2020年4月11日土曜日

「象が(も・は)動物である」の「述語論理」。

(01)
よく知られているように、「私理事長です」は語順を変え、
 理事長は、私です。
と直して初めて主辞賓辞が適用されのである。また、かりに大倉氏が、
 タゴール記念会は、私理事長です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念会」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
従って、
(01)により、
(02)
① 私理事長です。
理事長は私です。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない
に於いて、
②=③ は、「対偶(Contraposition)」である。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
① 私理事長です。
理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(04)により、
(05)
① 象動物である。
動物は象である。
③ 象以外は動物ではない
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(06)
①{xの変域}が{象、机、本}であるならば、
① すべてのx は{象、机、本}である。
然るに、
(07)
は、動物であり
② 机は、動物ではなく
③ 本は、動物ではない
従って、
(06)(07)により、
(08)
①{xの変域}が{象、机、本}であるならば、
① すべてのxについて、xが象であるならば、xは動物であり、xが象でないならば、xは動物ではない
然るに、
(09)
① すべてのxについて、xが象であるならば、xは動物であり、xが象でないならば、xは動物ではない
といふことは、
③ 象は動物であり、象以外は動物ではない
といふことである。
然るに、
(10)
① ∀x(象x→動物x&~象x→~動物x)
といふ「論理式(述語論理)」は、
① すべてのxについて、xが象であるならば、xは動物であり、xが象でないならば、xは動物ではない
といふ「意味」である。
従って、
(05)~(10)により、
(11)
① 象動物である。⇔
① 象は動物であり、象以外は動物ではない。⇔
① ∀x(象x→動物x&~象x→~動物x)⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、xは動物であり、xが象でないならば、xは動物ではない
といふ「等式」が、成立し、尚且つ、
①{xの変域}が{象、机、本}であるならば、
① 象動物である。
といふ「命題」は、「(本当)」である。
然るに、
(12)
② ∀x{象x→動物x&~(~象x→~動物x)}
といふ「論理式(述語論理)」は、
② すべてのxについて、xが象であるならば、xは動物であるが、xが象でないならば、xは動物ではないといふわけではない
といふ「意味」である。
然るに、
(13)
(ⅱ)
1(1)∀x{象x→動物x&~(~象x→~動物x)}   A
1(2)   象a→動物a&~(~象a→~動物a)    1UE
1(3)   象a→動物a                2&E
1(4)∀x(象x→動物x)               3UI
1(5)          ~(~象a→~動物a)    2&E
1(6)        ∀x~(~象x→~動物x)    5UI
1(7)∀x(象x→動物x)&∀x~(~象x→~動物x) 46&I
(ⅲ)
1(1)∀x(象x→動物x)&∀x~(~象x→~動物x) A
1(2)∀x(象x→動物x)               1&E
1(3)   象a→動物a                2UE
1(4)           ∀x~(~象x→~動物x) 1&E
1(5)             ~(~象a→~動物a) 4UE
1(6)   象a→動物a&~(~象a→~動物a)    35&I
1(7)∀x{象x→動物x&~(~象x→~動物x)}   6UI
従って、
(13)により、
(14)
② ∀x{象x→動物x  &    ~(~象x→~動物x)}
③ ∀x(象x→動物x)&∀x~(~象x→~動物x)
に於いて、
②=③ であるものの、「この等式」を、「定理(14)」とする。
然るに、
(15)
(ⅱ)
1       (1)∀x{象x→動物x &  ~(~象x→~動物x)} A
1       (2)∀x(象x→動物x)&∀x~(~象x→~動物x)  1定理(14)
1       (3)∀x(象x→動物x)                2&E
1       (4)           ∀x~(~象x→~動物x)  2&E
1       (5)           ~∃x(~象x→~動物x)  4量化子の関係
 6      (6)             ~(~象a→~動物a)  A
  7     (7)                象a∨~動物a   A
   8    (8)               ~象a& 動物a   A
    9   (9)                象a        A
   8    (ア)               ~象a        8&E
   89   (イ)                象a&~動物a   9ア&I
    9   (ウ)             ~(~象a& 動物a)  8イRAA
     エ  (エ)                   ~動物a   A
   8    (オ)                    動物a   8&E
   8 エ  (カ)               ~動物a&動物a   エオ&I
     エ  (キ)             ~(~象a& 動物a)  8カRAA
  7     (ク)             ~(~象a& 動物a)  79ウエキ∨E
      ケ (ケ)               ~象a        A
       コ(コ)                    動物a   A
      ケコ(サ)               ~象a& 動物a   ケコ&I
  7   ケコ(シ)             ~(~象a& 動物a)&
                         (~象a& 動物a)  クサ&I
  7   ケ (ス)                   ~動物a   コシRAA
  7     (ソ)               ~象a→~動物a   ケスCP
 67     (タ)             ~(~象a→~動物a)&
                         (~象a→~動物a)  6ス&I
 6      (チ)              ~(象a∨~動物a)  7タRAA
 6      (ツ)               ~象a& 動物a   チ、ド・モルガンの法則
 6      (テ)            ∃x(~象x& 動物x)  ツEI
1       (ト)            ∃x(~象x& 動物x)  56テEE
1       (ナ)∀x(象x→動物x)& ∃x(~象x& 動物x)  3ト&I      
(ⅲ)
1       (1)∀x(象x→動物x)& ∃x(~象x& 動物x)  A
1       (2)∀x(象x→動物x)                1&E
1       (3)            ∃x(~象x& 動物x)  1&E
 4      (4)               ~象a& 動物a   A
  5     (5)               ~象a→~動物a   A
 4      (6)               ~象a        4&E
 45     (7)                   ~動物a   56MPP
 4      (8)                    動物a   4&E
 45     (9)               ~動物a&動物a   78&I
 4      (ア)             ~(~象a→~動物a)  59RAA
1       (イ)             ~(~象a→~動物a)  14アEE
   ウ    (ウ)            ∃x(~象x→~動物x)  A
    エ   (エ)               ~象a→~動物a   A
1   エ   (オ)             ~(~象a→~動物a)&
                         (~象a→~動物a)  イエ&I
1  ウ    (カ)             ~(~象a→~動物a)&
                         (~象a→~動物a)  イエ&I
1       (キ)           ~∃x(~象x→~動物x)  ウカRAA
1       (ク)           ∀x~(~象x→~動物x)  キ量化子の関係
1       (ケ)∀x(象x→動物x)&∀x~(~象x→~動物x)  29&I
1       (コ)∀x{象x→動物x &  ~(~象x→~動物x)} ケ定理(14)
従って、
(15)により、
(16)
② ∀x{象x→動物x &  ~(~象x→~動物x)}
③ ∀x(象x→動物x)&∃x(~象x& 動物x)
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(17)
③ ∀x(象x→動物x)&∃x(~象x& 動物x) 
といふ「論理式」は、
③ すべてのxについて、xが象であるならば、xは動物であるが、あるxは象ではなくて、動物である。
といふ「意味」である。
従って、
(12)(16)(16)により、
(18)
② ∀x{象x→動物x &  ~(~象x→~動物x)}
③ ∀x(象x→動物x)&∃x(~象x& 動物x)
に於いて、
②=③ であるが故に、
② すべてのxについて、xが象であるならば、xは動物であるが、xが象でないならば、xは動物ではないといふわけではない
③ すべてのxについて、xが象であるならば、xは動物であるが、象ではない動物も存在する
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(19)
②{xの変域}が{、本}であるならば、
② すべてのxについて、xが象であるならば、xは動物であるが、xが象でない(兎)ならば、xは動物ではないといふわけではない
③ すべてのxについて、xが象であるならば、xは動物であるが、象ではない動物(兎)も存在する
といふ「日本語」は、「本当(真)」である。
然るに、
(20)
② すべてのxについて、xが象であるならば、xは動物であるが、xが象でない(兎)ならば、xは動物ではないといふわけではない
③ すべてのxについて、xが象であるならば、xは動物であるが、象ではない動物(兎)も存在する
といふことは、両方とも、
② 象は動物であるが、象以外も動物である。
② 象は動物であるが、象以外も動物である。
といふことである。
然るに、
(21)
②{xの変域}が{、本}であるならば、
② 象、動物であるが、本は動物ではない。
といふ「日本語」は、「本当(真)」である。
従って、
(21)により、
(22)
②{xの変域}が{、本}であるならば、
② 象動物である。
といふ「日本語」は、「本当(真)」である。
従って、
(16)~(22)により、
(23)
② 象動物である。⇔
② 象は動物であり、象以外も動物である。⇔
② ∀x{象x→動物x&~(~象x→~動物x)}⇔
② すべてのxについて、xが象であるならば、xは動物であるが、xが象でないならば、xは動物ではないといふわけではない
といふ「等式」が、成立し、尚且つ、
②{xの変域}が{、本}であるならば、
② 象も動物である。
といふ「命題」は、「(本当)」である。
従って、
(11)(23)により、
(24)
① 象動物である。
② 象動物である。
といふ「日本語」は、それぞれ、
① ∀x(象x→動物x&  ~象x→~動物x)
② ∀x{象x→動物x&~(~象x→~動物x)}
といふ「論理式」に、対応する。
然るに、
(25)
① ∀x(象x→動物x&  ~象x→~動物x)
② ∀x{象x→動物x&~(~象x→~動物x)}
といふ「論理式」は、
① ∀x(象x→動物x)
② ∀x{象x→動物x}
といふ「部分論理式」は、「共通」であって、
① ∀x (~象x→~動物x)
② ∀x~(~象x→~動物x)
といふ「部分論理式」が、「矛盾」する。
然るに、
(26)
① 象動物である。ならば、象動物である。
② 象動物である。ならば、象動物である。
従って、
(11)(23)~(26)により、
(27)
「番号」を付け直すと、
① 象動物である。
② 象動物である。
③ 象動物である。
といふ「日本語」は、
① ∀x(象x→動物x)
② ∀x(象x→動物x&  ~象x→~動物x)
③ ∀x{象x→動物x&~(~象x→~動物x)}
といふ「論理式」に、相当する。
令和02年04月11日、毛利太。

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