2020年4月15日水曜日

「象は鼻が長い」の「述語論理」の「説明」。

(01)
既に、何度も示してゐる、以下の「証明」を、「証明(1)」とする。
1     (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}          A
 2    (2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)} A
  3   (3)∃x(象x&兎x)                               A
1     (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)           1UE
 2    (5)   兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  2UE
   6  (6)   象a&兎a                                A
   6  (7)   兎a                                   6&E
   6  (8)      兎a                                6&E
1  6  (9)      ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)           47MPP
 2 6  (ア)      ∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  58MPP
1  6  (イ)      ∃y(鼻ya&長y)                        9&E
    ウ (ウ)         鼻ba&長b                         A
1  6  (エ)                 ∀z(~鼻za→~長z)           9&E
1  6  (オ)                    ~鼻ba→~長b            エUE
 2 6  (カ)      ∃y(耳ya&長y)                        ア&E
     キ(キ)         耳ba&長b                         A
 2 6  (ク)                 ∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  ア&E
 2 6  (ケ)                    ~耳ba→~長b&耳ba→~鼻ba   クUE
 2 6  (コ)                             耳ba→~鼻ba   ケ&E
     キ(サ)         耳ba                            キ&E
 2 6 キ(シ)                                 ~鼻ba   コサMPP
12 6 キ(ス)                         ~長b            オシMPP
    ウ (セ)             長b                         ウ&E
12 6ウキ(ソ)             長b&~長b                     シス&I 
12 6ウ (タ)             長b&~長b                     カキソEE 
12 6  (チ)             長b&~長b                     イウタEE
123   (ツ)             長b&~長b                     36チEE
12    (テ)~∃x(象x&兎x)                              3ツRAA
12    (ト)∀x~(象x&兎x)                              テ量化子の関係
12    (ナ)  ~(象a&兎a)                              トUE
12    (ニ)  ~象a∨~兎a                               ナ、ド・モルガンの法則
12    (ヌ)  ~兎a∨~象a                               ニ交換法則
12    (ネ)   兎a→~象a                               ヌ含意の定義
12    (ノ)∀x(兎x→~象x)                              ネUI
12    (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。            ネUI
12    (〃)兎は象ではない(Rabbits can not be elephants)。                ネUI
(02)
「証明(1)」の「要点」は、
(Ⅰ)
1     (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}          A
 2    (2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)} A
  3   (3)∃x(象x&兎x)                               A
といふ「3つの命題」を、「3つ」とも「真」であると「仮定」すると、
12 6ウキ(ソ)             長b&~長b                     シス&I 
といふ「矛盾」が「生じる」ため、
  3   (3)∃x(象x&兎x)                               A
といふ「命題」は、「背理法(RAA)」によって、「偽」であるとされ、「仮定」から「除かれる」。
従って、
(Ⅰ)により、
(Ⅱ)
1     (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}          A
 2    (2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)} A
といふ「2つ」を、「真」であるとする限り、
  3   (3)∃x(象x&兎x)                               A
といふ「命題」に関しては、「その否定」である、
12    (テ)~∃x(象x&兎x)                              3ツRAA
が「真」になる。
然るに、
(Ⅲ)
12    (テ)~∃x(象x&兎x)                              3ツRAA
は、「量化子の関係」により、
12    (ノ)∀x(兎x→~象x)                              ネUI
に「等しい」。
従って、
(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)により、
(Ⅳ)
1     (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}          A
 2    (2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)} A
といふ「2つの命題」から、
12    (ノ)∀x(兎x→~象x)                              ネUI
といふ「1つの命題」が、「演繹」される。
然るに、
(Ⅴ)
12    (ノ)∀x(兎x→~象x)                              ネUI
といふ「命題」は、
12    (ノ)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。            ネUI
12    (〃)兎は象ではない(Rabbits can not be elephants)。                ネUI
といふ「意味」である。
従って、
(01)(02)により、
(03)
③ 兎は象ではない。
といふ「当り前」のことが、「真(本当)」であるためには、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。
といふ「命題」も、「真(本当)」でなければ、ならない。
然るに、
(04)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。
といふことは、
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない
といふ、「意味」である。
従って、
(03)(04)により、
(05)
① 象は鼻長い。然るに、
② 兎は耳長い。従って、
③ 象は兎でない。
といふ「三段論法」が「妥当」であるためには、
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。
といふ「等式」を、「必要」とする。
然るに、
(06)
普通」は、
① 象は鼻長い。然るに、
② 兎は耳長い。従って、
③ 象は兎でない。
と言ふのであって、
① 象は鼻長い。然るに、
② 兎は耳長い。従って、
③ 象は兎でない。
とは、言はない
従って、
(05)(06)により、
(07)
① 象は鼻長い。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(06)(07)により、
(08)
6 象は鼻長い(「Ⅹの」代行)
「象の鼻」「京都の秋」「A君の近所」などのように、「Ⅹのx」という形の語句を含むコトが、「Ⅹ」(象、京都、A君)の性質や消息を表す場合には、その「Ⅹ」を題として取り立てることができます。
(山崎紀美子、日本語基礎講座 三上文法入門、2003年、88頁)
といふことが、「本当であらうと、ウソであらうと」、
普通」は、
① 象は鼻長い。然るに、
② 兎は耳長い。従って、
③ 象は兎でない。
と言ふのであって、
① 象は鼻長い。然るに、
② 兎は耳長い。従って、
③ 象は兎でない。
とは、言はない
といふことを、「認める」のであれば、その人は、それと「同時」に、
① 象は鼻長い。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない}。
といふ「等式も、認めざるを得ないのであって、さうでなければ、その人は、「述語論理」を、「学ぶ」ことは出来ても、「述語論理」を、「理解することが出来ない人である
といふことになる。
然るに、
(09)
その一方で、私自身は、
6 象は鼻長い(「Ⅹの」代行)
「象の鼻」「京都の秋」「A君の近所」などのように、「Ⅹのx」という形の語句を含むコトが、「Ⅹ」(象、京都、A君)の性質や消息を表す場合には、その「Ⅹ」を題として取り立てることができます。
「Ⅹのx」から無条件に「Ⅹは」が作られるものではありませんが、それでも「Ⅹの」を代行する「Ⅹは」はずいぶんとたくさんあります。
 象の鼻が長くあるコト
 象は、鼻が長いなあ!
(山崎紀美子、日本語基礎講座 三上文法入門、2003年、88頁)
といふ「説明」を、何度読んでも、「全く理解出来ない
(10)
① 象は動物である。⇔
① ∀x(象x→動物x)⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、xは動物である。
といふ「命題」の、
① 動物x
に対して、
① ∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)
を、「代入(Substitute)」した「形」が、
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
といふ「命題」である。
従って、
(10)により、
(11)
「述語論理(Predicate logic)」といふ「観点」からすれば、
① 象は動物である。⇔ ∀x(象x→動物x)
② 象は鼻が長い。 ⇔ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
に於ける、
①「象」と、
②「象」は、「完全に同じ」である。
従って、
(10)(11)により、
(12)
①「象」といふ「日本語」は、
①「すべてのxについて、xが象であるならば、」
といふ「意味」である。
然るに、
(13)
「Ⅹは」は、すでに言ったように、「Ⅹについて言へば」というほどの切り出しであって、「Ⅹ」を題として提示しているのです。
然るに、
(14)
①「すべてのxについて、が象であるならば、」といふことは、
①「すべてのxが象であるとして、xについて言へば、」といふことである。
従って、
(10)(13)(14)により、
(15)
① 象は動物である。⇔
① ∀x(象x→動物x)⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、xは動物である。
といふ「命題」であっても、
「Ⅹは」は「Ⅹについて言へば」といふ「意味」を含んでゐる。
しかしながら、
(16)
だからと言って、
主語」といふ「分り易い言葉」を、
「Ⅹの」を代行する「Ⅹは」は「題」である。
といふ「分りにくい言ひ方」に「置き換へ」る「必要」があるのか、そのことが、私には、分からない。
令和02年04月15日、毛利太。

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