(01)
― 何度も、書いてゐるやうに、―
① 象は鼻が長い。⇔
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(01)により、
(02)
② (象は鼻が長い。)といふわけではない。
ではなく、
② 象は(鼻が長い。)といふわけではない。
であれば、
② ∀x{象x→~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}
といふ「論理式」に、対応する。
然るに、
(03)
― 先程(令和02年04月18日)も書いたものの、―
(ⅱ)
1 (1)∀x{象x→~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]} A
1 (2) 象a→~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)] 1UE
3 (3) 象a A
13 (4) ~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)] 23MPP
13 (5) ~∃y(鼻ya&長y)∨~∀z(~鼻za→~長z) 4ド・モルガンの法則
13 (6) ∃y(鼻ya&長y)→~∀z(~鼻za→~長z) 5含意の定義
7 (7) ∃y(鼻ya&長y) A
137 (8) ~∀z(~鼻za→~長z) 78MPP
137 (9) ∃z~(~鼻za→~長z) 8量化子の関係
ア (ア) ~(~鼻ba→~長b) A
ア (イ) ~(鼻ba∨~長b) ア含意の定義
ア (ウ) ~鼻ba& 長b イ、ド・モルガンの法則
ア (エ) ∃z(~鼻za& 長z) ウEI
137 (オ) ∃z(~鼻za& 長z) 9アエEE
13 (カ) ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z) 7オCP
1 (キ) 象a→[∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)] 3カCP
ク(ク) 象a& ∃y(鼻ya&長y) A
ク(ケ) 象a ク&E
1 ク(コ) ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z) キケMPP
ク(サ) ∃y(鼻ya&長y) ク&E
1 ク(シ) ∃z(~鼻za& 長z) コサMPP
1 (ス) 象a& ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z) クシCP
1 (セ)∀x{象x& ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)} スUI
(ⅲ)
1 (1) ∀x{象x& ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)} A
1 (2) 象a& ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z) 1UE
3 (3) 象a A
4 (4) ∃y(鼻ya&長y) A
34 (5) 象a& ∃y(鼻ya&長y) 34&I
134 (6) ∃z(~鼻za& 長z) 25MPP
7(7) ~鼻ba& 長b A
7(8) ~(鼻ba∨~長b) 7ド・モルガンの法則
7(9) ~(~鼻ba→~長b) 8含意の定義
7(ア) ∃z~(~鼻za→~長z) 7EI
134 (イ) ∃z~(~鼻za→~長z) 67アEE
134 (ウ) ~∀z(~鼻za→~長z) イ量化子の関係
13 (エ) ∃y(鼻ya&長y)→~∀z(~鼻za→~長z) 4ウCP
13 (オ) ~∃y(鼻ya&長y)∨~∀z(~鼻za→~長z) エ含意の定義
13 (カ) ~[∃y(鼻ya&長y)& ∀z(~鼻za→~長z)] オ、ド・モルガンの法則
1 (キ) 象a→~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)] 3カCP
1 (ク)∀x{象x→~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]} キUI
従って、
(02)(03)により、
(04)
② ∀x{象x→~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}
③ ∀x{象x& ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)}
に於いて、すなはち、
② すべてのxについて、xが象であるならば[あるyがxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない]といふことはない。
③ すべてのxについて、xが象であって、あるyがxの鼻であって、長いならば、あるzはxの鼻以外であって、長い。
に於いて、
②=③ である。
従って、
(02)(03)(04)により、
(05)
② 象は(鼻が長い。)といふわけではない。
③ 象は、鼻が長いならば、鼻以外も長い。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(06)
(ⅲ)
1 (1)∀x{象x&∃y(鼻yx&長y)→ ∃z(~鼻zx& 長z)} A
1 (2) 象a&∃y(鼻ya&長y)→ ∃z(~鼻za& 長z) 1UE
1 (3) 象a 2&E
1 (4) ∃y(鼻ya&長y)→ ∃z(~鼻za& 長z) 2&E
5 (5) ∀z(~鼻za→~長z) A
5 (6) ~鼻ba→~長b 1UE
5 (7) 鼻ba∨~長b 6含意の定義
5 (8) ~(~鼻ba& 長b) 7ド・モルガンの法則
5 (9) ∀z~(~鼻za& 長z) 8UI
5 (ア) ~∃z(~鼻za& 長z) 9量化子の関係
15 (イ) ~∃y(鼻ya&長y) 1アMTT
1 (ウ) ∀z(~鼻za→~長z)→~∃y(鼻ya&長y) 5イCP
1 (エ) 象a&∀z(~鼻za→~長z)→~∃y(鼻ya&長y) 3ウ&I
1 (オ)∀x{象x&∀z(~鼻zx→~長z)→~∃y(鼻yx&長y)} エUI
(ⅳ)
1 (1)∀x{象x&∀z(~鼻zx→~長z)→~∃y(鼻yx&長y)} A
1 (2) 象a&∀z(~鼻za→~長z)→~∃y(鼻ya&長y) 1UE
1 (3) 象a 2&E
1 (4) ∀z(~鼻za→~長z)→~∃y(鼻ya&長y) 2&E
5 (5) ∃y(鼻ya&長y) A
5 (6) ~~∃y(鼻ya&長y) 5DN
15 (7) ~∀z(~鼻za→~長z) 46MTT
15 (8) ∃z~(~鼻za→~長z) 7量化子の関係
9(9) ~(~鼻ba→~長b) A
9(ア) ~( 鼻ba∨~長b) 9含意の定義
9(イ) ~鼻ba& 長b ア、ド・モルガンの法則
9(ウ) ∃z(~鼻zx& 長z) イEI
15 (エ) ∃z(~鼻zx& 長z) 89ウEE
1 (オ) ∃y(鼻ya&長y)→ ∃z(~鼻zx& 長z) 5エCP
1 (カ) 象a&∃y(鼻ya&長y)→ ∃z(~鼻zx& 長z) 3オ&I
1 (キ)∀x{象x&∃y(鼻yx&長y)→ ∃z(~鼻zx& 長z)} カUI
従って、
(06)により、
(07)
③ ∀x{象x& ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)}
④ ∀x{象x&∀z(~鼻zx→~長z)→~∃y(鼻yx&長y)}
に於いて、すなはち、
③ すべてのxについて、xが象であって、あるyがxの鼻であって、長いならば、あるzはxの鼻以外であって、長い。
④ すべてのxについて、xが象であって、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。ならば、あるyがxの鼻であって、長い、といふことはない。
に於いて、
③=④ は、「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(07)により、
(08)
③ 象は、鼻が長いならば、鼻以外も長い。
④ 象は、鼻以外が長くないならば、鼻は長くない。
に於いて、
③=④ である。
従って、
(01)~(08)により、
(09)
② 象は(鼻が長い。)といふわけではない。
③ 象は、鼻が長いならば、鼻以外も長い。
④ 象は、鼻以外が長くないならば、鼻は長くない。
といふ「日本語」は、
② ∀x{象x→~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}
③ ∀x{象x& ∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)}
④ ∀x{象x& ∀z(~鼻zx→~長z)→~∃y(鼻yx&長y)}
といふ「述語論理式」に、対応する。
(10)
「述語論理」を「独学」することが、「難しい」かどうかは、人それぞれなので、何とも、言へない。
然るに、
(11)
いづれにせよ、
日常言語の文から述語計算の文の翻訳のためには、一般にあたまが柔軟であることが必要である。なんら確定的な規則があるわけでなく、量記号に十分に馴れるまでには、練習を積むことが必要である。そこに含まれている仕事は翻訳の仕事に違いないけれども、しかしそこへ翻訳が行われる形式言語は、自然言語のシンタックスとは幾らか違ったシンタックスをもっており、また限られた述語―論理的結合記号、変数、固有名、述語文字、および2つの量記号―しかももたない。その言語のおもな長所は、記法上の制限にもかかわらず、非常に広範な表現能力をもっていることである(E.J.レモン 著、武生治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、130頁)。
といふ風に、E.J.レモンは、言ってゐる。
令和02年04月18日、毛利太。
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