(01)
[例]先生不レ知二何許人一。
[読み]先生は何許の人なるかを知らず。
[訳]先生がどこの出身の人であるかは分からない。〈陶潜・五柳先生伝〉
(注)この文の「先生」は主文の主語ではなく、名詞節の主語である。意味内容からすれば、「我不レ知二先生何許一」ということだが。
この文のように表現するから注意を要する。
(天野成之、漢文基本語辞典、1999年、60頁)
然るに、
(02)
① 鳥吾知其能飛=
① 鳥吾知(其能飛)⇒
① 鳥吾(其能飛)知=
① 鳥については、私は、飛べることを知ってゐる。
(史記、老子韓非列伝)
従って、
(02)により、
(03)
② 鳥吾不知其能飛=
② 鳥吾不〔知(其能飛)〕⇒
② 鳥吾〔(其能飛)知〕不=
② 鳥については、私は、飛べることを知らない。
然るに、
(04)
② 鳥吾不知其能飛。
に於いて、
鳥=先生
能飛=何許人
といふ「代入」を行ふと、
③ 先生吾不知其何許人=
③ 先生吾不〔知(其何許人)〕⇒
③ 先生吾〔(其何許人)知〕不=
③ 先生は、吾〔(其の何許人ならかを)知ら〕不=
③ 先生については、私は、どこの出身の人であるかは分からない。
といふ「漢文」になる。
従って、
(01)~(04)により、
(05)
③ 先生_不知_何許人。
といふ「漢文」は、
③ 吾 其
が「省略」されてゐる。
といふ風に、「解釈」出来るし、そのため、
③ 先生吾不知其何許人。
に於いて、
③ 先生=其
である。
然るに、
(06)
③ 先生吾不知其何許人。
③ 先生=其
であるといふことは、
③ 吾不〔知(先生何許人)〕。
といふこと、すなはち、
③ 我不レ知二先生何許一。
といふことに、他ならない。
令和5年4月23日、毛利太。
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