では、耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、
(ⅲ)象が、兎であると「仮定」すると「矛盾」する。従って、
(ⅳ)兎は象ではない。
といふ『推論』は「妥当」である。
従って、
(01)~(05)により、
(06)
(ⅰ)象は鼻長い。然るに、
(ⅱ)兎は耳長い。従って、
(ⅲ)兎は象ではない
といふ『推論』が、「妥当」であるならば、
(ⅰ)象といふ動物のパーツ(部分)の中では、鼻は長く、 鼻以外は長くない。 然るに、
(ⅱ)兎といふ動物のパーツ(部分)の中では、耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、
(ⅲ)象が、兎であると「仮定」すると「矛盾」する。従って、
(〃)兎は象ではない。
といふ『推論』は、「妥当」であり、
(ⅰ)象といふ動物のパーツ(部分)の中では、鼻は長く、 鼻以外は長くない。 然るに、
(ⅱ)兎といふ動物のパーツ(部分)の中では、耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、
(ⅲ)象が、兎であると「仮定」すると「矛盾」する。従って、
(〃)兎は象ではない。
といふ『推論』が、「妥当」であるならば、
(ⅰ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
(ⅱ)∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)}。従って、
(ⅲ)∀x(兎x→~象x)。
といふ『推論』は、「妥当」である。
従って、
(06)により、
(07)
(ⅰ)象は鼻長い。然るに、
(ⅱ)兎は耳長い。従って、
(ⅲ)兎は象ではない
といふ『推論』は、
(ⅰ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
(ⅱ)∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)}。従って、
(ⅲ)∀x(兎x→~象x)。
といふ『推論』に「他ならない」。
従って、
(07)により、
(08)
① 象は鼻長い。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
に於いて、
①=② である。
従って、
(08)により、
(09)
② 象は鼻長い動物である。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&動物x}。
③ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、長く)、すべてのzについて(zがxの鼻ではないならば、zは長くなく)、その上、xは動物である}。
に於いて、
②=③ である。
従って、
(09)により、
(10)
③ 象は動物である。
④ ∀x{象x→動物x}。
④ すべてのxについて{xが象であるなら、xは動物である}。
に於いて、
③=④ である。
従って、
(09)(10)により、
(11)
「番号」を付け直すとして、
① 象は動物である。
② 象は鼻長い。
③ 象は鼻長い動物である。
といふ「日本語」は、それぞれ、
① ∀x{象x→動物x}。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&動物x}。
といふ「述語論理式」に「対応」する。
然るに、
(11)により、
(12)
① 象は動物である。
② 象は鼻長い。
③ 象は鼻長い動物である。
といふ「日本語」に於ける、
① 象は
② 象は
③ 象は
といふ「主語主辞)」は、3つとも、「述語論理的」には、
① ∀x{象x→
② ∀x{象x→
③ ∀x{象x→
であって、「区別」は無い。
従って、
(13)
① 象は動物である。
に於ける、
① 象は が「主語」であるならば、
① 象は動物である。
② 象は鼻長い。
③ 象は鼻長い動物である。
といふ「日本語」に於ける、
① 象は
② 象は
③ 象は
は、3つとも、「主語主辞)」である。
然るに、
(14)
「象は鼻長い」はどれが主辞がわからないから、このままでは非論理的な構造の文である、と言う人がもしあった(沢田『入門』二九ペ)とすれば、その人は旧『論理学』を知らない人であろう、これはこのままで、
 象は 長い
 主辞 賓辞
とはっきりしている。速水式に簡単明リョウである。意味も、主辞賓辞の関係も小学生にもわかるはずの文である。これに文句をつけたり、それを取り次いだりするのは、人々が西洋文法に巻かれていることを語る以外の何物でもない。このまま定理扱いしてもよろしい。そしてこの定理の逆は真でないとして、鼻の長いもの例に、鞍馬山の天狗だの、池の尾の禅珍内供だのを上げるのも一興だろう。それでおしまいである(三上章、日本語の論理、1963年、13・14頁)。
従って、
(13)(14)により、
(15)
三上章 による、
 象は 長い
 主辞 賓辞
とはっきりしている。 といふ「意見」は、「述語論理的」には、「正しい」。
然るに、
(16)


といふ『主語を殺した男』といふ「タイトル」が示してゐる通り、に、三上章先生は、固より、「(日本語に於ける)主語」といふモノを、認めない
令和6年2月24日、毛利太。

0 件のコメント:

コメントを投稿