(01)
「昨日(令和02年04月15日)の記事」に於ける、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。
といふことは、
① 象は耳は長く、鼻以外は長くない。
といふ、「意味」である。
となっていたのは、もちろん、
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。
は、「マチガイ」です。
(02)
① ∀z(~鼻zx→~長z)
② ∀z( 長z→ 鼻zx)
③ ~∃z(~鼻zx&長z)
に於いて、
①=②=③ であるため、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z( 長z→ 鼻zx)}
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}
に於いて、
①=②=③ であるものの、
① と「等値(同じ)」である「論理式」は、他にも有ります。
(03)
① ∀z(~鼻zx→~長z)
② ∀z( 長z→ 鼻zx)
③ ~∃z(~鼻zx&長z)
に於いて、
①=② は、「対偶(Contraposition)」であるので、
①=② は、「当然」です。
(04)
② ∀z(長z→ 鼻zx)
③ ~∃z(~鼻zx&長z)
に於いて、
②=③ であることも、この時点で既に、「当然」ではあるものの、「証明」は、次のやうになります。
(05)
(ⅱ)
1 (1) ∀z(長z→ 鼻zx) A
1 (2) 長a→ 鼻ax 1UE
3 (3) ∃z(~鼻zx&長z) A
4(4) ~鼻ax&長a A
4(5) 長a 4&E
1 4(6) 鼻ax 25MPP
4(7) ~鼻ax 4&E
1 4(8) 鼻ax&~鼻ax 67&I
13 (9) 鼻ax&~鼻ax 348EE
1 (ア)~∃z(~鼻zx&長z) 39RAA
(ⅲ)
1 (1)~∃z(~鼻zx&長z) A
1 (2)∀z~(~鼻zx&長z) 1量化子の関係
1 (3) ~(~鼻ax&長a) 1UE
4 (4) 長a A
5(5) ~鼻ax A
45(6) ~鼻ax&長a 45&I
145(7) ~(~鼻ax&長a)&
(~鼻ax&長a) 36&I
14 (8) ~~鼻ax 57RAA
14 (9) 鼻ax 8DN
1 (ア) 長a→ 鼻ax 49CP
1 (イ) ∀z(長z→ 鼻zx) アUI
従って、
(05)により、
(06)
② ∀z(長z→ 鼻zx)
③ ~∃z(~鼻zx&長z)
に於いて、
② ならば、③ であり、
③ ならば、② である。
従って、
(06)により、
(07)
② ∀z(長x→ 鼻zx)
③ ~∃z(~鼻zx&長z)
に於いて、
②=③ である。
従って、
(02)(07)により、
(08)
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z( 長z→ 鼻zx)}
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(09)
(05)に於いて、
(ⅱ)
1 (1)~∃z(~鼻zx&長z) A
1 (2)∀z~(~鼻zx&長z) 1量化子の関係
である。といふことは、
③ ~∃z(~鼻zx&長z)
④ ∀z~(~鼻zx&長z)
に於いて、
③=④ である。
然るに、
(10)
(ⅱ)
1 (1)~∃z(~鼻zx&長z) A
2(2) ~鼻ax&長a A
2(3) ∃z(~鼻zx&長z) 2EI
12(4)~∃z(~鼻zx&長z)&
∃z(~鼻zx&長z) 13&I
1 (5) ~(~鼻ax&長a) 24RAA
1 (6)∀z~(~鼻zx&長z) 5UI
(ⅲ)
1 (1)∀z~(~鼻zx&長z) A
1 (2) ~(~鼻ax&長a) 1UE
3 (3) ∃z(~鼻zx&長z) A
4(4) ~鼻ax&長a A
1 4(5) ~(~鼻ax&長a)&
(~鼻ax&長a) 24&I
13 (6) ~(~鼻ax&長a)&
(~鼻ax&長a) 345EE
1 (7)~∃z(~鼻zx&長z) 36RAA
従って、
(10)により、
(11)
③ ~∃z(~鼻zx&長z)
④ ∀z~(~鼻zx&長z)
に於いて、
③ ならば、④ であり、
④ ならば、③ である。
従って、
(11)により、
(12)
③ ~∃z(~鼻zx&長z)
④ ∀z~(~鼻zx&長z)
に於いて、
③=④ である。
従って、
(02)~(12)により、
(13)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~∃z(~鼻zx&長z)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。
③ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、xの鼻ではなくて、長いzは、存在しない}。
に於いて、
①=③ である。
然るに、
(14)
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。
③ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、xの鼻ではなくて、長いzは、存在しない}。
といふことは、
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。
③ 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。
といふことである。
然るに、
(15)
① 鼻以外は長くない。
といふのであれば、
② 長いならば、鼻以外ではない。
然るに、
(16)
① 長いならば、鼻以外ではない。
といふことは、
② 長いならば、鼻である。
といふことである。
従って、
(15)(16)により、
(17)
① 鼻以外は長くない。
の「対偶(Contraposition)」は、
② 長いならば鼻である。
でなければ、ならない。
cf.
(ⅰ)
1 (1)∀z(~鼻zx→~長z) A
1 (2) ~鼻ax→~長a 1UE
3(3) 長a A
3(4) ~~長a 3DN
13(5) ~~鼻ax 24MTT
13(6) 鼻ax 5DN
1 (7) 長a→ 鼻ax 36CP
1 (8)∀z( 長z→ 鼻zx) 7UI
(ⅱ)
1 (1)∀z( 長x→ 鼻zx) A
1 (2) 長a→ 鼻ax 1UE
3(3) ~鼻ax A
13(4) ~長a 23MTT
1 (5) ~鼻ax→~長a 34CP
1 (6)∀z(~鼻zx→~長z) 5UI
従って、
(14)~(17)により、
(18)
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。
② 象は鼻は長く、長いならば鼻である。
に於いて、
①=② である。
従って、
(18)により、
(19)
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。
② 象は鼻は長く、長いのは鼻である。
に於いて、
①=② である。
従って、
(19)により、
(20)
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。
② 象は鼻は長く、長いのは鼻である。
に於いて、
象=タゴール記念会
鼻=私
長いの=理事長
といふ「代入(Substituition)」を行ふと、
① タゴール記念会は、私は理事長であり、私以外は理事長ではない。
② タゴール記念会は、私は理事長であり、理事長は私です。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(21)
よく知られているように、「私が理事長です」は語順を変え、
理事長は、私です。
と直して初めて主辞賓辞が適用されのである。また、かりに大倉氏が、
タゴール記念会は、私が理事長です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念会」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
従って、
(20)(21)により、
(22)
「番号」を付け直すと、
① タゴール記念会は、私が理事長です。
② タゴール記念会は、私は理事長であり、理事長は私です。
③ タゴール記念会は、私は理事長であり、私以外は理事長ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(20)(21)(22)により、
(23)
① 象は鼻が長い。
② 象は鼻は長く、長いのは鼻である。
③ 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(15)~(23)により、
(24)
タゴール記念会は、私が理事長です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念会」を品評するという心持ちの文である。
かどうかは、別にして、
② 理事長は私です。
の「対偶(Contraposition)」が、
③ 私以外は理事長ではない。
である。といふことに、気付いてゐれば、その時点で、三上章先生は、
① タゴール記念会は、私が理事長です。
② タゴール記念会は、私は理事長であり、理事長は私です。
③ タゴール記念会は、私は理事長であり、私以外は理事長ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
といふことに、気付くことが、出来たことになる。
従って、
(23)(24)により、
(25)
② 理事長は私です。
の「対偶(Contraposition)」が、
③ 私以外は理事長ではない。
である。といふことに、気付いてゐなかったが故に、三上章先生は、
① 象は鼻が長い。
② 象は鼻は長く、長いのは鼻である。
③ 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。
に於いて、
①=②=③ である。
といふことに、気付けなかった。
然るに、
(26)
沢田充茂の『現代論理学入門』(一九六ニ年)には楽しい解説が載っています。
・・・・・・たとえば「象は鼻が長い」というような表現は、象が主語なのか、鼻が主語なのかはっきりしないから、このままではその論理的構造が明示されていない。いわば非論理的な文章である、というひともある。しかしこの文の論理的な構造をはっきりと文章にあらわして「すべてのxについて、もしそのxが象であるならば、yなるものが存在し、そのyは鼻であり、xはyを所有しており、このyは長い」といえば・・・・・・たとえば動物園で象をはじめて見た小学生が、父親にむかってこのような文章で話しかけたとすれば、その子供は論理的であるといって感心されるまえに社会人としての常識をうたがわれるにきまっている。常識(すなはち共通にもっている情報)でわかっているものはいちいち言明の中にいれないで、いわば暗黙の了解事項として、省略し、できるだけ短い記号の組み合せで、できるだけ多くの情報を伝えることが日常言語の合理性の一つである。・・・・・・
(山崎紀美子、日本語基礎講座―三上文法入門、2003年、214頁)
然るに、
(27)
「象は鼻が長い」といふ「日本語」が、
「すべてのxについて、もしそのxが象であるならば、yなるものが存在し、そのyは鼻であり、xはyを所有しており、このyは長い」
といふ「意味」であるならば、
① 象は鼻が長い。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}⇔
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長い}。
であって、
① 象は鼻が長い。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。
ではない。
然るに、
(28)
1 (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
2 (2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)} A
3 (3)∃x(象x&兎x) A
1 (4) 象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
2 (5) 兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za) 2UE
6 (6) 象a&兎a A
6 (7) 兎a 6&E
6 (8) 兎a 6&E
1 6 (9) ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 47MPP
2 6 (ア) ∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za) 58MPP
1 6 (イ) ∃y(鼻ya&長y) 9&E
ウ (ウ) 鼻ba&長b A
1 6 (エ) ∀z(~鼻za→~長z) 9&E
1 6 (オ) ~鼻ba→~長b エUE
2 6 (カ) ∃y(耳ya&長y) ア&E
キ(キ) 耳ba&長b A
2 6 (ク) ∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za) ア&E
2 6 (ケ) ~耳ba→~長b&耳ba→~鼻ba クUE
2 6 (コ) 耳ba→~鼻ba ケ&E
キ(サ) 耳ba キ&E
2 6 キ(シ) ~鼻ba コサMPP
12 6 キ(ス) ~長b オシMPP
ウ (セ) 長b ウ&E
12 6ウキ(ソ) 長b&~長b シス&I
12 6ウ (タ) 長b&~長b カキソEE
12 6 (チ) 長b&~長b イウタEE
123 (ツ) 長b&~長b 36チEE
12 (テ)~∃x(象x&兎x) 3ツRAA
12 (ト)∀x~(象x&兎x) テ量化子の関係
12 (ナ) ~(象a&兎a) トUE
12 (ニ) ~象a∨~兎a ナ、ド・モルガンの法則
12 (ヌ) ~兎a∨~象a ニ交換法則
12 (ネ) 兎a→~象a ヌ含意の定義
12 (ノ)∀x(兎x→~象x) ネUI
12 (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。 ネUI
12 (〃)兎は象ではない(Rabbits can not be elephants)。 ネUI
といふ「証明」に於いて、
1 (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
ではなく、
1 (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)} A
であるとすると、
(29)
1 6 (エ) ∀z(~鼻za→~長z) 9&E
1 6 (オ) ~鼻ba→~長b エUE
2 6 キ(シ) ~鼻ba コサMPP
12 6 キ(ス) ~長b オシMPP
といふ「計算」が出来なくなり、それ故、
12 6ウキ(ソ) 長b&~長b シス&I
12 6ウ (タ) 長b&~長b カキソEE
12 6 (チ) 長b&~長b イウタEE
123 (ツ) 長b&~長b 36チEE
12 (テ)~∃x(象x&兎x) 3ツRAA
といふ「計算」も出来なくなり、それ故、
12 (ト)∀x~(象x&兎x) テ量化子の関係
12 (ナ) ~(象a&兎a) トUE
12 (ニ) ~象a∨~兎a ナ、ド・モルガンの法則
12 (ヌ) ~兎a∨~象a ニ交換法則
12 (ネ) 兎a→~象a ヌ含意の定義
12 (ノ)∀x(兎x→~象x) ネUI
12 (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。 ネUI
12 (〃)兎は象ではない(Rabbits can not be elephants)。 ネUI
といふ「計算」も出来ない。
従って、
(26)~(29)により、
(30)
「象は鼻が長い」といふ「日本語」は、
「すべてのxについて、もしそのxが象であるならば、yなるものが存在し、そのyは鼻であり、xはyを所有しており、このyは長い」
といふ「意味」ではない。
従って、
(26)(30)により、
(31)
「沢田充茂の『現代論理学入門』(一九六ニ年)には楽しい解説」は、「象は鼻が長い」といふ「日本語」に対しては、「正しい解説」には、なってゐない。
然るに、
(32)
いづれにせよ、
① 象は鼻が長い。然るに、
② 兎は耳が長い。従って、
③ 象は兎でない。
といふ「推論(証明)」は、「明らかに、妥当」である。
従って、
(02)~(32)により、
(33)
① 象は鼻が長い。然るに、
② 兎は耳が長い。従って、
③ 象は兎でない。
といふ「推論(証明)」を、「妥当」である。
とする一方で、
① 象は鼻が長い。⇔
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。
といふ「等式」を、「否定」すること、出来ない。
(34)
本書第二章は、『象は鼻が長い』の一章と二章を要約して掲載してあります(山崎紀美子、日本語基礎講座 三上文法入門、2003年、12頁)。
とあるものの、私は、それを読むと、「大変、イライラする」。
令和02年04月16日、毛利太。
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