(01)
「先程の記事(令和02年04月12)」でも示した通り、
① AはBである。
② AがBである。
といふ「日本語」は、
① ∀x(Ax→Bx)
② ∀x(Ax→Bx&~Ax→~Bx)
といふ「論理式」に、相当する。
従って、
(01)により、
(02)
② 昔々、ある所に、(お爺さんと、お婆さん)が住んでゐた。
といふのであれば、
②(お爺さんと、お婆さん)は住んでゐたが、(お爺さんと、お婆さん)以外は、住んではゐなかった。
といふ、ことにある。
従って、
(01)(02)により、
(03)
② お爺さんが、川へ洗濯に行きました。
といふのであれば、
② お爺さんは、洗濯に行ったが、お爺さん以外(お婆さん)は洗濯には行かなかった。
といふ、ことになる。
従って、
(03)により、
(04)
② 洗濯に行ったのは、お婆さんではなく、お爺さんの方である。
といふことを、「確認」したいのであれば、
① お爺さんは川へ洗濯に行きました。
とは言はずに、
② お爺さんが川へ洗濯へ行きました。
と、言ふことになる。
従って、
(03)(04)により、
(05)
① お爺さんは川へ洗濯に行きました。
① お婆さんは山へ 芝刈りに行きました。
と言はずに、
② お爺さんが川へ洗濯へ行きました。
② お婆さんが山へ 芝刈りに行きました。
と言ふのであれば、
② 洗濯に行ったのは、お婆さんではなく、お婆さん以外(お爺さん)の方である。
② 芝刈りに行ったのは、お爺さんではなく、お爺さん以外(お婆さん)の方である。
といふことを、「確認」したいので、そのやうに、「言ってゐる」といふ風に、「理解」出来る。
従って、
(05)により、
(06)
① 昔々、ある所に、お爺さんとお婆さんが住んでいました。お爺さんは、山へ芝刈りに、お婆さんは、川へ洗濯に行きました。
とは言はずに、
② 昔々、ある所に、お爺さんとお婆さんが住んでいました。お婆さんが、山へ芝刈りに、お爺さんが、川へ洗濯に行きました。
といふ風に、言ふのであれば、
③ この人は、『我々が、子供の頃から、良く知ってゐる、その「桃太郎」の話ではない、別の「桃太郎」の話をしようとしてゐる。』
といふことを、アピールしてゐるのだな、といふ風に、「理解」出来る。
従って、
(06)により、
(07)
そのやうに、「話し手の意図」を「理解」するならば、
② 昔々、ある所に、お爺さんとお婆さんが住んでいました。お婆さんが、山へ芝刈りに、お爺さんが、川へ洗濯に行きました。
といふ「お婆さんが・お爺さんが」といふ「日本語」は、「自然」である。
然るに、
(08)
② 昔々、ある所に、お爺さんとお婆さんが住んでいました。お婆さんが、山へ芝刈りに、お爺さんが、川へ洗濯に行きました。
であったとしても、「英訳」は、
② Long,long ago there lived an old man and an old woman. The old woman went to the mountain to gather wood, and the old man went to the river to do the washing.
であって、
① Long,long ago there lived an old man and an old woman. An old woman went to the mountain to gather wood, and an old man went to the river to do the washing.
ではない。
従って、
(07)(08)により、
(09)
「 an old man(未知・が)」であって、
「the old man(既知・は)」である。
といふことには、ならない。
従って、
(09)により、
(10)
助詞の「は」と「が」を使い分ける方法の説明として、今までになされてきたものを野田尚史が五つに分類してまとめている。
(1)新情報か旧情報かによって使い分ける方法。
会話の中や文脈で、主格となる名詞が未知(=新情報)の場合は「が」を使って表し、既知(=旧情報)の場合は「は」を使って表すという基準である。
・鈴木さんは校長です。(「鈴木さん」のことは「既知」なので、「 は」を付けて表す)
・鈴木さんが校長です。( 校長が誰であるのか、「未知」なので、「鈴木さん」に「が」を付けて表す)
(は」と「が」の使い分け | 日本語教育能力検定試験用語検索)
といふことには、ならない。
令和02年04月12日、毛利太。
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