2023年4月10日月曜日

「相乗平均≦相加平均」の「述語論理」。

(01)
数学の命題は、大抵の場合、定数を表す記号と関数を表す記号と述語記号を定めて、
変数および論理記号を用いて書き表すことができる。
例えば、「正の実数の相乗平均は相加平均以下である」は、
∀x∀y{(0<x∧0<y)⊃√x・y≦(x+y)}
と書ける(上江洲忠弘、述語論理入門、2007年、14頁)
然るに、
(02)
(ⅰ)
1  (1)~∀x∀y{(0<x∧0<y)⊃√x・y≦(x+y)} A
1  (2)∃x~∀y{(0<x∧0<y)⊃√x・y≦(x+y)} 1量化子の関係
1  (3)∃x∃y~{(0<x∧0<y)⊃√x・y≦(x+y)} 2量化子の関係
 4 (4)  ∃y~{(0<a∧0<y)⊃√a・y≦(a+y)} A
  5(5)    ~{(0<a∧0<b)⊃√a・b≦(a+b)} A
  5(6)   ~{~(0<a∧0<b)∨√a・b≦(a+b)} 5含意の定義
  5(7)    (0<a∧0<b)∧~{√a・b≦(a+b)  6ド・モルガンの法則
  5(8)    (0<a∧0<b)               7∧E
  5(9)              ~{√a・b≦(a+b)  7∧E
  5(ア)                √a・b>(a+b)  9DN
  5(イ)      (0<a∧0<b)∧√a・b>(a+b)  8ア∧I
  5(ウ)   ∃y{(0<a∧0<y)∧√a・y>(a+y)} イEI
 4 (エ)   ∃y{(0<a∧0<y)∧√a・y>(a+y)} 45ウEE
 4 (オ) ∃x∃y{(0<x∧0<y)∧√x・y>(x+y)} エEI
1  (カ) ∃x∃y{(0<x∧0<y)∧√x・y>(x+y)} 14オEE
(ⅱ)
1  (1) ∃x∃y{(0<x∧0<y)∧√x・y>(x+y)} A
 2 (2)   ∃y{(0<a∧0<y)∧√a・y>(a+y)} A
  3(3)      (0<a∧0<b)∧√a・b>(a+b)  A
  3(4)      (0<a∧0<b)             3∧E
  3(5)                √a・b>(a+b)  3∧E
  3(6)              ~{√a・b≦(a+b)} 5DN
  3(7)    (0<a∧0<b)&~{√a・b≦(a+b)} 46∧I
  3(8)   ~{~(0<a∧0<b)∨√a・b≦(a+b)} 7ド・モルガンの法則
  3(9)    ~{(0<a∧0<b)⊃√a・b≦(a+b)} 8含意の定義
  3(ア)  ∃y~{(0<a∧0<y)⊃√a・y≦(a+y)} 9EI
 2 (イ)  ∃y~{(0<a∧0<y)⊃√a・y≦(a+y)} 23アEE
 2 (ウ)∃x∃y~{(0<x∧0<y)⊃√x・y≦(x+y)} イEI
1  (エ)∃x∃y~{(0<x∧0<y)⊃√x・y≦(x+y)} 12ウEE
1  (オ)∃x~∀y{(0<x∧0<y)⊃√x・y≦(x+y)} エ量化子の関係
1  (カ)~∀x∀y{(0<x∧0<y)⊃√x・y≦(x+y)} オ量化子の関係
従って、
(02)により、
(03)
① ~∀x∀y{(0<x∧0<y)⊃√x・y≦(x+y)}
②  ∃x∃y{(0<x∧0<y)∧√x・y>(x+y)}
に於いて、
①=② である。
従って、
(03)により、
(04)
① ~~∀x∀y{(0<x∧0<y)⊃√x・y≦(x+y)}
②  ~∃x∃y{(0<x∧0<y)∧√x・y>(x+y)}
に於いて、
①=② である。
従って、
(04)により、
(05)
「二重否定律」により、
①  ∀x∀y{(0<x∧0<y)⊃√x・y≦(x+y)}
② ~∃x∃y{(0<x∧0<y)∧√x・y>(x+y)}
に於いて、
①=② である。
従って、
(01)(05)により、
(06)
①「正の実数の相乗平均は相加平均以下である。」
② ~∃x∃y{(0<x∧0<y)∧√x・y>(x+y)}
に於いて、
①=② である。
従って、
(06)により、
(07)
①「正の実数の相乗平均は相加平均以下である。」
②「正の実数の相乗平均が相加平均以下よりも大きい」といふことは無い。
に於いて、
①=② ある。
令和5年4月10日、毛利太。

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